うす暗い神社の境内最奥部に祀られている藁で綯われた巳ぃ(クチナワ)さん。

 

 

場所は、米子市淀江町にある天神垣神社(あめのかみがきじんじゃ)。

 

 

千百年以上の歴史を持つと伝わる古社です。

 

 

拝殿と本殿は石段を上って左、クチナワさんは石段上った正面奥。

 

 

クチナワさんの胴体を集落の中心部で引き合い、作物の豊凶を占う「八朔綱引き」は、国の無形民俗文化財です。

 

 

国選定無形民俗文化財

上淀の八朔綱引き(選択年月日 平成20年3月13日)

 

この行事は、天神垣神社の境内に祀られている荒神さんの祭りで、クチナワサンと呼ばれる大蛇をつくって綱引きをするのが大きな特色である。

行事は毎年9月第1日曜日(かつては旧暦8月1日)にあり、上淀集落の人々が天神垣神社に集まり、各家から1把ずつ持ち寄った藁で大蛇をつくるところから始まる。長さ60メートルもの大蛇が完成すると、自治会長が頭を、他の参加者が胴体を持って荒神さんの周囲を3度回り、その後、頭を胴から外して灯籠の上に捧げ、胴体を集落中心部に運んで綱引きする。綱引きは、集落の上手と下手に分かれて3度行われ、上が勝てば豊作、下が勝てば凶作、または上が勝てば麦、下が勝てば米が豊作になると言われている。また、12年ごとの亥の年には、荒神さんの玉垣を新調し、濁酒を奉納する式年遷宮が行われる。

この綱引きの歴史は少なくとも文久元年(1861)まで遡ることができ、当時の記録(岡千仭著「潜臆話記」)によれば、村人たちが縄の両端を力一杯引いて、切れたところの長短で村野豊凶を占っていた。また、当地で八朔に綱引きを行う理由として「大山寺領で千石以上の地域が八朔に綱引きを奉納できる」という興味深い伝承もある。

八朔とは旧暦8月朔日のことで、この頃早稲の穂が実ることから「田の実の節供」とも呼ばれ、初穂を神に供えるなど、稲の収穫を前に豊作を祈願する行事が行われるが、綱引きをするところは全国的にも類例が少ない。かつては同じく県内の米子市淀江町小波と今津、兵庫県但馬地方に伝承されていたが、現在では行われておらず、当行事は八朔綱引きの唯一の伝承例となる貴重なもので、記録作成等の措置を講ずべく無形の民俗文化財として選択された。

 

平成21年11月 鳥取県教育委員会

 

以上、由来書き看板より全文転載

 

淀江に伝わる行事や各地区のクチナワさんをパネルで紹介する写真展が、淀江の上淀白鳳の丘展示館で開催中です。

 

鳥取県米子市淀江町では荒神さんに藁で作られた蛇(クチナワ)を供え収穫感謝や豊作祈願、家内安全などを願う行事が行われています。それらの行事は、「クチナワの胴体で綱引きをする」や「地区内をクチナワを担いで回る」「木にクチナワを巻きつける」など様々な形で行われています。本展では、今なお大切に伝えられている行事と共に各地区のクチナワを写真パネルで紹介します。

以上、パネル展チラシより全文転載

 

 

会期:平成28年9月1日(木)~11月6日(日)

会場:上淀白鳳の丘展示館 多目的室

所在地:〒鳥取県米子市淀江町福岡977‐2

TEL/FAX:0859-56-2271

開館時間:9:30~18:00

休館日:毎週火曜日

観覧料:無料(常設展は必要)