学生団体S.A.L. Official blog

慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。


テーマ:

 

一番印象深いホームステイ時のことについて、見聞きしたこと感じたことをまとめようと思います。

私がホームステイさせていただいたアブロヴィーヤさんの家庭には、お父さんお母さんに子供は男の子が3人いました。もとはシリアのホムスという町に住んでいたが、ホムスは内戦直後から被害が激しいところだったようで、お父さんは「ほかでもなく爆弾から子供たちを守るためにシリアから逃れようと決めた」と言っていました。

初日は青年海外協力隊のかすみさんと一緒にステイさせてもらえる予定だったので、通訳してもらえるうちにできる限りのことを聞こうと思っていました。家についてすぐにお母さんが屋上に案内してくれ、子供たち3人は逆立ちをみせてくれたり、サッカーしようと誘ってくれ、とても楽しく過ごしました。しばらくして、お父さんが帰ってきたと聞き、私はすこし緊張したのですが、お父さんは私たちに軽く挨拶したあとすぐに3人の息子と本気でプロレスごっこを始めたので驚きました。お父さんと3兄弟がはしゃいでいるのをお母さんがほほえましく見守っている様子がとても幸せそうで、その様子に安心したというか、「シリア難民の家庭」という先入観のせいで抱いていた、妙な不安が消えたのを覚えています。

その後、私はかすみさんを通してシリアのホムスのことを聞いてみようと思い、写真はあるかとお父さんに聞いてみたところ「見るとつらくなるから全部消してしまった。」と苦笑いしながら言われてしまいました。そして、お父さんの弟さんがまだシリアにいて、今日もお金を送ったのだ、という話を聞きました。

二日目は、家に親戚の供たちがたくさん来て7人くらいの子供たちとけん玉や折り紙や、ヘナタトゥーをして遊びました。印象的だったのは、女の子も男の子も私になんどもなんどもコーランの暗唱を見せてくれたこと。自分はここまで言えるんだ、とコーランを見せながら嬉しそうに教えてくれました。イスラム教が彼らにとって本当に生活の重要な一部であることを強く感じた瞬間でした。

かすみさんが帰ってからは、本当に言葉が通じなくなってしまいましたが、不思議と変な緊張はなくて、6畳ほどのリビングに家族みんなですわっているだけで、なんとなく暖かくて落ち着く感じがしました。その日の夜に、家の屋上に親戚らが15人くらい集まり、突然たくさんのビニール袋が運ばれてきました。そのなかには子供用の洋服やおもちゃや本、大人用のサンダルやバック、そして毛布などがたくさん入っていました。後々聞くと、それは、80年代のシリア政権の一部勢力に対する弾圧によってヨルダンに逃れてきた人々が、現在の内戦で逃れてきているシリア人を支援しており、ちょうどイードの時期にそういった中古品などを送ってくれるということだった。みんなで夜中まで服を体にあててはしゃいだりしていて、親戚同士のつながりのつよさを目の当たりにしました。

 

3日目は朝から羊の解体を見に行きましたが、運よく、帰りに一緒にTBSラジオで番組を持っている荻上チキさんが私のステイ先にインタビューをすることになり、田村さんと一緒にいらっしゃいました。荻上さんは非常に突き詰めた質問をしてくださり、私が聞きたかったことを目の前でお父さんの口から聞くことができました。

まずはシリアから逃れてきた時の話。およそ100人のグループで逃げてきたそうです。移動はほとんどが夜間。昼間だと目立つので、どこにいるかわからないスナイパーたちにいつ撃ち殺されてもおかしくないからだそう。しかし、夜には小さな子供たちが泣かないようにするのにも苦労したと言っていました。アブロヴィーヤさんたちのグループの一つ後ろのグループは、逃げている間に見つかり、全員で火あぶりにされてしまったそう。そんなぎりぎりの状況でなんとかヨルダンにのがれた後は、様々な家を転々としましたが、運よくうまい具合に保証人がみつかるなどして、今の住居に落ち着いたといいます。お父さんはけがで現在仕事はできず、ヨルダン政府から支給される支援で生活をしていました。田村さんが、「この家族がこれだけ支援をもらっていることに驚いている」、とおっしゃっていたので、この家族より貧しくても、もっと少ない支援しかもらえていない人々もいるのだとおもいます。支援の公平な分配の難しさを感じました。実際、お父さんもコネがないと支援はもらえないと言っていました。

