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2009年11月12日(木)

社会不安障害(SAD)  福岡

テーマ:社会不安障害(社交不安障害)

最近突如としてこの病気の患者さんが増えてきました。


それは、テレビや新聞で、それまで「あがり症」や「恥ずかしがり屋」といった性格の問題と捉えられていたものが「社会不安障害」という病気であって治療を受けることができるというキャンペーンに触発されてのことです。


他人に悪い評価を受けることや、人目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じたり、身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障をきたすことを、社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)といいます。


この病気も、うつ病やパニック障害同様に、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることによって起こると考えられおり、同じようにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)というタイプのお薬が治療薬として保険適応を取得しているのです。


緊張や不安というのは決して消えてなくなる性質のものではありません。誰でも多少の不安や緊張を持ち合わせているのですから。患者さんは治療を受けると、「最近緊張する場面に出会わなくなったのかもしれない」等と表現します。それはすなわち、それまで嫌っていた緊張が軽くなり共に居られるようになったということなのかもしれません。

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2009年10月26日(月)

社会不安障害(SAD)  福岡

テーマ:社会不安障害(社交不安障害)

 先日、60代の女性がうつ病の疑いということで紹介されてきた。しかし、よくよく話を聞いてみると神経症の対人恐怖(社会不安障害)だとわかった。小心・内向的・取越苦労しやすい性格で、若い頃から対人恐怖のため人と接することを極力避けてきた人である。子供さんが学校に行っている頃は、PTAの役は全て断り、授業参観だけは仕方なく出ていたという。症状が悪化したのは、御主人が定年退職してからである。買物に出かけて知っている人に話しかけられるのが嫌だということで、優しい御主人がすべて買物などの用事を足してくれるようになったところ、ますます外出することが不安でできなくなってしまった。ところが、近々、親戚の結婚式の予定が入り、さらに自分の息子さんが結婚相手を自宅に連れて挨拶に来る予定も入り、それらのことを考えると心配で恐ろしく、食欲も落ち、夜も眠れなくなって、一見うつ病ではないか、という状況になっていたのである。すでに他院で処方されていたSSRIのパキシルは、うつ病だけでなく社会不安障害にも有効とされているので、それを継続するとともに、神経症となるメカニズムを説明した。そして不安ながらもそれを避けずに少しでも外へ出て行くこと自体が治療になる、と話した。さらに神経質な性格は悪いことではなく、それを生かしていけば良い、ということも忘れずに付け加えておいた。





2009年10月24日(土)

社会不安障害(SAD)  福岡

テーマ:社会不安障害(社交不安障害)

 医師向けのMedical Tribuneという新聞326日号の特別企画として「社会不安障害におけるシグマ受容体の役割とフルボキサミンの可能性」という記事があった。フルボキサミンとは日本で最初に発売された新型抗うつ薬SSRIで商品名はデプロメールあるいはルボックスである。社会不安障害SAD(「社交不安障害」に名称変更)の適応もあり、製薬メーカーはこの分野での売り込みに力を入れている。最近ではシグマ1受容体に作用することで神経可塑性を改善し、脳内神経の再構築促進作用があるということがわかってきている。 


 この記事の中で、2005年に一般市民を対象にしたインターネット調査で「人前で話をする、食事をする、字を書くなどのときに緊張しますか」との質問に46%が「緊張する」と答えており二人に一人があがり症だとしている。またアメリカの研究ではSADの生涯有病率は13%という数字も出ているとのことだ。そこで早くこの「病気」を発見してSSRIを飲ませて「治療」しよう、という製薬メーカーの戦略に沿った大学教授たちの発言なのだが、本当にそうなのだろうか。


 インターネット調査だから回答者層には偏りがあるはずでいくらなんでも5割ということはないだろうが、少なくとも1-2割くらいの人はあがり症に悩んでいると私は推測している。そもそもこれだけ多くの人がそういう状態で普通に社会生活しているのを「病気」として薬で「治療」すべきだという考え方はいかがなものか。製薬メーカーは大儲けだが、医療費がパンクする。それに、薬を飲んで不安が軽減されるメリット以外に、薬の副作用、さらに私が以前から主張しているように神経質の良さも失われてしまうデメリットもある。それよりも森田療法の考え方で、緊張するのは仕方なしとして行動していく習慣づけをしていくのであれば全くお金もかからない。もちろん認知行動療法でもよい。シグマ1受容体云々でなくても森田療法などの精神療法でも脳内神経の再構築が行われるのではないかと想像する。もっともそれを検証することは試験管的な実験ではできないので極めて困難だし、巨大な製薬メーカーがバックについた研究と違って研究費も得られないから、精神療法の神経細胞レベルでの効果を検証する研究はいつまでたっても進まない。


