今月の素敵な10首

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今月の素敵な10首を紹介します。若い人の新しい歌集の歌が多くなりました。

 

・水差しに水がそそがれ水差しの水がそそがる 旧いかなしみ (染野太朗『人魚』)

 

・其のひとが屈みこむ秋、胸そこの枯れ葉に火を打つ名はなんだらう (光森裕樹『山椒魚が飛んだ日』)

 

・しゃぼん玉ぽろぽろ吹けば寂しくて多分産まないまま死ぬだろう (佐藤涼子『Midnight Sun』)

 

・電球のまだあたたかい首筋を捻る あかるい産道のなか (中山俊一『水銀飛行』)

 

・コンタクトレンズを探す達川のように平和を探し続けたいのだ 僕らは (しんくわ『しんくわ』)

 

・スクランブル交差点から見つけ出す 互いの傘を高く掲げて (原田彩加『黄色いビート』)

 

・踏ん張つて夕焼け空を仰ぐ母さびしいともう言うてもええよ (三輪良子『木綿の時間』)

 

・目鼻なきものと見上ぐる真円に整うまえの月のやさしさ (糸川雅子『橋梁』)

 

・とり年は雲を蹴散らしやつて来ん白秋牧水としをとこなり (有川知津子『COCOON』第2号)

 

・夕暮れのにおいをさせて引き出しの奥にいつかの君の丸文字 (田中ましろ『うたらば』17号)