まとめ・12
日本酒の復権を目指してもいよいよまとめに入ります。
○完全復権への課題
日本酒の強み
A 世界一多様化が可能な酒
B 多様な飲み方ができる酒
日本酒がお燗をして飲まれてきた理由を、 歴史的に見ればいろいろ考えられますが、
端的に言えば、温めた方が酒そのものが美味しく飲め、料理との相性も良くなるという
ことです。
先にも書いた通り、ワインはそのワインを美味しく飲むために、赤か白か、どこの産地
かなどにこだわり、飲むときの温度をやかましく言うのは、温度によって明らかにそ
ワインの味が変わるからで、その大きな要因として、それぞれのワインに含まれる
有機酸の種類と、その量の違いが指摘されています。
○ 日本酒に含まれる有機酸
日本酒に含まれる主な有機酸は、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、クエン酸(含有
量の多い順)などですが、
主要有機酸の「二点間温度差判定」
5℃ 20℃
酒石酸 + きりっとする - ややぼける
リンゴ酸 ++ さわやか のどごしがよい -- ぼける
クエン酸 ++ さわやか -- ぼける
酢酸 ++ さわやか 旨い + さわやかさがうすれる
乳酸 -- 渋い 苦みがへばりつく ++ まろやかな渋み 苦味
コハク酸 -- まずい ++ まろやか
グルコン酸 -- まずい ++ まろやか
この表から判るように、乳酸やコハク酸は低温ではとがった味になったり、まずく感
じるのに対し、温めると、その味がマイルドになり美味く感じるようになります。
さらに、日本酒に含まれるブドウ糖も、低温ではあまり甘みを感じませんが、体温
(36℃)付近で一番甘く感じ、乳酸などとのバランスがよくなるということです。
○ お燗の温度と味、香りとの関係
一般的に使われる、お燗の温度と飲んだ時の味や香りの関係
○ 人肌(ひとはだ)燗 ・・・・約35℃
米や麹の香りが引き立つ。 口に含むと味や香りがふくらむ。
○ ぬる燗 ・・・・・約40℃
人肌燗よりも香りが出る。
○ 上燗(じょうかん) ・・・・・ 約 45℃
味が引き締まる。 香りがよく出る。
○ 熱燗(あつかん) ・・・・・約 50℃
キレのいい辛口になる。 香りが変わる。シャープになる。
○ とびきり燗 ・・・・・約 55℃
熱燗よりさらに辛口になり、香りのシャープさも増す。