ジャンルは何になるのかよくわからないが、とりあえず「実用書」で。

『編集会議』の広告を見て手にした1冊。
そこに書かれていた「たまには大切な人へ手紙でも書いてみようかなとペンを取りたくなる一冊」というのに惹かれた。
が、私は本書を読んでも、特に手紙を書こうと思うことはなかった。

麻木久仁子、佐藤江梨子、斎藤薫、室井滋、行定勲等の著名人が綴るメッセージ(ラブレター?)、23種類の万年筆ブランドを遣って手紙を書きたい場所の紹介等、手紙関連のあれこれが掲載されている。
が、読んで思ったのは「これは万年筆メーカーのパブリシティ?」だった。
宣伝・広告の臭いが充満し、ちょっと嫌味なのだ。
確かに帯に「万年筆の本」とあり、オシャレなカタログといった感じで楽しめるのは確かだが、わざわざ1890円も出してそんなものを購入する必要があるのか理解に苦しんだ。
万年筆に関心がある方は楽しめるだろうが、それ以外の方は肩透かしをくらうのではないだろうか。

<宣伝会議 2004年>
著者: NoData
タイトル: ポストが真っ赤になるようなラブレターを書こう。
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「いまさら」と思われるかもしれないが、一応感想を述べたいと思う。

語る必要がないほど2004年最も話題になった1冊と言えるのではないだろうか?
この本の題名を口にしなかった人など存在しないだろう。
三十路の女で飲めば、確実のこの話題になった。今年は本当に「負け犬」を口にした1年だと思う。

どんなに美人で仕事ができても、30代以上・未婚・子ナシは「女の負け犬」なのです--------------
そう言い切る著者。そして、それに関しての裏付け的内容が盛り込まれたエッセイである。

三十路の私が読まない訳にいかない!と読んでみたが・・・
まぁ、内容は共鳴出来るものではなかった。
言っていることはわかる。確かにそのとおりだ。でも、それを言い切って開き直るという行為は、余程のステイタスと収入のある女性だけの特権ではないだろうか・・・
普通のOL、普通の主婦、普通の30代以上独身(あるいは既婚・子供なし)の女性は、開き直ることなど出来るだろうか?
世間はそれを受け入れてくれるだろうか?
仕事が出来ても負け犬だって言えるのは、仕事が出来る人だからだと思うのだが・・・
疑問が残ったけれど、斬新ではある。
これまで、こんなことわかっていたのに誰も触れようとしなかった。
説得力はある。リアルでもある。とっても深いお題なのは間違いない。

誰にとっても、最善の選択肢は何かなど、わからない。
何を持って勝ちとするのか、負けとするのか、難しいものだ。
それを白黒つけるような内容なのはいただけないが、そういった思想があるのは認めるし、面白い視点だと思った。
ただ、なんだか虚しさが残った。
9月に紹介した『結婚の条件』 の方が得るものがあったと思う。

話の種に一読してみるのはいいと思う。

<講談社 2003年>

著者: 酒井 順子
タイトル: 負け犬の遠吠え
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人生初の向田邦子作品がこの『阿修羅のごとく』である。
映画化され、出演者が好みだったので観て大変面白かったので原作を手にしてみた。
相性が悪くなさそうなので、今後他の作品も読んでみたいと思っている。

物語は個性豊かな四人姉妹が主人公。
未亡人で不倫をする長女:三田村綱子、夫の浮気に悩む実直な主婦次女:里見巻子、独身の孤独と寂しさに心がすさむ三女:竹沢滝子、ボクサーの卵と同棲し不安定な日々を送る四女:陣内咲子。
それぞれに自立した大人で、小さな想いを抱き日々葛藤しながら自分なりの人生を模索し生きている。それぞれが全く違う性格で、衝突もしばしば。
そんなかしましい四人娘の年老いた父に愛人が?
滝子が偶然目撃した父と中年女性。
四人の姉妹は母に見つからぬよう、どう父を諭すか大わらわする。
母に隠そう、隠そうと奮闘しながらも、四人それぞれの日々にも問題は起き、あっちこっちと忙しい。そんな中、母が死ぬ。
親・姉妹・結婚生活・家族のあり方を問う力作である。

自分の家族をこんなに赤裸々に語ることは一生無いだろうが、小説ならば可能なのだ。親の愛憎劇をこんな風に見守る子供達の物語を読まずにいるのは勿体ない。
恋愛経験・女の人生を重ねると、この四人姉妹のいずれかの悩みに衝突するだろう。家族の問題もヒトゴトでは無いはず。
人生に悩んでいる女性の心を鎮めてくれる1冊。

<文芸春秋文庫 1999年>

著者: 向田 邦子
タイトル: 阿修羅のごとく
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『いろいろないろ』の発売については、麻生久美子ファンの友人から散々聞かされていた。でもそれだけでは手にしなかっただろう。
読んだ理由は、写真が蜷川実花だからだ。

映画界の新進気鋭女優・浅生久美子が、家族、恋、仕事といった日常の幸せを語るのフォトエッセイ。
クールビューティーで颯爽とした感じとはまた違う一面が見れる1冊だった。
さらりと書かれたように思う文章は、表現力があるとか優れたものだとかでは決してないのだが、読んで不快になることは無い。