シリアから逃れてきた時、三男はまだ生まれておらず二男はまだこの心がつく前、長男のハイーブくんだけが当時の状況を覚えていたようでした。ハイーブ君は、いよいよホムスの家を出なければならないという日に、自分の部屋の大切なものがとられないように、カギをかけていきました。そのあと、一時的に家の様子を伺いにもどったときには、もともと家のあったところは爆撃で更地になっており、ハイーブ君は自分の部屋のものがこれから先もとられないようにその更地に鍵を埋めてシリアを出てきたそうです。そのような経験をしたのが原因なのか、何年も経ったいまでも、家を出るときに鍵をかけたかどうか、過剰に気にするのだと、お父さんとお母さんが話してくれました。シリアで目の当たりにしてきたことがまだ7歳のハイーブ君の心に確かに大きな影響を与えているのだと思うと、なんとも辛くなりました。実際、萩上さんの取材がはじまったとき、次男と三男は、静かにしろと言われてすぐにすねて別の部屋にいったりおもちゃで遊んでいる中で、ハイーブくんだけはじっとお父さんのことを見て逃れてきた時の話を聞いていた姿が印象的で、未だにそのときのハイーブ君の顔が忘れられません。

続いて、現在の話です。現状は、生活をしていくのに十分な支援はもらえているそう。しかし、子供たちは中学までは行けるとしてもその先の教育を受けられるかどうかは見通しが立っていないらしいのです。「今ある支援がなくなるのは困ります。しかし、私たちが一番に臨むことは、更なる支援ではありません。もともと私たちはシリアに暮らしていたんです。支援が必要な人間ではなかったんです。だから、一刻も早く内戦を止めてください。これからもずっとヨルダンで暮らしていこうとは考えていません。早く帰りたいです。」とおっしゃっていました。シリア難民の方々の願いは国に帰ることただひとつだ、ということは、聞いていたしわかっていたつもりではありましたが、目の前でこれだけ強く言われてみると、胸を打たれるものがありました。

 

インタビューの途中でお父さんが外出しなければならなくなり、代わりにお父さんのお兄さんが答えてくれました。そのなかでは、「私が自信をもって言えるのは、シリア内戦に関する、世界中のあらゆる報道や記事には毎日目を通しているつもりだ、ということだ。今日の朝もロシアとアメリカが停戦合意をしたというが、国の利益に影響のない勢力に対しては一切明言しない。シリア内では、もはや国同士の合意などなんら意味がないということをもっとわかってほしい。」と話していました。田村さんのお宅でも聞いた話ですが、シリア国内では、だれがだれを殺しているのかも分からないような状況であるということ。だからとめようがなくなっている状況なのだと改めて感じました。

 

ホームステイを終えて、私がまず強く感じたのは、やはり、シリア人の家族を大切にする気持ちの強さです。田村さんのお宅で見た映画のなかで、シリア人が「私には妻がいる、子供がいる、幸せじゃない理由がないだろう?」と言っていた。その意味がホームステイをする中でより分かった気がします。そして、家族をこれほど大切にできるシリア人の方々は本当に豊かな心をもっているとおもいました。正直、私はアラビア語も話せなかったし、何を目的に来たのか、どんな素性なのか、十分に伝わっていたかどうかはわかりません。それでも、私のことをまるで家族のように迎え入れてくれて、なんとかコミュニケーションをとろうとゲームを教えてくれたり、日本語を覚えようとしてくれたりしました。そういう、他人を他人と思わずに迎え入れてくれる温かさみたいなものをずっと感じていました。いまでもお父さんは、FACEBOOKで子供たちと撮った写真を送ってくれたりします。

そういった豊かな国民性をもったシリア人たちがなぜヨルダンで暮らさなければならない状況なのか。逃げて来た時の悲惨な話を目の前で聞いて、そして今のシリアの現状を聞いて、感じたのは、「世界には今あらゆるところで紛争が起こっており、比べるものではないと思うが、だれがだれを殺しているのか、その目的もはっきりしていないというシリア内戦というのは、本当に異常な状況である」ということです。そしてこの状況があまり知られていない日本はおそろしく平和ボケをしているということです。仕方ないことかもしれないけれど、かつてはシリアも紛争とは程遠い天国に一番近い国などと呼ばれていたことも忘れてはいけません。日本がいつシリアと同じような状況に陥ってもおかしくない。わたしはスタツアという機会があったから、このことを知っただけで、日本人の大半は知らないと思います。本当はもっとメディアという大きな影響力を持つ存在がシリアのことをもっと発信してほしいけれど、それは難しいのだとしたら、私のように、生の声を聞いた人間は、微力ながらもそのことを発信していく必要があるとおもいます。帰ってきてすこし時間がたった現時点で感じていることは以上です。

 

【文責:企画局1年 荒木莉子】

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

学生団体S.A.L.さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。