間宮兄弟 / 江國香織

テーマ:
今までの江國香織とは違う、新しい作品ではないだろうか。
男性が主人公という作品が過去にあったか記憶にない。数々の江國作品を読んできたが、これは全く新しい気がして即買いをした。

先に紹介した『思いわずらうことなく愉しく生きよ』に続いて江國香織作品である。
これは最も新しい単行本で、女性週刊誌で7ヶ月ほど連載されていたようだ。
私はこれに関しても全く予備知識が無いまま、江國作品で男性が主役???という素朴な疑問から手に取り、即購入をしてしまったのだ。

見た目も仕事も何もかもパッとしない(というのは失礼かもしれないが)30代の兄弟の日々を、江國香織らしい穏やかなタッチで書いた作品である。
表題のとおり、その兄弟の苗字は「間宮」である。
酒造メーカー勤務の兄(35歳)と学校職員の弟(32歳)は二人で2LDK、¥138,000のマンションに二人暮しをしている。幼い頃から育った街で、二人は暮らしている。
どちらも女性関係はさっぱりで、うだつの上がらない恋愛遍歴を心に閉まって暮らしている。兄弟は口にしなくとも、お互いの恋愛ベタを知った上で同居し、お互いの心を推測して暮らしている。

会社や学校には、必ずいるタイプの男性~兄弟~なのだ。
優しいけど・・・いい人そうなんだけど・・・でも、決して恋愛対象にはならないし、友達になるかも微妙(というか、避けたいかもしれない)な男性。
でも彼らもいい年をした男性である。
いいなぁと思う女性も居れば、女性と楽しく食事もしたいし、毎日を面白可笑しく過ごしたいのだ。
「ああ、なんとなくわかる」というツボを、今回も著者は突付いてきたと思う。
あまりにも純粋で、こんな人達はこのご時世いないのではないかと思う一方で、独特な佇まいを見せる彼らに薄っすらと魅力を感じていく女性たちが出てくるあたりでホッとする。
人の善い彼らを解ろうとする人間が存在し、彼らに関わろうとする人間が居ることに。
兄弟は楽しく暮らしている。時々帰省する際には母親に山のように土産物を買い喜ばせ年末には兄弟で写真館で撮影した写真を送ったり、祖母を大切に想ったり、普通に平和に暮らしている。
そんな暮らしを壊したく無いと思う一方で、異性と深く関わってみたいという男性として当然の想いを抱き行動に移したりもする。が、そういうことをすることで、兄弟で築いている生活に変化が生じる。
そんな中で間宮兄弟は・・・

間宮兄弟の日常が気になってしょうがない、最後までこの人たちはどうなっていくんだろう?と思わず読んでしまう作品だった。

私は女性だ。
だから男性の気持ちはわからない。
でも、このパッとしない兄弟のように、あまりパッとしない日々を過ごしてきたので、そこは共感してしまった。
誰を主人公にしようとも、江國香織らしさは確実に存在し、いつもどおりの不思議な透明感も存在し、心置きなく江國ワールドを楽しめると思う。

<小学館 2004年発行>

著者: 江國 香織
タイトル: 間宮兄弟
AD

コメント(29)