彼女、年齢不詳だと思う。実際は26歳とのことだが、もう少し上にも下にも見える演技力があると思うのだ。
薄っすらと存在感を出す女優だと思っている。
偶然、彼女が出演する作品を多く見ているのだが、嫌味の無い存在感なのだ。声も色っぽく、他の女優達と一線を画す存在だと思う。

前に夫が購入した「GQ」に麻生久美子×蜷川実花のハワイ旅行の記事があったが、それを彷彿とさせる素晴らしい写真たち。
撮り下ろしで48ページとたっぷり楽しめて、蜷川フォトファンとしても楽しめた。

<幻冬舎 2004年>

著者: 麻生 久美子
タイトル: いろいろないろ
ある病でずっと入院している友人を見舞った時、その友人から「これ読んでみてよ」と手渡されたのがこの本で、その後友人が亡くなってしまい、本を返すことも感想を述べ合うこともできず辛かった思い出がある。
彼女が亡くなる数日前に読み終わり、感想を話したいなぁと思っていたけれど忙しくてなかなか顔を見に行けなかった。そして、彼女は死んでしまって、二度と話し合うことができなかった。

自分では購入しないエッセイ本で、よしもとばななの私生活が赤裸々に綴られている日記のようなものと、4つのテーマに沿ったインタビューで構成されている。
よしもとばななが飼っている亀、食べたおいしい料理、映画など本当に日常で、それをさらりと面白く綴っている作品。普段の小説とは少し違う語り口だし、webでの日記ともちょっと違う感じで楽しめる。
友達が薦めてくれたオカルトに関するインタビューは面白かった。
よしもとばななの姉上は相当個性的で、面白い方のようだ。姉上を主人公にした物語を書いたらヒットするのではないか?と思うほど、おかしなエピソードがあった。

最近、ひょんなことからエッセイを読むことが多いが、読んでみるとハマるものだ。
他人の日常、思想を知ることで、自分の常識や生活に対する意識などを再考できる気がする。
自分だけの概念で生きるのはつまらないし、もっと視野を広げたら毎日が楽しくなるかもしれない。
小説を読むことで得る知識だけじゃなく、エッセイから得る知識もあるのだ。
来年はエッセイを沢山読みたいと思う。

<リトルモア 2003年>

著者: よしもと ばなな
タイトル: 日々の考え

ダ・ヴィンチ1月号

テーマ:
毎年1月号は欠かしていないように思う。

「BOOK OF THE YEAR 2004」は大変楽しかった!
読みたいなと思っていた1冊、世間が評価している1冊、読んでおくべき1冊などをカタログのように本誌を見ながらセレクトすることが出来て便利。
これを参考に数冊購入した。

女流作家の活躍が目立つこの1年に、様々な本が出版された。沢山出るからこそ全てに手が届かず、どれを購入したらいいのかもわからなくなる。
自分がなんとなく避けていた作家の本のあらすじを見たりして、購入してみたら当たり!なんてこともある。(もちろんはずれもあるが)
そんな新しい作家との出会いの方法は様々だが、私はこういった記事から誘われ繋がることが多い。

新しい作家を開拓したい、今年売れた本を改めて読みたい方にはおすすめの雑誌だ。

<メディアファクトリー 2004年>
実はここ数年楽しみにしているのがこの「ブック・オブ・ザ・イヤー」だ。
別冊として発売されたとのことなので、早速書店でななめ読みをしたところ、立ち読みでは無理と判断し購入した。」

作家・評論家など豪華なメンバーによる2004年の本エトセトラだ。
文藝作品からコミック、ビジネス書までザクザクと斬っており、面白い。
よしもとばななの「自作を語る」はファンなら是非一読すべきである。
島田雅彦節でこきおろしている「このベストセラー、誰が読んでいるのか」は共鳴!で楽しめた。ココの部分だけでも購入してよかったなぁと思った。
ベストセラーとは不思議なもので「一体こんなもの誰が買っているのか?」と思う作品が多く含まれているものだ。
こんな小説をみんな好んで買っているのか?と思うものがけなされていると笑いがこみ上げるものだ。ちょっとイジワルだが、年末に本に刺激を求める方がいれば、読んでみるとプラスになると思う。
読書したいけど何が面白いのか、どの本が話題になっているのか、といった気持ちに答えてくれると思う。自分が苦手なジャンルでも、こういった本で評価されている記事を参考にするとすんなり入っていけるものだ。

自分と違う意見でちょっとイラっとする部分もあるが、2004年の書籍を振り返るにはおすすめの1冊である。

<ロッキング・オン 2004年>

著者: SIGHT編集部
タイトル: SIGHT別冊 「日本一怖いブック・オブ・ザ・イヤー2005」
群ようこらしい痛快主婦小説の決定版と言えるのではないだろうか。
年末の余暇に、と先週購入したのだが面白くて一気読みしてしった。

