くらしのきほん × 箱庭 × 灯台もと暮らしの編集長対談へ。 | 名古屋の編集ライター、そしておにぎりやさん。

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おにぎりやさんもやっています。

仕事、暮らし、思うことをあれこれ綴ります。

本作りにずっと関わってきた人間としては、
webってねぇ…という気持ちが正直ぬぐえなかった。

webというと、
検索するもの。
個人の発表の場。
無断で記事や写真をかき集めるもの。

どうにも、きちんと作っていると思えず
ずいぶんwebを軽んじていたのです。

でも、そんなの自分の凝り固まった考えだったということが
よーーくわかったできごとがあった。

くらしのきほん × 箱庭 × 灯台もと暮らし

いまをときめく、
webマガジンの編集長たちのトークショーに行ってきたのです。

やっぱりいちばん興味があったのは、
「くらしのきほん」編集長、松浦弥太郎さん。

松浦さんといえば「暮しの手帖」の編集長として、
本作りの世界にずっと身を置いてきた方。
しかも、作っていたのはwebとは真逆をいくような
アナログ系雑誌「暮しの手帖」だ。

その松浦さんが何を語るのか。

いくつか印象に残っている言葉があるけれど、
ひとつどうしても聞いてみたかったことがある。
トークショー後の懇親会で、
松浦さんにそのことを思い切って聞いてみた。

「私は本作りをずっとしているので、
webにどうも拒否反応があるんです。
でも、これからの時代、無視できないものだということも分かっている。
松浦さんは実際にwebの世界に移られましたがどうですか?」って。

松浦さんの答えは、
「これからはスマホだよ、スマホ。
ネットで発信したことをためて、本にすればいい。
くらしのきほんも、いつか本にするつもりだよ」って。

なんとまぁ、あっさり言うことか!
自分の変なこだわりが、ガラガラガラと音を立てて崩れていく。
ちなみに、松浦さんはあくまでスマホ推薦派。
パソコンの環境はなくてもよいくらいに思っているそう。
その考えにも驚かされた。

そして私の名刺を見て、
「webやっているんじゃない。
どんどんやりなよ、スマホだよ」って。

でも残念ながら私の名刺のwebは、
HPを作ろうと思ってURLだけ取ったまま放置されている残念なものです。

雑誌や本でできることは限られている。
反対に、webでできることも限られているかもしれない。
(しれないと言うのは、わたし自身がwebについて何も知らないから)

でも少なくても、本には絶対にできずにwebにできること。

「きのう感じたことを、今日発信すること」

webは機械的で、本は人間味がある。
正直、それを信じて疑わなかったけれど、
待てよ。

きのう感じたことを、今日発信することができるのなら、
そっちの方がよっぽど人の気配を感じることができるのではないか。
webでも、やり方ひとつで十分人間味を出せるのではないか。

実際、松浦さんがやっている「くらしのきほん」は決して機械的ではない。
制作の話を改めて聞いたけれど、
すごくアナログで作っている。
ただ、発信の場が本からweb(スマホ)に変わっただけ。

その後、箱庭さんとも、灯台もと暮らしさんとも、
同じような話をさせてもらう。
みなさん、webじゃなきゃいけない、というこだわりはなく、
ネットでも、本でもちょうどよい方でいいじゃないという考えだった。

そうそう、”ちょうどよい”。
松浦さんがトークショー内で、何度も使われていた言葉。

くらしのきほんの話でいえば、
創刊当初は週に4本記事をあげていたそう。
でもそれはとってもたいへんなことで、
自分たちがちょうどよくなくなってしまった。

ならば、何度でも読んでもらえる、
100年後の人にも読んでもらえるような良質なコンテンツを
週に1本の方がいいのではないかと、今は方向転換。

結局のところ、それが自分たちにとって”ちょうどよい”から。

このトークショー。
東京での開催で、
息子連れで…。

かなりよいしょの参加だったのだけど、
行ってよかった。
本当によかった。
いろいろな霧が晴れた気分の会でした。

トークショーの間、息子はipadで乗り切り、
団らんという名の懇親会では、
居合わせたお兄さんと仲良しに。
口いっぱいにおにぎりを入れたまま大笑いをしている。


この人の、こういう場面での馴染み方は本当に素晴らしい。
あの松浦さんに、ほっぺに付いたごはん粒を取ってもらい、
しまいには「鈴木さんに似ている」とか言いだすし。
誰だよ、鈴木さんって。

息子のおかげで、アウェーの会でもいろいろな人と話ができた。
前のめりでずいぶん話すことができました(笑)。
みなさま、ありがとうございました。

ところで、
くらしのきほん × 箱庭 × 灯台もと暮らし
が本当は何の目的で集まったか。
ヒントはスチーブ。

5/1に新しいことへの発信をするそうなので、
楽しみにしていよう。

そしてわたしは、
自分の”ちょうどよい”を見つけたいと思う。