不当な値引きに対する対処法-下請法の使い方
前回は下請法により規制を受ける発注者の立場から、下請法について解説しました。
今回は下請法により保護を受ける下請事業者の立場から、下請法の使い方について1つの事例を紹介したいと思います。
お客さんから発注を受けるときに「今回は少しの発注だけど追加で大量に発注をするから値引きして」と頼まれて、通常代金より値引きして引き受けたら、その後の追加発注がなかった、そんなトラブルをよく聞きます。
たとえば、CM制作会社が広告会社から依頼を受けて、CM制作を引き受けるときに、「5本頼むから」と言われて通常の1割引の値段で引き受けたけれども、実際は最初の1本の発注だけで残りの4本の発注はなかったというような場合です。
このような場合、CM制作会社は「1本しか発注がなかったんだから値引きはできません」と言って、広告会社に対し通常の値段で請求することができるのでしょうか?
このようなケースでお困りの場合、下請法で救済されないかを考えてみましょう。
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は,親事業者が発注者という立場を利用して外注先に対し、不当な買いたたきや不当な返品等をすることを禁止する法律です。
「多量の発注をすることを前提として下請事業者に見積りをさせ,その後実際には少量の発注しかしないまま、多量の発注を前提として決めた単価を適用すること」は、この下請法で禁じられています。
外注先が発注先の違反を公正取引委員会に申告すると、公正取引委員会が発注元に調査をし、違反を認めた場合、公正取引委員会が企業名を公表したり、値引き分の支払いを勧告します。
このように下請法というのは不合理な値引きに対抗していく場合に大変使える法律です。
下請法が適用されるのは、必ずしも例に挙げた、CM制作の場面に限りません。
・運送会社が大量に荷物を引き受けることを前提に運賃を割引したが、実際は少量の荷物しか頼まれなかった場合
・映像制作会社が大量に制作を引き受ける前提で制作代金を割引したが、実際には少量の映像制作しか頼まれなかった場合
・部品メーカーが家電メーカーから大量に部品の製作を引き受ける前提で部品代金を割引したが、実際には少量の部品の発注しかもらえなかった場合
などはすべて下請法が使える可能性があります。
ただし、下請事業者の資本金の金額が一定以下で、かつ親事業者の資本金の金額が一定以上の場合にのみ適用されるなど、下請法が適用される場面には一定の限定があり、この点をチェックする必要があります。
発注元の不当な値引きや、不当な返品、仕様通りの製品を作ったのに受け取らないなどの行為にお困りの方は一度当事務所にご相談ください。
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