最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)/高橋 しん

¥530
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友人から借りていたのを久々に読み返したんですが、いやー、やっぱり高橋しんのネーム捌きには毎度毎度心を奪われます。『いいひと』も名作だったし、『きみのカケラ』は正直こけたと思うけど(設定が原因か)。今度出た↓も評判いいし高橋しんが少年冒険物を描いたと聞いただけでワクワクするので早く読みたいところ。

トムソーヤ (ジェッツコミックス)/高橋 しん

¥800
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ところで、「セカイ系」というジャンルを語るときによくこの作品は例として挙げられます。「きみ」と「ぼく」の小さな恋愛が世界の危機に(媒介となる「社会」を経ずして)関わってくるという例として。しかし読み返してみると、どうもその辺に関して巷で言われていることは違うのではないかと思えてきました。

シュウジもちせも、その他多くの登場人物達も、戦争=「世界の終わり」という危機に翻弄され続けています。高橋しんはその人たちが運命に流されながらも生きていくことに伴う悦びと痛みを、台詞から表情まで非常に丁寧に描ききっています。例えば6巻の、シュウジがちせに最後の薬を渡すシーン。

>「…ずっと前、あのオヤジにもらったんだ、それで、あと、何日もつ?」

そうシュウジが言うとちせは困ったような笑顔を向けて、指で小さな輪を作りながら、

>「ちびっと。」

と答えます。

そのシーンを読んだとき、自分は「ああ、彼らは先のことなんてわからないんだ。絶望しか待っていないかもしれないんだ。でも必死で、ただひたむきに生きていこうとしているんだ」と理解しました。これはテツ先輩やアケミの最期にもいえます。

だからこの作品の最後は「生きていく。」という言葉で締められるのです。終末戦争という悲惨な設定でこれほどポジティブなメッセージをわずか7巻で描いた高橋しんは、もっと評価されるべきではないのでしょうか。
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鋼鉄の少女たち (1)/しけたみがの

¥567
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『萌えよ!戦車学校』『セーラー服と重戦車』などの「萌えミリ」モノの最先端を行く野上武志先生の初商業作品。原作は別の方が手がけていて、本作が未完なのは両者の間で何だかゴタゴタがあったかららしいですが、まあ別に良いです。

未完で終わっているにしても仮想戦記として十分な完成度を果たしている本作。王国対連合の戦争において、「狼」戦車一個中隊を任せられた女性や少女ばかりで編成され、「屑鉄の少女たち」と呼ばれた彼女達が、「鋼鉄の少女たち」へと成長していく様を描こうとした、大河ドラマにしてビルディングスロマンと言えるでしょう。未完なんですけど。

以下は序章で実現不可能(実行すれば自分の隊に多大な損害が生じる)な任務を命じられて、無理だと進言するレタ軍曹に対しエオナ中尉が返した言葉です。

>「では逆らってみようではないか!運命とやらに!約束だレターお前たちを全員生きて帰してやるーお前たちー「鋼鉄の少女たち」を!」

これこそ戦争!軍人の生き様!

しかしこの作品は同時に、(他の仮想戦記モノの小説・漫画などに比べ)戦争の悲惨さを強く描いている作品でもあります。戦争や政治といった巨大な現実に振り回される個人の人生、泥臭い戦場での生活、戦友の死や身体の損傷、そして女性捕虜に対するレイプー挙げていけばキリがありません。

ミリタリー成分とこの悲惨さ、そして萌え要素がセットになった本作『鋼鉄の少女たち』は壮大な名作ーになる筈でした。何せ未完なモンで。2chの軍事板に野上先生のスレがあって、同人で補完したらしいという噂も聞いてるんだけど、よく分かりません。

野上先生は現在同人誌『蒼海の戦記』で新たな戦記モノに挑戦されています。自分にとってこれからもずっと応援したい漫画家の一人です。
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物語三昧-『女神の花嫁』『暗き神の鎖』 神の観念を描くこと~君のそばに宗教は真摯にありますか?

