2006年01月23日(月)

THE有頂天ホテル パズルピースがかちっとはまる快感

テーマ:映画

utyou

◇渋谷のシネタワーにて,雪の朝の第1回目鑑賞。


◇「笑の大学」での,あまりに演劇的すぎて映画の特性を生かし切れなかったことに残念さを感じた三谷監督作品だが,この新作はすばらしい!


◇オールスターと言っていいほどの豪華キャスト陣の一人一人にきちんとスポットが当たり,その人物の内面が描かれ,そして様々な人物達の織りなす一見バラバラなパズルのピースが,最後にぴしっとはまって,見事な絵を現出する,そんな快感に満ちた作品である。


◇「パリの空の下セーヌは流れる」以来,このようなばらばらな物語が一つに収束していくストーリーが大好きであり,そんなシナリオを創り上げる脚本家を尊敬する。三谷氏はそんな希有の脚本家である。加えて,監督としての映画作りの腕も確実に上がってきている。それは,「笑の大学」での一部屋の物語が,ホテルの建物に増幅拡大した点を評価したい。ホテルの縦横に広がる広大さが,映画の広がりへとつながっている。今後外へも広がっていくのだろうか。


◇キャストは誰もが名演技だが,特に伊東四朗・西田敏行は絶品である。役所広司はイメージが少し固定化して来つつあるので,今後ものすごい悪役を演じることを期待したい。どんな役もこなせるのが彼の凄さである。


◇画像的には,セピア調でざらっとした質感があるのは,意図的にであろうか。それとも劇場の特性だろうか。鮮鋭さには少し欠ける。


2006年01月15日(日)

あずみ 百人切りの実写化に拍手

テーマ:映画

◆BS-iにて放映分をHDD録画でハイビジョン視聴。


◆「ヴァーサス」での疾走感あるアクションで注目していた監督北村龍平が見事にやってくれた。劇画「あずみ」の百人切りの実写化を。これほど人が死ぬ映画も珍しい。子供には余り見せられない。


◆上戸彩は自然なアクションで感心させられる。もう少し憂いが表現できると最高だが。うつけ3人組も印象深いキャラだ。しかし,なんといっても美女丸のオダギリジョーのぶっ飛んだ演技が素晴らしい。美しくも巨大な怪物に見える。


◆美女丸とあずみの対決で,カメラが360度縦回転する映像は新鮮。デ・パルマが360度横回転をよく使ったが,縦回転すると居心地が悪く,のりものに酔ったような感じになる。美女丸の倒錯感を増幅する。


◆男優人も小栗・成宮・瑛太等若手の充実に,ベテランもしっかり脇を固め揺るぎなし。

アミューズソフトエンタテインメント
あずみ デラックス・エディション

2006年01月15日(日)

ランド・オブ・デッド 生々しい地獄絵図,しかしそれだけ

テーマ:映画

◆レンタルDVDにて鑑賞。

◆ゾンビシリーズの御大「ジョージ・A・ロメロ」の新作。


◆3部作の完成度があまりに高いためか,残念ながら本作はそれに及ばない。ゾンビが人を食す,地獄絵図は目を背けたくなるようなリアルさだが,それだけである。


◆ゾンビにリーダーが出現し,彼に従って集団としての恐怖を描くというのが今回のポイントの一つだが,ゾンビリーダーにカリスマ性が薄く,企画が成功していない。

◆主人公達一人一人の描き込みも薄く,仲間同士の関係がよくわからない。中国系の巨人にはもっと活躍して欲しかった。

◆悪のボスは何とデニス・ホッパーが24シーズンⅠのビクター・ドレイゼンと同じ風貌で登場し,「お!」と思わせるが,ビクター・ドレイゼンの残忍さやカリスマ性はみじんもなく,情けないこときわまりない。


◆特殊メイクだけが際だって,ストーリーがない失敗作と言えよう。誰にだって駄作はあるものだ。

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ランド・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット
2006年01月15日(日)

エイリアン・ビギンズ HRギーガーの造形美を再確認

テーマ:映画

◆レンタルDVDにて鑑賞。

◆あまり,期待はしなかったが,あまりにチープであり,時間を損した印象が強い。

◆日本語の題名とジャケットは,あの「エイリアン」シリーズとの関係を伺わせるのだが,全く関係がない。「バットマン・ビギンズ」や「エクソシスト・ビギンズ」のようにバットマンやエクソシストの前エピソードを語るものでは全くない。


