立ち上がる!?不動明王【枕木山・華蔵寺】 | 山陰百貨店―日常を観光する―

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山陰山陽各所を訪れたご近所観光の個人的な備忘録です。

松江城のはるか北東にそびえる枕木山(標高456m)。その頂上にある禅宗の古刹、華蔵寺。

 

開山は平安初期の825(天長二)年とされます。当初は天台宗寺院でしたが鎌倉末期に禅寺として復興、室町期にはこの地方の名刹として繁栄しました。


その後、兵火により衰退しましたが、1607(慶長一二)年、堀尾吉晴が松江城を築城する際、枕木山が鬼門に当たるため祈願寺とし、のちの1657(明暦三)年、松平直政公が済遍(さいへん)を招いて中興しました。

古来より支配者たちは、都や居城の安寧を図るため、平安京―比叡山、江戸―日光東照宮、江戸城(皇居)―神田明神など、鬼門封じとして建立しました。

それらの鬼門封じは国家の中枢都市だけでなく、松江のような地方都市でも、同様の鬼門封じという、まちの安寧を守るシステムが築かれていたということです。こういった呪術による都市防衛も領主の大切な仕事のひとつであったということでしょう。

この鬼門(きもん)とは、北東(艮は丑と寅の間という意味)の方位のことで、陰陽道では、鬼が出入りする方角、万事に忌むべき方角とされています。ちなみに鬼の頭には牛の角が生えていて、虎のパンツを穿いているのが定番のスタイル。この出で立ちは、艮(丑[牛]と寅[虎])の間に鬼門があるといことが由来とされます。

 

鬱蒼と樹木が茂る参道を登って行くと、突如として現れる石造りの巨大な石仏。


華蔵寺・不動明王像 2014.09.08

 

崖の上に鎮座する石造りの巨大な不動明王は、松江城の鬼門を守り、その安泰を祈願する意味合いを込めて、慶応年間に建立されました。

華蔵寺・不動明王像 2014.09.08

 

松江城の方角を鋭い目つきで見つめています。


華蔵寺・不動明王像 2014.09.08

 

松江が存亡の危機に瀕した時に立ち上がり、手に持った倶利伽羅剣で悪鬼・悪霊を退散させ、松江のまちを守るのかもしれません。

 

○概要

名称:華蔵寺(けぞうじ)

所在地:島根県松江市枕木町205

アクセス:国道431号の枕木山入口交差点を島根県道252号に入り約6Km。松江駅から車で約35分、米子空港から約30分。

 

※境内までの参道は、長くて急な階段が続きます。雨の日や雨あがりには非常に滑りやすく危険ですので、お足元にはじゅうぶんお気をつけください。