-1874-抱卵嚢 | 三角山通信

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この時期の早朝は気持ちが良い。

ぼけっと緑をみていたら、コーヒーを淹れているSがいきなり話しかけてきた。

「皇帝ペンギンの雄はマイナス60度の南極で2ヶ月くらい立ったまま卵を温めるのだって。そのあいだは絶食だそうよ、卵胞嚢と呼ばれる肢の間の袋みたいのに卵を入れてブリザードのなかでじっと立ってるんだって、2ヵ月後海に餌をとりに行った雌の集団が帰ってくると何百羽といた雄ペンギンの集団は円形になって自分のペア確認をするんだって」 そう言って心なしかペンギン歩きでコーヒーをもってきてくれた。