1 とびきりコンプレックス
2 パセリの主張
3 マジでパルス☆3秒前(MP3)
アイドルという設定で活動中のＴЯｉｃＫＹによる、ZEAL LINKと、ライブ会場での限定販売シングル。
それぞれカップリングが違っていて、ZEAL LINK盤には、「おかねがないときのうた」が収録されています。
会場盤のほうが、曲数が多かったので、とりあえずそちらを購入しました。
表題曲は、マイナス人生オーケストラのHaLさんをアレンジャーに迎え、同じくマイナス人生オーケストラの零さんがギターで参加しています。
基本的には、打ち込みによるピコピコテクノポップを主軸とするアーティストではありますが、生音が入ることによって、違った聴こえ方もしてくるのではないかと。
この「とびきりコンプレックス」が、なかなか良い。
というか、アレンジによってこうも色が出るのかというくらい、マイナス節が効いている。
これ、HaLさんが作曲したわけではないんだよね？
歌詞は、アイドルポップスのベタベタ路線ではありますが、こういうメロディアスさを押し出した曲は他にあまりなかったので、新鮮さがあります。
試みとしても面白いし、実際にハマっているといったところでしょう。
カップリングの「パセリの主張」からは、良くも悪くも、いつもどおりのトリ様。
打ち込みサウンドの厚みというか、音数というか、「とびきりコンプレックス」と比べてしまうと、物足りなく聞こえてしまいますね。
音楽性としても、サビでワンフレーズを繰り返すポップチューンで、少々単調。
古臭いアイドル路線を狙っているため、意図的にこうしている部分はあるのでしょうが、既存の楽曲との差異化も含めて、もう一ひねりほしいです。
「マジでパルス☆3秒前(MP3)」は、ニコ生の企画で、放送中に作成した楽曲とのこと。
そのため、歌詞はネタ色、悪ノリ感が強く出ていますかね。
トリ様的には、テンポが速くて、激しい部類に入りそうなナンバー。
らしさと、実験的な部分が、上手く混ぜ込んである。
ボーナストラックのような位置づけなのかと思われますが、この構成を練り込めば、また先が広がりそうな印象。
結局ところ、ＴЯｉｃＫＹというアーティストは、音源でどうこう語ると言うよりも、キャラクターやファンも含めたパフォーマンス込みで完成されるタイプ。
自主制作感の強い音源において、この辺のニュアンスをパッケージすることまでは難しく、必ずしも良さが全部出せているとは思いません。
そういう意味では、アレンジャーを入れて、普段とは違うポイントを作ったというのは正解。
マンネリを防ぐ役割は、きちんと果たしていますよね。
まぁ、このキャラ設定だと、男受けはすこぶる悪いでしょうな。
歌唱力や、アレンジ力についても、決してスキルが高いわけではない。
しかしながら、ヲタ芸とV系のフリの親和性の高さを、早い段階から見抜いて、自らの強みにしてしまっているという点では、先駆者的な立ち居地であるのも事実。
B級感、ヲタ芸ノリ、アクの強い個性派、これらのキーワードに食指が動くのであれば、このシングルは比較的入りやすいのではないでしょうか。