感謝を込めて花束をあなたに

ごとう先生に、その物語に感謝します。
沢山の妄想をありがとう。
そして、これからも、やめられないでしょう。

このブログは完全なる自己満足です。
故に、誰の理解も求めてはいません。
興味本位、のぞき見のつもりお願いします。

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「それじゃ、ヘリの到着が遅かったらまた、ぼく達すれ違っていたのかも知れなかったんだ」
ギイが実はどこぞの令嬢にオガタ家が日本に向かっている事を聞いて、船から飛び立とうとしていた事を知って託生が言った。
「きっと、この船でギイに会えなかったらぼくはもう諦めていたかも。
もう、神様がギイとは会うなと言っているんだと思ってへこんでたよ」
部屋の広いバルコニーで託生はギイと海を見ていた。

バイオリンを弾いた後、今晩は皆んなで一緒に眠ろうと佐智が言って、主寝室の大きなベッドに並んで入ったが興奮の余りに眠れなかったので託生はギイとそっとベッドから抜け出したのだ。

「それでも大丈夫だったさ。
船には佐智が残っていた。
少し先になっていただろうが、絶対に再会出来ていた」
ギイがハッキリと言い切った。
「俺達の縁は切れたりしない。
俺はずっとお前を探していた。
託生もそうだったんだろう」
そう言って隣に立つ託生に顔を近づけた。
「あのね。ギイ」
近づいてくる唇を両手で止めて、託生は言った。
「ギイはまだぼくの事を好きなの?」
強張った声で真面目に問われて、ギイはじっと託生を見た。
「俺はずっとお前だけを求めていた。
愛しているっていつもお前に叫んでいたよ。
どこにいるかも分からないお前に届けばいいと思いながら」
「ギイ」
託生の大きな瞳に涙が溢れて来た。
その瞳に唇を寄せて、溢れる涙をそっと舐め取る。
「ぼくは、ずっと思いだしていたよ。
文化祭の学校の屋上でギイが言ってくれた事。
『ひとつだけ質問に答えるよ』ってギイは言ってくれたよね。
ぼくには嘘をつかないって。
そうしてぼくの質問に答えてくれた。
『俺は託生を愛しています』って」
「俺も思い出していた。
俺がなんでも答えると言ったのにお前は俺の気待ちを訊いて来た。
だから、お前に取って一番大事なのは俺の家じゃなくて俺自身なんだって。
それが俺にとっては最大の救いだ。
だからこそ。お前は俺を好きなんだと信じていられたんだ」

月の光が照らす中、何年ぶりかのキスをした。

「綺麗だね。
ヘリから見た船は月の光が真っ直ぐ伸びる海面の上を進んでいたんだ。
ぼくはその船にギイが乗っていますようにと祈っていたよ」
託生がギイの首に顔を埋めて言った。
華奢な躰を抱きしめて、ギイは託生の髪にキスを落とした。
「俺は船中をお前を探して彷徨ったよ。
全ての扉を開いて全て調べ尽くしたいと思っていたんだ。」
もう、離れたくないとふたりはずっと抱き合っていた。

佐智を船に残していた。
その台詞に佐智は、それはないなと思っていた。
義一君がヘリを手配したなら自分もきっと付いて行った筈だ。
義一君が望むように佐智も託生に再会する事を切望していた。
託生のあの魂に惹かれずにはいられないからだ。
あの魂から紡ぎ出される音楽が気になって仕方がないのだ。
そこにはミューズの息吹を感じられる。
佐智が知っている中で一番神に近い存在。

先程、託生のあのバイオリンを聴いて確信した。
この八年は託生の音楽に必要な日々だったのだ。
絶望を唄うバイオリンに豊かな経験が含まれるようになっていた。
だから、今になって託生の痕跡が表に現れるようになったのだ。

まるで見つけてくれと言わんばかりに。

あの音は全ての人の心に響く。
誰もが持っている深暗を掘り当て光を差し込むような音。
好々爺の老齢なバイオリニストが惚れ込んでいたのもその音にだろう。

ふたりが抜け出したベッドでやはり眠れなかった佐智は丸くなりながらそう考えていた。

運命の扉が開いたのだ。
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