クリアネス | Eisai i nyxta me ta ainigmata

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つぶあんこは電気ショックで死ぬ夢を見るのか。


嫌よ嫌よもスキのうち。
「クリアネス」を観てしまいました。
http://www.clearness.jp/

ケータイ小節の映画化だよ!
そんなの地雷に決まってるよ!
どーせ甲斐性ない金髪男が純愛に盲目なだけで
振り回しているだけに決まってるじゃないの。
観る前からわかってるじゃん!

その通りなんだけどね、観てきちゃった。
「クリアネス」で気に入っているところは
原作者の十和(トワ)が顔出しでメディアに出ていたことなのですよ。
お前強気だなあ、と。

ぶっちゃけ映画は「恋空」の100倍楽しく観れました。
とはいえ「恋空」が1億倍のダメ映画である以上
ダメなことには変わりないんだけどね。

性にだらしないくせにそれの自己正当化だけは鋭い主人公
(一応「さくら」と言う)。
生計に甲斐性のない金髪の相手(こと「レオ」)。
時空を越えた偶然が織り成しちゃう「ありえない偶然」の連発!

ケータイ小説のお約束らしき事が見事にすべて入ってます。
とはいえ、妊娠、中絶、ガンにかかる、鳩が飛ぶといった
アホみたいなヒステリックなエキセントリックがないだけ
恋空よりマシだとは思うのですが。

とりあえず、さくらとレオはいつどこでケータイ番号を交換したんだ?
知らない奴でもホイホイ出会ったらケータイ番号くらい交換するのは
当たり前だから描くの省略しているのか?

それと、レオもさくらの彼氏も男としてアホすぎ。
甲斐性の説得力がまったくありません。

レオとさくらの出会い方もすごく変。
なんだ?ベランダで顔を合わせている程度の認識だけで
男は彼女がデリヘル嬢だってのがわかるんだ。
すげえ眼力だよ!まさに出張ホストの鏡!
なのにこの金髪ホストレオの「ホストらしくなさ」といったら。
ホストとして説得力を全く感じさせない演技なんだなあ、これが。
誰か知らない男から産み落とされて
風俗店に入り浸って風俗嬢に可愛がられて育ち
あげくにすったもんだあったあげく「ホストになります」って
まったくもって説得力に欠けるのですが。
なんか小説では重要なエピソードらしいのですが
「大きくなったら透明人間になりたい」ってエピソードを
(ここはおざなりに映画では描いているからファンはがっかりかも)
ソラでシレっと言える根性の軟弱さときたら虫唾が湧く!

これがデリヘル嬢とホスト崩れの恋愛話でずっと展開していくのなら
安いドラマで済むのですが
この話、途中からレオが起こした喧嘩から逃げるだけの
逃避行になっちゃうんですよ。
その相手がさくらの彼氏こと「甲斐性ないストーカー」なのですが
コイツが弱い!細い鉄パイプで2発殴られただけで
意識不明の重体になってしまう程弱い!
(何故か病院のシーンでは足まで骨折している)
コイツの描写が本当にデジタルにダメ男として描かれているのですが
それにしても主人公のさくらがなんでコイツをスキになったかが
さっぱり説得力を持っていない!持てない!
モテる男に見えない!
しかも終盤イイ事しているぶりが自己陶酔していてキモい!
それよりその程度の喧嘩、示談で解決しろ!
もとい、自業自得なんだから警察に言うな!
そうじゃなければ紙のように弱い身体を何とかしろ!

途中さくらはレオを客としてホストとして買って
与那国島へ1泊2日の(なんだその予定は)旅に出るのですが
与那国島で出会った夫婦と
終盤の大阪への逃避行でばったり出会ってしまう偶然!
しかも逃避行中にその大阪のお好み焼きやで後先考えず働いちゃう二人!
さらにそこに東京から「阪神戦を見に来た」という理由で
東京でさくらを探していたはずの女友達と遭遇してしまう偶然!
この終盤の「偶然コンボ」は爆笑します。

これ、「デリヘル嬢とホストくずれの転落話」なのは合ってるよね?
「転落」はするんだけど、観ている側が期待する「転落」って
人間として転落していく様だったりする「はず」だよね?

ただケーサツから逃げ回っているだけの話じゃん。
どこが「限りなく透明な恋の物語」なのさ。
その逃避行の間に二人で本当の愛を簡単に見つけちゃってたりするし。
(その程度の幼稚な認識で一生をつながる相手だと思えるのが凄えよ)
そうですか、あとペアリングの引力ってのはそんなにすごいんですか。

そして最後のオチ。
散々逃げ回った二人、ついにレオは警察に自首します。


お前未成年だったのかよ!


最高にダサいエピソードに総ツッコミですよ。
ただのガキの喧嘩じゃねえかよ。
それが透明な純愛ってのの正体かよ。
懲役沙汰じゃなく少年院に送致されるかもわからん程度のいざこざで
日本中を逃げ回るなよ!
ただのヘタレじゃんか!


しかもそこで「ストーカー彼」はいい人になる筋合いないじゃん。
そしてなんやかんやあって与那国島の
「日本でいちばん最初に観られる夕日」の見える崖の上で
さくらとレオは真実の愛を確かめ合うのでした。
かな~り書き飛ばしている気が凄くするけれど、おしまいおしまい。

もう、日本の映画界では
「ケータイ小節の映画化」は禁止した方がいいっすよ。
これを観て感動する中高生のキモチが、理解できないっすよ。
でも理解できて共感できる方が、
いまの若い人の文化を理解できるという点で
正しいのかもしれないんだけどね。

ちなみに客入りは全然入ってませんでした。
あと、これがユーロスペースなんかで上映されるなんて、謎すぎるぞ。