イケナイKISS / DIV | 安眠妨害水族館

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イケナイKISS[初回生産限定盤]/DIV

¥1,944
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1.  イケナイKISS
2. 捕食する夢に羊は踊らない
3. Metronome

2015年にリリースしたDIVのシングル。
10月に解散することを発表し、これがラストシングルとなってしまうのでしょうか。

フルアルバム「SECRET」でEDMを取り入れる音楽性を模索しはじめた彼ら。
そこから、更にEDMへの興味を深めて制作されたのが、この「イケナイKISS」でした。

バンドサウンドを意図的に目立たなくして、ギラギラした同期を前に出す。
デジタルロックに仕上げた表題曲は、そんな割り切りすらあるようにすら思えます。
歌メロについても、ノリ重視のダンスポップ調で、明確に音楽性の幅を広げようという意図を持ってチャレンジをしてきた印象。
Vo.CHISAさんの色気のあるハスキーボイスが、このキャッチーなナンバーにはマッチしていて、新機軸でありながら、シングルっぽさもありますな。

カップリングの「捕食する夢に羊は踊らない」も、同様にEDM的なサウンドからスタート。
完全にこちら路線にシフトすることを決めたのか、と思いきや、「イケナイKISS」とは真逆のアプローチで、デジタル気質の強いサウンドにガツガツとバンドによる生音が土足で上がり込んでくるようなアレンジになっている。
とことん激しく、だけどダンサブルに、エレクトリックに。
同系統のようで、対照的なようで、面白いシングルとカップリングの関係性ですよ。

また、通常盤には、双方のおいしいところをとって再構築したような「Metronome」を追加収録。
デジタルな同期の音色による浮遊感と、バンドサウンドによる力強さ。
リスナーの精神状況によって、どちらの要素が響いてくるかが変わってくるのではないかと疑うほど、どちらもバンドの強みであり、どちらも魅力的でした。
ある意味、こういうナンバーがあったからこそ、EDMをオリジナリティの中に組み込むということに手ごたえを感じたのだろう。
ボーナストラック扱いにしてしまうのは惜しいよなぁ。

音源をリリースするたびに着実に進化を遂げていただけあって、この後、チャレンジを成果としてまとめていく土壌が失われてしまうことには、残念というほかありません。
このシングルをきっかけに音楽性を深掘りした先にあったはずの3rdフルアルバムが聴いてみたかった。

なお、本作の収録曲は、その後発表されたミニアルバム「EDR TOKYO」には包含されておらず、現時点ではアルバム未収録。
もし聴き漏らしているのであれば、実にもったいない1枚です。
もっとも、バンド規模を勘案すれば、ベスト盤のリリースがあってもおかしくはないのですけどね。

<過去のDIVに関するレビュー>
SECRET
ZERO ONE
無題のドキュメント