 私は今でも人前で激しく緊張し、赤面し、あがる。講演の前にはおなかの具合も悪くなる。しかし、病気だとは考えないし、まあこんなものだ、と思っている。逆に神経質だからこそ事前にいろいろと準備を重ねるのでよい面もある。「神経質は病氣でなくて、こんな仕合せな事はありません」(白揚社:森田正馬全集第4p.386)と森田先生の言われた通りである。





2009年10月18日(日)

社会不安障害(SAD)  福岡

テーマ:社会不安障害(社交不安障害)

他人に悪い評価を受けることや、人目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じたり、身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障をきたすことを、社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)といいます。

この社会不安障害(SAD)は性格の問題ではなく、精神療法や薬物療法によって症状が改善することがある心の病です。ちょっと恥ずかしいと思う場面でも、多くの人は徐々に慣れてきて平常心で振る舞えるようになりますが、社会不安障害(SAD)の人は、恥ずかしいと感じる場面では常に羞恥心や笑い者にされるのではという不安感を覚え、そうした場面に遭遇することへの恐怖心を抱えています。

思春期前から成人早期にかけて発症することが多いこの病気は、慢性的になり、人前に出ることを恐れるようになると、「うつ病」等のさらなる精神疾患の引き金となることもあります。日本国内に推定で約300万人以上の患者さんがいると言われており、現代社会では多くの患者さんを抱える一般的な病気です。この病気にかかるのは決して特別な人ではなく、現在も海外では多くの患者さんが医療機関での治療を受けています。


1,症状

社会不安障害(SAD)が発生しやすい状況には次のようなものが報告されています。

社会的状況

  • 権威ある人と面談する
  • 人前での行為や会話
  • 知らない人との会話
  • 会議で意見を言う
  • 試験を受ける
  • 誰かを誘おうとする
  • パーティーを主催する

生理的状況

  • 人前でお腹がなる(なりそうになる)
  • 人前でおならが出る(出そうになる)
  • 自宅外でトイレへ行かなければならない
社会不安障害(SAD)では、強い不安症状が自律神経に作用し、さまざまな身体症状を発症することがあります。比較的、頻繁に見られる症状は以下のようなものです。
  • 顔が赤くほてる
  • 脈が速くなり、息苦しくなる
  • 汗をかく
  • 手足、全身、声の震え
  • 吐き気がする
  • 口が渇く
  • トイレが近くなる、または尿が出なくなる
  • めまいがする
  • パニック発作

2,治療

社会不安障害(SAD)の治療法には大きく二つ、薬を用いて治療する「薬物療法」と薬物を用いず心理的に治療する「精神療法」があります。二つの治療法は単独で行われたり、併用して行われます。

薬物療法

SSRI ベンゾジアゼピン系
抗不安薬
β遮断薬
神経細胞間のセロトニンの量のバランスを保つ薬で1年以上の継続的な服用が必要です。第一選択で用いられるケースが多い薬剤です。 即効性が高い薬で頓用として用いられることが多くあります。 高血圧の治療に用いるお薬です。不安を感じる場面が1つか2つに限られているタイプ(非全般型)に頓用で用いることがあります。

精神療法

認知療法 行動療法 森田療法
不安がなぜ発生するのかのメカニズムについて学習し、あやまった認知パターンを修正する訓練を行います。 不安が生まれる状況にあえて飛び込んで、刺激に身を曝す「曝露療法<エクスポージャー>」を行います。 不安を無理に除こうとせず、不安の裏にある、よりよく生きたいという欲望を建設的な行動につなげて、症状へのとらわれから脱するよう援助します。

