破滅老人

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会社都合で共に失業した中には、60越えのシルバーさん達もいた。
その中の1人が、1年ぶりに連絡してきた。
職場では仲良くしてもらっていた、とても気のいい男性だ。
話の内容は、ズバリ借金のお願い。アパートの家賃が払えないから、5万貸して欲しいと言う。 

腹が立った。がっくりきた。  
そう思ったのには訳がある。

介護施設には、90歳になる母親がいる。
奥さんとは離婚したので、1人暮らしだった。
母親とその人の年金と、アルバイト代が収入の全てだったので、失業後は多分苦しい収支だったと想像がつく。 

失業の半年位前の事だった。その人が数社のローンを長い間払っている事を聞き、利息の過払いがあるのでは?と気がつき、自分なりに色々調べてあげたのだ。
少しでもこれからの生活の足しになればと、その手立てに協力した。

弁護士費用はかなり差し引かれたが、結局200万円以上の過払い請求が成功した。
パチンコ好きという浪費も心配だったので、そのお金は大切に倹約して使うように助言した。

一番最悪だったのは、あれだけ強く助言した、親がローンを完債した、その人名義の持ち家を売ってしまった事だ。
売ってお金が入って来ても、次に住む借家は家賃を死ぬまで払い続けなければならないのだから、直ぐに底をつく。だから家だけは絶対に売っては駄目。
余計なお世話かもしれないけれど、その人の先行きがとても心配だったから釘を刺した。

なのにだ。

ビックリするような安値で家と土地を手離し、苦労して取り戻した過払い金も1年ほどで使い果たしてしまった。
人の話を鵜呑みにするからだと、自分より目上の人とは言え、つい切れてしまった。

もちろんお金は貸さない。
冷たいようだけど返せる当てもないのに、それはないでしょう。
役所に行って生活保護の申請しかないと、本当にこれが最後の助言をした。

破滅老人への道とは、お金が無い、住むところが無い、不健康、そして孤独だそうだ。 
 
その日暮らしも、その人なりの生き方かも知れない。
でも私は、人に迷惑かける、心配かける、信頼を失くす、そんな終盤を迎えるのだけはとても嫌である。




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