2006-01-23 22:55:10

NPO法人、働かない権利、反社会復帰

テーマ:文章

 患者会としての「前進友の会」は今年で30年になる。30年前から今の場所の日ノ岡荘で患者会をやってきた。僕がまだ4歳のときからだ。
 

 僕が患者会に入ってから痛感しているのは、やはり、物理的な「場所」が必要だということだ。「場」がなければ、患者会は成り立たない。これは、どこの患者会でも同じようで、皆苦労している。前進友の会も「場」の維持に苦労している。前進友の会が作業所を運営していることも「場所」の維持という意味合いが大きい。《なかま》が集える「場」というものがいかに大切かということを日々実感している。
 そういう現実の中で、「自立支援法」が施行されることになり、行政当局も助成金の抑制に乗り出してきた。具体的には、「作業所」も「法人格」を取らないと助成金を出さないということを突然、昨年になって通告してきた。もう、純粋な「小規模作業所」だけでは助成金を受け取れないということだ。僕たちの作業所は1984年から作業所になっていて、市内では精神の作業所としては4番目に古い作業所として運営してきた。助成金が下りなければ、「場」の維持は非常に困難になる。はっきり言って、「自立支援法」が成立しても、その内容とは直接関係のないことだが、行政は「法人格」が無いともう助成金は出さないと言ってきた。正直、非常にしんどい事態になったのだ。
 それで、なんとか昨年から、「NPO法人」を取ろうと努力してきた。しろうとである病者が「NPO法人」を取るのは並大抵のことではない。書類を自分たちだけでつくり、非常に煩雑な事務仕事を《なかま》の特定の人がやってきた。その方達にとっては、非常に負担になることだった。「病気」を押してやってきた。
 そして、府庁に行くこと5回目でなんとか今月に入って書類を受理してもらえた。なんとか一安心ではあるが、決してこれは良いことではない。「NPO法人」を取ってもなにも良いことはないばかりか、煩雑な事務仕事や形式的なことが増えるだけで、病者にとっては負担は増える一方だ。また、「結社の自由」という意味でもNPO法というのは恐ろしい法律であり、患者会としての前進友の会は反対している。それでも今回「NPO法人」を取るのは「場」をなんとか維持したいためだ。いろんな犠牲を払って、今回の「NPO法人」を取ることになる。

 

 しかし、我々患者会はこの30年間一貫して「働かない権利」「反社会復帰」を言ってきた。僕たち精神病者はまず働けない。働きたいという気持ちを持っている病者もいるが、働けば病状が悪くなり、「再発」「再入院」「自殺」ということになる。実際そういう《なかま》を僕たちはたくさん見てきた。そういう意味ではこれは理屈ではない。「働かない権利」というのは、もう現実の生活から僕たち病者には必要とされているものだ。また、「勤労する」ということが無条件に「良いこと」だということも言えない。「健常者」はえてして病者も「働きたいはずだ」と思いこんでいるようだが、決してそうではない。僕たち病者に必要なのは、まず「病識」であり、自分が病者だという自覚だ。そして、自らの「病気」を受け入れることで、《誇り》が生まれる。そして《なかま》とともに支え合いながら生きてゆくことでその《誇り》は強められる。そして、初めて僕ら病者は自己を解放することができるのだ。それは本当は理屈ではない。僕たち病者の《生き方》だ。そしてそれは、自然に「働かない権利」「反社会復帰」につながっていく。働かなくても、僕らは、しんどいけれども《誇り》を持って病者としての自覚を持って生きてゆけるし、それが僕ら病者の《生きる》原動力になる。そして、「働くことは良いことだ」という「健常」者の欺瞞にあふれた「社会復帰」に反対していくことになる。
 だいたい、僕らは大切な《なかま》を持っているし、お互いの「病気」を認め合って支え合って生活しているのだから、それは立派な《社会》だと言える。もうその《社会》で十分なのだ。「健常」者に理解されなくても、認められなくても、僕ら病者は《誇り》を持って生きていければそれで良いのだ。そして、少しでも長く「長生き」して生き延びていくことが大切なのだ。
 そして、「社会復帰」の欺瞞性は「心神喪失者等医療観察法」によって、より明らかになった。この法律は保安処分そのものだが、その「目的」が「社会復帰」だというのだ。この法律のとんでもなさはたくさんあるが、その全てが「社会復帰」によって正当化されるというのだ。実際には、この法律によって、病者などの対象者は、「社会復帰」を強制され「人格」を矯正されて「社会復帰する」か、その強制「治療」を何年も受けることによって「廃人化」されるか、一生閉じこめられ「殺される」かのどちらかしかないのだ。この法律によって、また新たにこの国に《地獄》が生まれようとしている。