久々のペトロニウスさんの更新キター!!でもまだネット環境は復活されてないようですね。また知的興奮を刺激する記事を楽しみにしています。

さて本題、上記のエントリに関して。宗教系の本はちゃんと読んだ事ないけど、『新世紀エヴァンゲリオン』を観た時や、『HELLSING』『BASTARD!!-暗黒の破壊神-』を読んだときに強く興味を覚えて、ネット等で調べものをするのはよくありますね。

劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に

¥4,273
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HELLSING 9 (9) (ヤングキングコミックス)/平野 耕太

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BASTARD 24―暗黒の破壊神 (24) (ジャンプコミックス)/萩原 一至

¥410
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キリスト教や仏教、イスラム教にも並べた順番に興味があるけど、今一番調べたいのは「神道」についてかな…それ系の本もいくつか準備してます。


これだけは知っておきたい 世界の宗教 知識と謎80 (オトナの常識)/竹内 睦泰

¥1,200
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萌ゆる神の国!/鈴木 ドイツ

¥1,500
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で、ペトロニウスさんのエントリで特に目を引いたのはこのところ。

>けど、この気持ちの裏返しが、①「宗教を信じる人の弱さ」(=自分を信じられない意思の薄弱さ)というものへの嫌悪感につながったんだと思います。何かに依存する気持ちこそ、唾棄すべきものだ、という思いがったんでしょうね。いまでも、僕は依存する人間に対して、強い嫌悪感がある。・・・・もちろん、理想どおりにはいかない。人間なんて依存の塊だし、人間関係というのもなんらかの依存をベースにしているものだ。けれども、それでも、自尊自立していこうという意思なくして、その人間を本当に「人間」と呼べるのか?って僕は思ってしまいます。福沢諭吉先生がいったことは、やはり凄いね、と思う今日この頃です。

確かに「何かに依存せず自立した個人でいること」は、この自由主義・民主主義・資本主義の社会においては人間に最も要求されることです。

でも・・・「オタクは宗教」って言い出したのは岡田斗司夫だっけ?記憶が曖昧なのですが…ほら、2ちゃんねるなんかで「○○信者」っていう言い方がよくされるじゃないですか。少なからずオタク以外の分野にも適用されるけど、その多くは漫画・ゲーム・アニメ等のオタク文化の、ある一つのブランドに対する熱狂的な信仰者に対して使われる言葉です。

この辺はライターの大泉実成氏なんかも言及していたけど、グッズをコンプリートするオタクの生態に宗教的信仰の一つの形を見てしまうとか。これは「オタクの依存心が強い」のか、「依存するからオタクになる」のか「それほどオタク文化には強い力がある」のか・・・

いずれにせよ、個人的に思うところを纏めると、「依存は悪いことではないけど、生き残っていく上でのリスク(不寛容による外界への障壁の発生、裏切られたときのダメージ)は生じる。どうしても自分が依存してしまうなら仕方ないが、出来る限り「寛容」の範囲を広げ、リスクをヘッジする準備をしておけ」っていう提案が、自分の落とし所ですかね。ちゃんちゃん。
エム×ゼロ 7 (7) (ジャンプコミックス)/叶 恭弘

¥410
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『週刊少年ジャンプ』連載中なものの、物凄い低空飛行で『ムヒョとロージーの魔法律相談所』と打ち切りデッドヒートを繰り広げている作品。どうか円満終了をお願いします。

「魔法学校」を舞台としたこの作品ですが、主人公である九澄大賀は魔法を一切使えません(魔法を打ち消す特殊な能力「M0」のみ使える)。周囲の人間に自分が魔法を使えないことをバレないように、「M0」と知恵と体力を使って様々なピンチを切り抜ける学園ラブコメ、というのがこの作品の概要です。

ヒロインの夢を叶えさせてあげる、という一応の目標はあるものの、物語の中心となるテーマは「如何に頭を使ってピンチを切り抜けるか」という、「知略主義」です。目的よりも手段に焦点が当てられるこの作品形式は『DEATH NOTE』や『コードギアス 反逆のルル-シュ』にも見られます。ライターの宇野常寛氏が「決断主義」という名で「デスノ」「ギアス」を括っていますが、自分はそれは違うと思います。共通しているのは「知略主義」です。

ただ、「デスノ」「ギアス」に比べると「学園内」で話が完結してしまっている分物語の触れ幅が小さく、カタルシスが小さいのが『エム×ゼロ』の欠点なんですよね…同じ「魔法学園モノ」の『魔法先生ネギま!』は「魔法世界」という外の世界を作り出して、壮大なフィールドに向かって飛び出していきました。『エム×ゼロ』はどうなるのでしょうか。