額田王 〜万葉のラブソング〜 | NORISの絵本箱

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宮川彬良 吉住小代君 中村梅雀 +萩岡松韻 特別サポート
スペシャルプロジェクト

2016年11月27日(日)
2回目(17時〜)
文化放送メディアプラスホール


ハピリーの50組100名様ご招待に応募して、夕方の部に当選して娘とでかけました。
邦楽界オールスターキャストで古今和洋の垣根を軽々ととびこえるコラボの試みの数々、
想像以上に楽しい趣向に満ちた2時間半でした。
江戸に花開いた長唄、戦国時代の時雨西行、平安の十二単衣、
そして和歌の始まりの万葉へとどんどんときをさかのぼっていく構成です。

<プログラム>
(プロローグ)地唄「鐘が岬」(長唄、箏、三絃、尺八)
まずはオーソドクスでシンプルな地唄で邦楽の世界へ

(第一部)長唄「時雨西行」(唄、箏、三味線、笛、お囃子、小鼓、大鼓、太鼓、声明
              +アニメーション)
ステージのスクリーンに映された東京藝術大学桐山孝司先生と上平晃代さんによる
アニメがよかった。長唄だけだと寝てしまいかねないところががぜんおもしろくなった。
時雨の景色、雨の中を歩く西行、わびずまいの遊女、彼女の過去、普賢菩薩の神々しさ。
物語の展開がよくわかり、映像の繰り返しなどの使い方が音楽的で、
こういうよく考え抜かれた劇伴ならぬ伴奏アニメーションはさまざまな可能性を秘めている
と感じた。

(中入り)十二単衣お服上げ(衣紋道高倉流衣紋者による十二単衣装着実演)
無音のステージで、一枚一枚着せる絹ずれ、帯を結んでいく音だけが聞こえる。
重そうだ、とは思っていたけど、着つけるだけでも気の遠くなる時間がかかるとわかり、
今と昔は時間の流れ方が違うのだということを実感した。

(第二部)創作音楽「額田王」(ピアノ、お話、唄、箏、三味線、笛、囃子、合唱)
     構成台本:菊池威雄 作曲:宮川彬良
舞台中央にピアノ、上手にお囃子、下手に唄い手。
梅雀さんの語りで額田王の半生を語りつつ、歌がはさまれていく。
ピアノは語りのBGMにもなり、歌の伴奏ともなり。
西洋音楽の作曲家が作った曲を、長唄で歌い、また本来なら楽譜のかきかたがまるでちがう
和楽器も合奏しているふしぎ。
楽譜はどうなっているのだろう…と思いながら聞いていた。
最後のトークで梅雀さんが語ったところによると今回の音楽は
「デモテープで聞くと聞きやすいのだけれど、譜面は小節の区切り方…拍子がどんどん変わる
 ごちゃ混ぜで、でもそれで日本語が自然に聞こえるようにできていてすごい!」
最後の相聞歌の場では古代の衣装の額田王も登場して目も楽しませた。

(エピローグ?)長唄版「宇宙戦艦ヤマト」(ピアノ、エレキギター、箏、三味線、笛、囃子、合唱)
宮川彬良さんからオールスターキャストの紹介とこの稀有なプロジェクト結成のいきさつなどのお話。
最後に、こんな特別な演奏会にふさわしい〆の曲はあるのだろうか…
選曲に迷ったら先代の力を借りるというアキラさんがもってきたのは
「大和朝廷」からの連想でヤマト! 
アキラさんのカウント、梅雀さんのギターで、長唄のみなさんだけでなく、
額田王と十二単衣御方、箏の萩岡松韻先生も歌い、客席も拍手で盛り上がる。
オケ版、吹奏楽版などいろいろ聞いてきたけれど、
邦楽版を聞く日が来るとは想像もしていなかった。
でも、意外とにあうというかうまくはまるのでおどろいた。

ちなみにアキラさんの装いは金と何種類かの紫の布をパッチワークしたベスト。
ほとんどの出演者が黒の紋付袴のなか、
吉住小代君さんの紫の着物に金の帯とコーディネートしたようですてきでした。

百聞は一見にしかず、一回目(内容は同じ)の中継動画がYOUTUBEでみられるので、
ぜひごらんください。

https://www.youtube.com/watch?v=8zy-OAbtWuo&feature=youtu.be