{73E334AA-8C91-469C-80C4-D06129666B40}



{21C6B7FE-E4A5-47D5-A821-81A606666637}

舞台『saigoノbansan』無事に千秋楽を迎えることが出来ました。
ご来場、応援くださった皆様、ありがとうございました。

初めにこの話を頂いた時、正直言って少しは迷いましたが、いまでは、この役と出会えて良かったと心から感じています。

トラウマや恐怖に支配され、大事なものを見失い傷つけてしまった男だったけれど、
周りの人たちの不器用ながら素朴な優しさ、想いにふれて背中を押され、一歩を踏み出す。
愛する妻の深い愛、それでも共に居たいという言葉に救われ、また、儚い姿に心を動かされ、もう一度大切なものを取り戻していく。。。

とても難しく、葛藤する役でしたが、必ずやってのけようと思いました。
自分なりに、こうでありたい、こう演じたいという思いをたくさん抱えて稽古に臨みました。
この役を主演として演じるという事に、これまでの自分を全部ぶつけてやろうと思いました。

顔合わせの挨拶で言いました。
観に来てくれたお客さんが、この舞台を観て心から良かったと思える、
そして僕らが、この舞台をやって良かったと心から思える舞台にしましょう!と。
そのために出来ることを何でもやるつもりでした。

まずは誰よりも台本を読み、誰よりもお芝居のことを考えなきゃいけない!!
殺陣にかんしても、誰よりも努力する存在じゃなきゃいけない!
なんて
僕はほんと不器用なので、座を引っ張ろうと肩に力が入ってガチガチになっていたと思います。
自分自身でもこれでいいのかと疑問を感じながらも、スピードを緩めるわけにはいかず、つねに突っ走っていました。

弱い姿は見せちゃいけない!
コイツが主演でテンションあがんねーとか笑、思わせたらダメだし。
しかし一方で、なんだコイツと思った方が意地で頑張ったりもするのかなー、とか。
時には強い言葉を投げる時もあったかもしれないけど、それが作品のプラスになるかも知れないなら、アリかなとか。
でも言いすぎたかな、とか笑

もうホントごちゃごちゃかんがえながら。
悪いクセですよね。

でもねー、観てると判るんですよ。
あ、ここの芝居変えたんだなー、こっちの方が全然ステキだな。とか
この前教えた殺陣のシーン、その日のうちには出来てなかったけど、だんだん良くなってきたな、とか。

そうしていくうちに、自分が引っ張るというより、皆んなに一杯支えられて、背中押されてるなと実感するようになって。

ガチガチに気張ってた俺、ばか!
みんな、ほんと感謝!!
よし、俺もっと頑張ろう!!!

とか思って余計に燃えちゃって、結局はまたがんばっちゃうんだけど。笑
それでも皆んなが暖かく受け止めてくれてるのが少しずつ感じられて若干心は楽になっていった気はします。
勘違いでなければ。笑

いやしかし、本当に暖かいカンパニーだったなー。
殺陣の経験がないメンバーも居たから一から始めなきゃだったけど、経験者が率先して稽古に付き合ってあげてたし、それで後輩たちも一生懸命練習して、少しずつ成果が現れてきて。
それを見ると幸せな気持ちになるし、逆に、一度できてた事を失敗すると、怒りたくもなるし。
なんか愛しいなーって。笑

お芝居も、難易度の高いシーンも少なくなかったけれど、そこで互いに思う事を話し合ったり、他の人に意見を求めてみたり。
みんなで集まって、良いもの作っていこう、、、!!
っていうのがすごく感じられて。

いつも思ってるんです。
お芝居って自分のためにするんじゃなく、舞台の上にいる相手のためにやってあげると良いって。
相手が投げてくれたお芝居を受け取って、また次のお芝居を返していく。
ひとつひとつがキャッチボールのように、手渡していく気持ちが繋がってパワーになっていく。
それと同じように、共演者の姿から、お芝居していない時間にも、本当にたくさんのパワーをもらえたような気がしています。

妻のココ役の近野、トラウマの元凶である獅子野役の徹士を始めとして、共演者の皆んなが
360°見渡して、本当に全員が、きちんと役として舞台の上に生きていて。
目を見れば色んなものが伝わってきて。
つくづくお芝居って、一人では出来ないなと。
そして、本当にこのメンバーで良かったなと。
そう、感じながら舞台に立っていました。

地球、最後の日を間近に迎えながら、それでも一生懸命それぞれのカタチで、今を精一杯に生きる修道院の皆んなの姿が
獅子野一派としてある種無秩序に見えながらも、役者として役として、命がけで舞台上で生き生きと表現する姿が
日に日に眩しくて美しく見えてきて。

見ているだけで、聴いているだけでおれ常に泣きそうだったことは、今だから言える秘密です。笑

しかし本番も重ねるにつれ、本当に辛かったですねー。。笑
身体も酷使してたし、毎回精神をぐちゃぐちゃにかき回すし。
そんな中、あんまし弱いところは見せたくないとか気を張っちゃうクセもあるし。笑
多分みんなそうだったろうけど、役者ってやればやるほど前回を超えたいって思っちゃうから、毎回全力以上で挑んじゃって。
それでも絶対に折れずに立ち向かっていけたことは自信になった部分もあるけど、
身体が痛いだのうんぬんは、一切何の自慢になる事でもないから、もっともっと体力をつけないとって感じました。
足りなさ過ぎる。
やりたい事に自分が追いつかない悔しさは、もう懲り懲りだと思ってずっと過ごしてきたけど、まだまだだな、。
しかしこれをバネにもう一度自分を引き締め直して行こう。

さて話は戻して、
今回は本気120%で気張っていった分、演出家の笠原さんには色々と迷惑かけることも多かったと思います。
生意気なことも言っただろうし、。
それでも意見を聞いてくれて、うまく受け流してくれて、
そして、最終的なお芝居の目的地まで、うまく導いてくれて。。。
本当に感謝です。

また照明、音響、舞台監督さんとか演出部に制作、そのたスタッフの皆さんも、たくさんパワーをくれました。
役者はね、ある意味では素材だと思うんです。
本当に素敵な舞台に仕上げてくれたのは紛れもなく皆さんだと思ってます。
ただ、愛をもって調理してくれれば我々素材は自分の旨みをどんどん引き出して美味しくなるんです。
ぼくは、皆さんの愛情をビシビシ感じながら舞台に立っていました!!

僕ね、打ち上げの挨拶で何を言おうかとか、考えたんすけど、こう言いました。

あれが良かったとか、これに感謝してますとか、色々ありすぎて言えないほどあるけど、
この仕事してる以上はコレだけだと思うんですよね。
『また、是非、一緒に仕事をしましょう!よろしくお願いします!』
ありがとうございました!!!


ーこれに尽きると思ってます。
舞台はDVDにはなるかも知れないけど、やはり千秋楽を迎えて終わってしまえばもう戻って来ないもの。
舞台に限らず、仕事って意外とそういうものだと思っています。
それだからこそ、また次に繋げていきたいと思える事にこそ意味があると思うんです。

だからきっと。
この『saigoノbansan』が最後にならないように
このカンパニーとまた再会できる日を楽しみに待ちながら、今日からも一生懸命過ごして生きたいと思います。

皆さんも、ぜひ楽しみにしていてください。
それでは、今回はこの辺で。
長い文章読んでくれてありがとうございます。

そして改めて、ご来場、応援くださった皆さん、ありがとうございましたm(_ _)m