3,治療のコツ

医療機関での受診を始めた方は症状が少しおさまってくると、「楽になった」「副作用が恐いから」との理由で、自己判断によって薬の服用をやめてしまうことがあります。しかし、こうしたことは病気の回復の妨げとなるばかりか、症状の再発や「うつ病」等のさらなる病気の呼び水となりかねません。医師の指示に従ってきちんと薬を飲むように、周囲の人がサポートをしてあげましょう。
また、周囲の人はSADに悩む患者さんがプレッシャーを感じずに社会生活を送れるように、家族であれば「話を聞いてあげる」「休日の行動を無理強いしない」、学校や会社の友人であれば、「朝礼時等に人前で話をさせない」「食事の同席を強要しない」等、患者さんが負担に感じる状況を作り出さないようにしてあげてください。




2009年10月04日(日)

社会不安障害(SAD)  福岡

テーマ:社会不安障害(社交不安障害)
■人前で強い恐怖、不安、苦痛 投薬プラス訓練が効果 ニートとの関連指摘も

 大勢での会食や人前でのあいさつなど人と接する場面で、特に強い恐怖や苦痛を感じる病気「社会不安障害」(SAD)。不安を感じる状況を避けようと、会社や学校に行けなくなり、病院に行くことにさえ不安を覚え、治療の機会を逃す場合も少なくない。一方、治療薬に保険が適用されるようになり、外来患者も少しずつ増加しているという。



 ●40―50代で発症も

 福岡市の会社員男性(45)は昨年10月、SADと診断された。もともと緊張しやすい性格で、人前でのスピーチは得意ではなかった。それでも、朝礼など、複数の前でも大して緊張することはなかったという。

 だが、約5年前に部下が増え、仕事の責任も重くなったころから、症状がでるようになった。上司や役員と会う場面では、一対一でも、手から汗が滴り落ちるほどに緊張し、「会議では突然、ダムが崩れたかのように頭が真っ白になって何をしゃべっているか分からなくなるようになった」という。

 医師は「(SADは)、思春期に人前で恥ずかしい思いをしたことが引き金になることが多いが、40―50代で責任ある立場となり、発症する場合もある」と説明する。



 ●日常生活に支障

 人前での自己紹介や初対面の人との会話、偉い人との面会―といった場合、誰でも緊張や不安を感じるもの。動悸(どうき)がしたり、手足が震えたりする状態は、正常な反応で病気ではない。

 だが、SADの場合、この不安や恐怖が過度になり、人前での行動が出来なくなる。「失敗したらどうしよう」「相手が自分をどう思っているのか」といった考えがエスカレートし、異常な緊張を自覚してしまう。

 原因は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」のバランスが崩れ、神経が過敏な状態になることとされる。不安な場面を避けるため、それまで活発だった人が引きこもってしまい、中には、外出を避けて、日常生活に支障を来すこともあるという。また、腹痛や吐き気を訴える患者もいる。



 ●7人に1人とも

 医師によると最近、SADでクリニックを訪れる患者が増えているという。2005年10月に、治療薬である「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」(SSRI)が保険適用となって、広く知られるようになったのが一因という。「それまで単なる内気やあがり症など、性格の問題と考えられていたSADが治る病気と分かったことで、治療に踏み切る人が増えたのではないか」と分析している。

 一方で、10―40代では、7人に1人がSADともいわれており、決して珍しい病気ではない。「ニートや引きこもりが増えている背景にSADある、といった指摘もある。病院に行くのをためらう人も多いのではないか」と医師は話す。うつ病やアルコール依存症にもつながりやすいので、本人だけでなく、周囲も注意が必要だ。



 ●治療は半年―1年

 診断は、精神科や心療内科を訪れ、米国精神医学会の診断基準(DSM―Ⅳ)を基に作成された問診票「M・I・N・I」や「LSAS―J」と呼ばれる評価項目で重症度を評価する。

 治療は、服薬治療と並行して、カウンセラーによる「認知行動療法」が主流になっている。この療法は、日常的によくある社交場面を想定し、恐怖症状が出たときの対処法を学ぶ。恐怖を感じる状況に症状が治まるまで居続ける「暴露療法」なども行われる。

 治療期間はおおむね半年から1年。緊張が完全になくなるわけではないが、不安や恐怖は緩和するという。

 また、治療薬SSRIの服用では、吐き気や眠気などの副作用が治療初期にみられる場合があるが「服用を止めず、医師と相談しながら治療を続けることが重要」と医師は話している。




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