2002年1月からTBS系で放映され一部のファンから絶大な支持を得たテレビドラマ「木更津キャッツアイ」のシナリオ集。
新作映画ではなく、旧作にあたるドラマの原作である。

物語はすでに有名だろうが、一応。
主軸は木更津に住む5人の若者たち。
彼らの木更津密着型の生活の中で起きる様々な事件を面白おかしく描いている。
余命わずかの主人公、東京の大学に通うシャイな呉服屋の息子、プー太郎で腕のいい野球選手の兄である写真館の長男、5人の溜まり場となっている居酒屋を経営する妻子持ち、舟に住む謎めいた存在の男・・・
5人の共通の趣味は野球。昼間は野球仲間として集い、夜は謎の窃盗団として集いう若者達が魅力的なのは著者の脚本力・文章力・演出力だろう。
イマドキの若者らしい言葉遣い、木更津という狭い世界の描写、様々な個性的過ぎる程の登場人物たち。
ドラマを見終えてから、更に楽しめる1冊である。

映像版では聞き逃しがちなセリフを1つ1つ確認したり、この作品ならではのキーワードを巻末で解説したり、ドラマキャストのあとがきなどファン必見の1冊。
そして私もファンの1人である。
映画が2作品作られ、現在も最終作品が公開中だ。
それくらい人気が出るなどど、誰が思っただろう。
でも、魅力的なのだ。
全員を惹きつけるなどとおこがましい言葉は使わないが、誰しもが感じ思い抱く地元への想いや幼いころからの友情を有意義に笑い泣きできる形で作りこめる作者は天才だろう。

<角川書店 2003年>
著者: 宮藤 官九郎
タイトル: 木更津キャッツアイ
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美容関連の本が続くが、これもまた大変参考になった1冊である。

昨年の12月半ばに著者の新刊発売トークショウがあり参加した。
著者の直接顔筋マッサージやメイク方法は年を重ねるにつれ必須となりそうな内容で以前から興味があり、足を運んだ次第である。
著者は50代で美肌である。たるみも無くシャープな顔立ちをしていて本当に驚いた。これが直接顔筋マッサージの効果!と思うと、本を手にせずにはいられない。

著者はヘアメイクの仕事に就き映画を中心とした映像の世界で活躍していた。多くの監督、女優・俳優から信頼を得ている実力派のヘアメイクである。
2003年9月デビューのブランド『SUQQU』をクリエイト。独自の美容理論を「田中メソッド」として発表し、美容業界に衝撃を与え、女性誌でも続々と取り上げられ話題になっている。

本書はDVDもセットになっており、顔筋マッサージをマスターするにはもってこいだった。
毎日3分で「たるみが消える」「顔やせする」!と話題なのだ。
『SUQQU』という著者のメイクブランドの商品も、三十路以上の女性に向いていると思う。
このマッサージ、実際に自分に施術すると痛みもあるし、効果あるのか?と疑いたくなるのだが、確かにリフトアップ等、少し効果が出る気がするのだ。
かづきれいこの血流マッサージ同様、続けると顔が変わりそうだ。
年齢とともに自分の顔に悩みを持つ女性は増えると思うが、何もせずに悩み続けても変わらないので、自分にあった方法をマスターし手入れするしかないのだ。

<講談社 2004年>

著者: 田中 宥久子
タイトル: 田中宥久子の「肌整形」メイク―7年前の顔になる
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『フィールヤング』連載時に面白いと思っていた作品が単行本化されたので早速読んでみた。
オタクな夫と、オタクな嫁。
夫・カントク君(庵野秀明)はアニメ界の勇者。アニメ・特撮モノが大好きだ。
嫁・モヨ(安野モヨコ)はマンガ界の人気者。マンガと美容が大好き。
二人とも少し違うベクトルでオタク生活をしていた。
そんな二人が結婚した。
著者が〝オタ嫁〟を極めるまでの結婚生活が詰まっている。

全21話のオタ嫁日記とも言えるエッセイコミックは笑い無くして読むことは出来ない。
『エヴァンゲリオン』のヒットでメジャーとなった庵野秀明氏のクールでアーティスティックなイメージとは全く違うオタ夫の素顔。
驚く程の収集癖、意外なライフスタイル、信じられない新婚旅行、びっくりな夫婦旅行。
ハイテンションな二人の結婚生活秘話を面白おかしく、安野モヨコのエッセンスを交えて描く。
GAINAX全面協力、各エピソードのオタク用語解説、庵野秀明のインタビューと盛りだくさんで大満足。

二人のファンも、そうでないけど二人の存在を知っているだけの人でも、オタクカップルな人も、オタクでも恋人は出来るんだろうかと思っている人も、楽しめること間違いなし。
『美人画報』とはまた違う著者の私生活を知れる点も魅力的な1冊。

<祥伝社 2005年>

著者: 安野 モヨコ
タイトル: 監督不行届
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中央線沿線に住む女が「何か」を待っている。
私も同じ沿線に住んでいるが、確かに「何か」を待っている。
子供、結婚、目標、時間…待つものは様々だが、うまくまとめている著者久々の読みごたえのある短編集。

1作目の「コドモマチ」は、妊娠を待つ女が主人公である。
主人公・ナミは妊娠したいが為に広告代理店を退職し、基礎体温をつけ排卵日にはセックスをする日々を過ごしている。
きっかけは姉の妊娠だった。
ひとつ違いで仲良しの姉が妊娠し、今妊娠したら同じ学年の子供が持てるねと盛り上がり、それもいいなとナミは思った。
夫の毅も協力的で、子作りは毎月行われていた。
しかし姉は流産した。
それでもまだ、ナミは子作りを続けていた。
そんな或る日、毅の浮気に気付く。
その女の所在を知るのは簡単なことだった。無防備な夫の携帯を見て、ナミは浮気相手の平田庭子の家や勤め先を知る。
そして、自宅のある阿佐ヶ谷から電車に乗って、庭子の住む西荻窪に通い、庭子の勤務先を覗いてから喫茶店でお茶を飲み、庭子が仕事を終えるのをつけて何を買い物しているのか等をチェックする日々を過ごしていた。
偶然ぶつかってしまった平田庭子との会話で、ナミは何か待っているものがやってきた気がした。

正直、上記の作品においても他の作品においても同じ感想を抱く人は少ないかもしれない。
待っているものが何か、待っているものがやってくるか、待っているものは遠ざかるのか、消えるのか…
とにかく面白く不思議な物語と、独自の雰囲気は保たれていて、更にパワーアップした著者を感じることが出来る気がする1冊。

<文藝春秋 2006年>


角田 光代
ドラママチ