ハリウッドが揺れてます。大物プロデューサーのセクハラに続き、俳優のケビン・スペイシーが未成年への暴行を告発され、また、別件の暴行容疑ではイギリスの警察が捜査を始めたとか・・・。彼はこのタイミングでゲイであることをカミングアウトしました。暴行の件から話をすりかえたそのやり方にまた批判が集まりました。
彼の主演する「ハウス・オブ・カード」はとても面白くて、次シーズンを楽しみにしていたし、過去の作品も好きなものが多かったので、とても残念だなあ。言いたいことはまだありますが、この話題はここまでにして、今日は別のケビンの話。
「ドリーム」を観ました。
公民権運動真っ只中のアメリカで、マーキュリー計画に従事した黒人女性3人の、実話に基づくお話。
segregation・・・人種の隔離。トイレも、レストランの席も、バスの席もwhite とcoloredに分かれていた時代です。その時代に能力を買われてNASAで働くって、超超エリートなんですが、彼女たちには職場でも、私生活でも様々な困難が立ちはだかります。でも彼女たちはめげません。夢に向かって、自分たちの才能を周囲に認めさせ、理解者を増やし、尊敬の念を抱かれるようになる過程がとても感動的に描かれています。これが実話だということに驚きを隠せません。
ところでマーキュリー計画を扱った映画と言えば、コレ。
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「ライトスタッフ」にこの女性たちは描かれていませんが、見ておくとリンクするところがあって興味深いと思います。私、「ドリーム」でロケットが打ちあがる場面では、自然に「ライトスタッフ」のあの名曲のBGMが脳内再生され、感動もひとしおでした。
そして、どちらの映画にも登場するジョン・グレン飛行士。「ライトスタッフ」ではエド・ハリスが演じていて、これがまたすこぶるいい人で人格者。「ドリーム」でも黒人女性たち、特に計算の達人であるキャサリン(タラジ・P・ヘンソンが演じています)への敬意ある接し方が素晴らしかった。本物のジョン・グレンはその後上院議員になり、70歳代で再び宇宙へ行きましたね。
キャサリンの上司を演じたのがケビン・コスナー。映画で見たのは久しぶりでしたが、なんというかシワと年輪を重ねていい味を出していました。ケビンの代表作と言えば「アンタッチャブル」。
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「アンタッチャブル」では、ショーン・コネリーが「いぶし銀演技係」、ロバート・デ・ニーロは「怪演係」、ケビン・コスナーは「ハンサム係」でした(笑)。要するに演技はそんなに上手くないというか・・・。私の中ではハリウッドの2大大根俳優だったんですね。ちなみにもう一人はキアヌ・リーブスなんですけど、彼も「ハンサム係」を立派に務めているので問題なし
で、そのケビンが、なんか上手くなってるんですよね~。キャサリンとのエピソードではほろりとさせられるところもあって、素敵でした。
演技と言えば、ヒロインの黒人女性たち3人はもちろんのこと、キルスティン・ダンストの演技も素晴らしい。黒人女性たちをまとめる人事に関わる職員、Ms.Mitchellを演じています。ヒロインの一人であるドロシーとの関係の変化の過程の演技が秀逸です。あまりネタバレしたくないのですが、ちょっとだけ書くと、Ms. Mitchellが、「わかってね。私は差別をする気はないのよ。」と言う場面があるんです。ドロシーは答えます。「よくわかっていますよ。あなたがそう思いこもうとしているのは。」(字幕ははっきり覚えていないので、正確ではありません)
この場面、ぐっと来ます。と同時に背中がぞくっとします。だってね、「差別する気はない」って言葉は、差別しようと思えばできる立場にいる人だけしか言えないセリフだと思いませんか。あくまでも上から目線での言葉でしかないんですよね。自戒もこめて覚えておきたい場面です。
ところでこの映画の原題は「Hidden Figures」。直訳なら、「隠れた人物」。マーキュリー計画を陰で支えた表に出ない功労者という意味と、数字という意味のfigureをかけているのだと思います。何しろ彼女たち、計算しまくりですから。見終わったあと、感動と爽快感のある、そんな作品です。
もう一人のケビンの話もしようかな。ケビン・ベーコン。奥さんはThe Closerでおなじみのキーラ・セジウィック。
おしどり夫婦で有名ですよね。同じケビンでも前述のスペイシーさんみたいなことは絶対なさそう。
down-to-earth (地に足の着いた、分別のある)な人だと思います。
代表作は「Footloose(気ままな)」だけどね
はい、おあとがよろしいようで。