残業代請求のリスクから会社を守る方法④-変形労働時間制の活用 | 労働基準法の解説ー休憩時間、労働時間、解雇、退職、残業など

残業代請求のリスクから会社を守る方法④-変形労働時間制の活用

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 今回は「変形労働時間制」という制度を使って残業代を合法的に削減する方法をお知らせします。


 この方法は週休二日制を採用しさらに祝日、年末年始、お盆休み等を休日にしている会社であれば、どの会社でも利用できる方法です。




 労働基準法では1日の労働時間は8時間以内が原則とされており、8時間を超える労働に対しては残業代を支払わなければなりません。

 週休二日制を採用し、さらに祝日を休みにしておられる会社では、祝日のない週は週5日出勤して40時間労働ですが、祝日がある週は週4日未満しか出勤しないので、週32時間未満の労働時間になっています。


 1年単位の変形労働時間制は、1年を平均して1週間あたりの平均労働時間を40時間とすればよいという制度です

 この制度を利用すれば、国民の祝日や年末年始、お盆を休みにすることにより、1日あたりの所定労働時間を増やすことができます。

 たとえば、週休2日と国民の祝日に加え、年末年始を4日、お盆を3日休んでいる会社だと、休みが多い分、出勤日の所定労働時間を8時間30分と設定することができます。このことにより、30分分の残業代については支払う必要がなくなるのです。


 この制度の利用のためには労使協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。また、就業規則にも制度の採用を明記する必要があります。

 

 「30分の残業代くらいたいしたことがない」と思われる方もいらっしゃると思います。

 しかし、時給換算で1500円の給与をもらっている社員が100人いる企業では、この制度を採用することにより削減できる残業代は、1日9万円を超えます。

 年間ではなんと2000万円を超えるのです。


 中小企業の中には不払い残業代が発生している会社もあると思います。

 いままではそれでも特に問題にならなかったかもしれません。

 しかし、残業代不払い問題については現在、弁護士や司法書士の注目をあびており、いずれ退職した従業員による残業代請求が激増する時期が来ることが予測されます。現に債務整理の領域で活躍していた弁護士や司法書士が、債務整理事件の減少につれて、残業代請求の領域に移ってきている傾向がでています。

 

 残業代請求が激増する前に、残業代の負担をできるだけ削減した上で、支払うべき残業代は支払うという体制を整えることが、会社を守ることになるのです。


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