主人公は破天荒なトシ子。
短大卒業後、父親のコネで美人が多い大手企業へ就職。女性社員の大半はコネ入社で23歳までに退職しないと肩叩き的な発言をくらう会社だった。
トシ子も当然、2~3年勤めて結婚して退職しようと考えていたのだが、ひょんなことから役員秘書になりその役員と不倫の関係に陥り気付いたら28歳になってしまっていた。
不倫相手とすったもんだの末、勢いで関係を持ったムツローとできちゃった結婚をする。
ムツローは地方都市に住む公務員で、両親健在、6人兄弟の末っ子。ちょっとした資産もある家柄で突然の結婚を決めた割にはお得な相手だった。
トシ子は結婚生活を思い描き、充実した新婚生活を始める予定だったのだが、厄介な姑と、次々に怒る家庭内不運のせいで予想もしなかった結婚生活を強いられることになる。
舅の痴呆、姑の宗教活動、義兄の死、子供達の成長と反抗期・・・
次々に起こる不幸にトシ子はうろたえながらも、自分なりの解決策を見出し毎日を力強く生きて行く姿を描いた物語だ。

トシ子と同じような問題を抱える主婦、これからそういった可能性のある主婦には元気の種となる小説だと思う。
こんな風には進まない。面白がることではない。
でも、それくらいの気持ちで挑まなければ、乗り越えられない親・家庭の問題。
そこを充分考慮して、描かれていると思うので、腹を立てることなく楽しめると思うので、是非ご一読を。

<角川書店 2002年>

著者: 群 ようこ
タイトル: それ行け!トシコさん
林真理子の最新ハードカバーである。
林真理子の恋愛小説は全て読んでいるので、今回も発売を楽しみにしていた。
小説新潮で連載されていたものをまとめた短編集で、既に紹介した『ミルキー』に近い作品集のように感じた。

様々なタイプの女性の日常に存在する恋愛をねっとりとしたタッチで描いている。相変わらず過激な描写も含みつつ、官能小説ではなく恋愛小説として成立させる実力はあっぱれである。
しかし、どうも心に響くものが無いように感じる。
女性はもちろん男性の心理描写も当然うまく、読み応え十分の短編集なのだが読み終わった後に満足感が少ないのだ。
11作もあり、どれも濃密なのである。濃厚なのである。
でも心に残らない。
なんとも、感想を述べにくい1冊なのだ。
たっぷりある11の物語は面白いのに、満足感が無い。不思議な1冊である。

表題作の『知りたがりやの猫』は雑種の捨て猫二匹のを飼う女が主人公である。
三十代半ばの女はキャリアウーマンで、並の男より稼ぐやり手。不動産を所有し、お金にも困らず、ボーイフレンドも存在する充実した生活の中で足りないものといったらセックスだけだと思っている。
平凡な男には見向きもせず、四十始めで部長職に就く既婚者と不倫の恋をしている。男の妻は若く美しいく、その妻にそっくりな娘もいる。
そんなことまで知っているのに、女は男との性愛を繰り返す。
そんな生活と、飼い猫をからめ、主人公の友人の小説家(女性)が客観的に物語を語っていく。
猫を主軸として進むストーリーは、女性だから描ける物語ではないだろうか。

30代以上の女性が年末の余暇に読むのに向いている1冊。
女性向き、女性にしかわからない、小説集だと思う。

<新潮社 2004年>

著者: 林 真理子
タイトル: 知りたがりやの猫

人生勉強 / 群ようこ

テーマ:
滅多と読まないエッセイであるが、バリバリ仕事をしていた時に「頭疲れたなー、通勤で軽く読める本が欲しいなー」と書店を訪れて手にした1冊。

群ようこの私小説といった感じで、普通に日常を過ごしているつもりでも出くわしてしまうトラブルや摩訶不思議な出来事を面白おかしくウィットに飛んだ文章で綴っている。
飾らない文章で頭が疲れることはなく、読み進めることができた。
中年になったら、きっと共鳴できるんだろうなと思う。
読み終えた後に自分の将来(中年の女の自分)を思い浮かべて「・・・・。」となった。

あとがきがなかなかよかった。
年を重ねる喜びと面倒くささがきれいにまとめられている。
そうなのだ。
大人になる、年を重ねる、前に進むというのは楽しい作業である。が、それと同時にしがらみが増え、自分が予期せぬことが舞い込んでくるのだ。
群ようこが述べるとおり、体力の衰えなどである。
人生は複雑で、なかなか楽をさせてくれないとうくだりは納得しまくりである。
そして最後の3行。
これは、本当にそうなのだ。
私が常日頃から思っていることと合致。
群ようこをリスペクトしてしまうのは、この3行が小説の中にも染み渡り、読んでいると私の中に伝わってきて楽しくなるからだろう。
誰しも、楽しく生きたいのだ。
そんなことを読み終える時に再認識させてくれた。そして疲れた脳みそが生き返った。

頭を使いすぎて「なーんも考えたくないなー、でもなんか読みたいなー」という時にはおすすめの1冊だ。

しかし、どうして頭が疲れたと思うのに本を読みたいのだろうか?
私にはよくあることなのだが、毎回不思議である。

<幻冬舎 1998年>

著者: 群 ようこ
タイトル: 人生勉強