 

 とにかく我々は「医療観察法」にも反対してきたし「社会復帰」にも反対してきた。そして生存の問題として「働かない権利」を叫んできた。それはこれからも少しも変わらない。この悲惨な状況のなかで、僕たちは少しでも長く生き延びなければならないのだ。


 (2006年1月23日)

2006-01-16 19:32:25

Nさんの死

テーマ:ブログ

 昨年の7月から意識不明の重体だった《なかま》のNさんが1月14日の朝亡くなられた。


 ずっと、岩倉病院に入院していたが、毎年夏レクには参加され、毎週金曜日には食事会に来られていた。それが、昨年の7月のはじめ、病棟で誤嚥のため心肺停止になり、その後ずっと意識不明の重体で市内のH病院に入院していた。

 歳はまだ60前で、映画がとても好きな方だった。


 今日、前進友の会の《なかま》みんなで、岩倉病院の霊安室に安置してあるご遺体に会いに行った。ようやく楽になれたかのような静かなお顔だった。この半年はNさんにとってはつらい日々だっただろうと想う。僕たちは、もう少し長生きして欲しかった。

 お棺のなかに、Nさんが好きだった映画のパンフレットや哲学書を入れて差し上げた。みんな焼香をしてNさんの冥福を祈った。そしてひとりひとりがNさんを追悼していた。


 正直、しんどかった。少しでも長く長生きして生き延びていこうと誓った。食事会

2006-01-01 17:18:39

新年のご挨拶

テーマ:ブログ

謹賀新年

 昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。
 昨年は、なんとか生活保護も取得し、経済的にも自活できるようになりました。

 前進友の会では、昨年はいろいろなことがありました。二年越しの電気ショックを糾弾する
『懲りない精神医療 電パチはあかん!!』(千書房)を刊行することができました。これも《なかま》のおかげです。
 しかし、悲しいこともたくさんありました。《なかま》の高齢化に直面し、意識不明の《なかま》も、入院している《なかま》もいます。
 今年も、ますます、高齢化がすすむことでしょう。「病」者の老いは大変です。私自身の無力感も感じています。なんとか日々の生活を大切にして毎日を生きていきたいです。



電気ショック反対!!精神科救急反対!!病棟機能分化反対!!「医療観察法」反対!!



皿澤 剛(さらさわ つよし)
 2006年 元旦
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謹賀新年

 1976年に生まれた私たちの患者会・前進友の会は今年で30年になります。その間には、いろいろなことがありました。いま、私たちの患者会では高齢化に直面しています。「病」者の老いは大変です。意識不明で入院している《なかま》がいます。また、病院のなかで老いていかざるを得ない《なかま》がいます。私たち一人一人が重い病状を抱えながら、《なかま》を支え合おうとしています。これからも、できるだけ長く「長生き」をして、お互いを支え合おうと考えています。
 
 また、昨年はようやく電気ショックを糾弾する『懲りない精神医療 電パチはあかん!!』(千書房)を刊行することができました。これも皆様方のご支援のおかげです。今年も電気ショック廃絶のために闘い、「医療観察法」・精神科救急・病棟機能分化に反対していく決意です。
 どうか今年も皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。


 2006年 元旦 前進友の会・やすらぎの里


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