◆エイリアンははっきりとは見えないが,美しくなく,今更ながらにHRギーガーの「エイリアン」シリーズの造形の美しさに感心させられることとなった。


◆どちらも囚人輸送車の事故だということだけ笑えた。

ジェネオン エンタテインメント
エイリアン・ビギンズ
2006年01月09日(月)

輪廻 不条理こそ恐怖

テーマ:映画

大石 圭, 清水 崇
輪廻

◆ユナイテッドシネマにて鑑賞。前から3列目,前に誰もおらず快適。後ろの客が背もたれをドスドスやったので,振り向いてやったら,もうしなくなった。よかった。


◆筋書きが理路整然として,途中で優香の正体も分かってしまう。理路整然としているから,冒頭の数人の怪異も納得がいくのだが,やはり怖さはずいぶんとそぎ落とされていってしまう。不条理こそ恐怖なのだ。


◆優香・椎名桔平のキャスティングもはまっているとはいいがたい。あまりに人口に膾炙されすぎている俳優ということか。優香は熱演なのだが,優香の明るさがぬぐい去れなかった。香里奈はそんな中で一人魅力を放っていた。


◆映画撮影の現場が舞台であり,劇中劇の様相を見せるが,あまり効果的とはいえないのが残念。映画のラッシュに子供の幽霊が映るが,あまりに人間的すぎる。「女優霊」があまりに優れていたのでつい比較してしまう。しかし,見えそうで見えないのが怖いという小中理論と清水崇のもろに幽霊を見せてしまう話法の違いがあるわけだが,怖さでは小中理論を支持したい。


◆そんな中でも怖かったのは,8ミリフィルムと生き残った奥さん。毎日手合わせてつぶやくのは呪詛だろう。輪廻転生しても救われないとは悲しいテーマである。

2006年01月08日(日)

キングダム・オブ・ヘブン エルサレム問題

テーマ:映画
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産)

◆レンタルDVDにて鑑賞。

◆巨匠リドリー・スコット監督の歴史超大作。「デュエリスト決闘者」からのスコットファンである。冒頭に絵画タッチのスコットフリーというロゴが出る。自分の映画会社つくってまさに創りたいものを創れるということだろう。


◆冒頭,鍛冶屋である主人公が剣の道でもいきなり才を発揮するところはちょっとショートカット。父親が尋ねてくる前までの生活もほとんど語られないので唐突な感じではある。


◆しかし,後半の大戦闘シーンはさすがに圧巻。累々たる屍の上をカラスかなにかの鳥が群がっている映像には戦慄を覚える。人類の歴史が戦争の歴史であることを感じる。

 距離を測定した正確な投石作戦,オイル作戦,やぐら引き倒し作戦など知恵で大群を迎え撃つあたりは実に爽快である。自分たち命は自分たちで守る,そのためには戦うときには戦うという心理は一つの真理である。

◆現在まで営々と続くエルサレムの問題がエピローグで語られ,実質上無信教の多くの日本人の一人である私は,この問題に興味をもつことになる。そういった意味でも価値ある作品であった。


2006年01月05日(木)

キングコング 息もつかせぬ3時間

テーマ:映画
Philippa Boyens, Merian C. Cooper, Fran Walsh, Peter Jackson, Edgar Wallace, 田中 芳樹, フィリッパ ボウエン, メリアン・C. クーパー, フラン ウォルシュ, ピーター ジャクソン
キング・コング

◆ユナイテッドシネマにて鑑賞。

◆3時間オーバーの超大作である。「さすがに長すぎる」「絶賛の嵐」など賛否両論の中で,ほとんど内容を予習せずに観る。


◆3時間はあっという間であった。恐竜があんなに速く走れるのか,そもそもTレックスは足が細いので走れないなどの科学的考証の不備も何のその,心躍らせる冒険活劇がこれでもかと詰め込まれた作品である。


◆特に谷底での虫たちの襲来は恐怖であった。前の住居ではムカデがよく出ていたので,鳥肌ものだった。沼にいる牙だらけの内蔵の肌色は目に焼き付いて離れない感じ。


◆ヒロインのナオミ・ワッツはセリフがあまり無く(後半ほとんど無く),その分の表情などの演技が要求されるわけだが,ブルーの瞳は美しいものの,心情的に迫ってくるものは少ない。


◆サウンドはサラウンドバックまでよく回り,複葉機のエンジン音の移動などすばらしい。


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