Japanese M.D. in New York  がんばろう日本

産婦人科残酷物語 season Ⅳ by 毒舌ドクターBermuda


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先日の死産からずーーーーっと考えていたこと。


どうやら、今日、2月18日と深い関係があるらしい。





http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070218
←関連リンクはYosyanさんの「新小児科医のつぶやき」へどうぞ。




先日、死産のあったあの日。


周り中が悲しみに包まれました。




家族はもちろん、医者や看護婦、助産婦などすべての人が立ち直れるかどうかわからないくらいへこみました。



我々は、


家族の心情を慮って


慎重に言葉を選びながら、


信頼関係を再構築しなければいけませんでした。




亡くなっているとわかっているわが子を産む痛みはいかほどのものか。


陣痛に苦しむお母さんは


「先生、助けてください。」と泣きながら訴えました。





「助けるよ!心配しないでください。」


麻薬を処方して痛みをなくし分娩のお手伝いをしました。
本来なら「助ける」という言葉は赤ちゃんにかけてあげたかった。





分娩後にお母さんとお父さんの心が少しだけ落ち着いてから


赤ちゃんと対面しました。



こんなに哀しくて正視できない場面はありません。


現実にもどすようで気の毒でしたが、


埋葬の手はずを整える旨を伝えました。




お父さんが淡々と語り始めました。


「先生、


原因は何でしょうねぇ。


僕達は本当に悲しいです。


初めての赤ちゃんだったし、


男の子だと教えてもらってから、


本当に本当に楽しみにしていたんですよ。」




「…。残念ですけど明らかな原因は外見だけから特定できません。」




「先生、


解剖したら、原因わかりますか?」




「わかるかもしれません。ただ、解剖してもわからない場合もたくさんありますよ。」





「解剖してください。


なにか原因がわかったら、


これから同じように苦しむ人の役に立つかもしれない。


でもね、先生、赤ちゃんの顔だけは傷つけないでください。とても、とてもかわいそうだから。」




自分達が一番苦しいときに他の人たちのことも考えられる優しいお父さんでした。



僕らは病理解剖の手はずを整えはじめました。


準備がすすみ、


いよいよ解剖となったときに、


事務系の方から電話がありました。




「死産で病理解剖とのことですが、司法解剖でなくても良いのかどうか確認しなければなりません。」


え?


だって、お腹の赤ちゃんに異状死って適応されるの?





「念のため警察に届けます。福島県の事件もありますから。」





僕らは大変驚きました。
いままでだって、同じような例があったけれど警察に届けていなかったでしょ?


お父さんが病理解剖を希望しなければ今までと同じように普通に埋葬されていたんだよ?


どうして?




「いろいろな可能性を考えなければいけません。


ドメスティックバイオレンスによる胎児死亡や


医療に不信感を持っている可能性なども考えて。」




ドメスティックバイオレンスって、あのお父さんが?
自分から解剖を申し出てくれたのに?


一緒に、すごく悲しんでいたのに!?


お母さんのお腹にも殴られた跡ないよ!




「とにかく、念のためです。


今はよくても後から刑事事件にならないともかぎらないし。」




はぁ?


急展開しちゃったよ。



警察に連絡して


みんなが事情聴取をうけた。




事務系の人が


「ご家族の人にも警察が入ることを説明しましょう。」だって。


だれが?


俺達が?


自分達でやってみなよ!


”念のため”という検査はたくさんありますけれど、


こういうデリケートな場面での”念のため”は人の心を傷つける。




「いちおう、警察にも知らせておくということになりました。」


お父さんは


「え?どうしてですか?」と不思議そう。




「原因がわからない場合、


日本の法律の解釈の仕方によっては


警察に届けておいたほうがよいということになりました。」






「だって、さっきはもうすぐ埋葬だって…。」



「はい、事務方との協議の結果、


こういう例ではやはり必要かと考えました。」




オーベンが淡々と説明しました。


間違ってもドメスティックバイオレンスなんていえないし。




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お父さん


「警察に届けるとなにかが変わるの?」





「警察の判断によっては司法解剖になるかもしれません。


そうなると赤ちゃんの頭部も解剖の対象になる可能性があります。」



「顔も切るの!?


顔はやめてくださいっていったのに!


そんなのだったら、もう、解剖やめます!」




「顔に傷がつくかどうかはわかりません。


司法解剖になるかどうかも警察の判断にゆだねられますから。


ただ…。


司法解剖になった場合、


お父さんの意思や我々の意思は通らなくなってしまいます。」




「僕達の赤ちゃんだよ!?」




やっと再構築した信頼関係が音を立てて崩れていく。


これからは、


死産があるたびに自動的に警察に届けることになるのか?


妊娠8週の流産も届けるのか?


それじゃあ、


妊娠8週の人工中絶は?


どうしたらいいんでしょうねぇ。




この道は、


福島県のあの事件以来、


いやおうなく自動的に


国民全員が選択した道です。




「現場の医療は萎縮する。」


日本産婦人科学会の声明はこういう意味だったのかなと思いました。




人間が考えた法律なのだから、


もっといい法律を人間が考えられないはずがない…。


今はただ過渡期なだけ…。


そう信じたいです。



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