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1. 恋する黒魔術
2. ミラクル・ラブ!
3. スーパーアンドロイド
4. 携帯が鳴らなくて
5. 無表情ちゃんに恋をした
千葉県の隣にある"とりん星"からやってきたアイドルという設定、TЯicKYのミニアルバム
"究極の一人エンターテイメント"をコンセプトに、徐々に知名度を上げつつあります。
音楽性は、ピコピコしたテクノポップ。
設定が設定だけに、キャッチーでポップなフレーズと、小中学生あたりの層をターゲットにしたような親しみやすい歌詞というスタイルが徹底されている。
下手にダークやマニアックな方向に走るのではなく、ポップミュージックに絞って勝負しているのが、かえってシーンの中で、異質なものとして目立ちます。
そして、アイドルなのに、誰からもちやほやされないというキャラ。
今となってはお約束ということなのだけれど、オーディエンス全体が共有できるレベルでの暗黙の了解を作り出すというのは、実は簡単ではないわけで。
完全にイロモノではあるけれど、ブレずに続けることで、じわじわと規模を大きくしているというのは、素直に認めるべき部分でしょう。
さて、アルバムの中身に触れると、だいぶ垢抜けた感がありますね。
過去の作品では、V系をやるのか、アイドルをやるのかで、どっちつかずなところもあったのですが、さすがに開き直ったのか、本作でやろうとしていることは、清々しいくらいに明快。
明るく、楽しく、面白く・・・というスタンスで楽曲を繰り広げ、ラストの「無表情ちゃんに恋をした」では、切なくメロディアスな側面も見せる、という演出もなかなか効いています。
ただ、良くも悪くも、曲のパターンが似通っているところはありますかね。
フックとなるフレーズを畳み掛けて、その合間、合間にメロディを挟んでくるというサビが、とにかく多い。
例えるならば、大塚愛の「Happy Days」のサビみたいな。
(1stミニアルバムに収録されていた「貴族の鳥」は、オマージュかというくらい、そのままでしたが。)
どこから切り取ってもトリ様節と捉えることができれば、安定感のある作品と言えるのかもしれませんけれど、アルバムにおいて、ほとんどの楽曲が似たような構成というのは、パターンがわかってしまって、面白味には欠けてしまうか。
音楽的な、いや、総合的なクオリティを求めて聴くアーティストではないのだろうなぁ。
歌唱力やアレンジ力は、決して高いとは言えない。
演技力も微妙、ネタ要素も、そこまでハマりません。
とはいえ、その不器用さをも売りにしているところがあるのは、ある意味で強い。
本格派でも、ネタバンドでもない、アイドルという茨の道を選んだからこそ許される立ち位置を手に入れてしまった彼は、案外、ネクストブレイク候補のひとりなのかも。
<過去のTЯicKYに関するレビュー>
とびきりコンプレックス
マジで恋する黒魔術48/TЯicKY