SEAPARADISEの秘宝 / Mix Speaker’s Inc. | 安眠妨害水族館

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SEAPARADISEの秘宝 【通常盤】/Mix Speaker’s Inc.
 
¥2,100
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1. SEAPARADISEの秘宝  
2. ONESTAR  
3. Shiny tale  
4. Mr.HOOK  
5. Capsule  
6. UNDEAD  
7. MERMAID

Mix Speaker's,Inc.の4枚目のミニアルバム。
2012年のコンセプトは、海洋冒険アトラクション。
「Shiny海賊団」が、伝説の楽園、SEAPARADISEを目指すというストーリーのようです。

まぁ、キャラ設定については、ワンピースとパイレーツオブカリビアンの良いとこどり。
そういう意味では、工夫があるとは言えないのかもしれませんが、このバンドにはうまくハマりますね。
冒険活劇としてのストーリーを膨らませやすいからか、アルバム通してのドラマ性がわかりやすい。
単に楽曲を聴いていく楽しみに加え、次の場面を想像しながら、読み進めていく構成。

音楽面については、相変わらずの王道感はそのままに、サウンドアプローチは広がった印象です。
無理にバンドというカテゴリーに囚われるのではなく、打ち込みのほうが映えると思えば、生ドラムよりもリズムマシーンを使ってみる割り切りがある。
正統派好きであれば、もっと重さや硬さも欲しいといったところでしょうが、色物バンドという自覚がある彼らにとって、多少破天荒と思われるほうがプラスなんだろうな。

導入として世界観を表現する「SEAPARADISEの秘宝」を経てはじまる、「ONESTAR」から、ぶっ飛んでいる。
PVまで作られたリードトラックであるにも関わらず、楽器を持たずに、全員で歌って踊るトランスチューン。
パラパラ風のフリや、楽器隊もメインに加わってくるユニゾンのボーカルラインなど、バンドというよりも、むしろアイドル路線に近いくらい。
ただ、それが、なかなか名曲だから侮れない。

続くシングル曲、「Shiny tale」は、一転、バンドとしてのキラーチューンで、かなりツボ。
鍵盤系の同期で彩られながら、じわじわと流れるようなメロディで畳み掛け、サビで華やぐ展開は、さすが、押さえるべきところをわかっている。
特に、Bメロのフレーズが好きですね。
ベタを、打ち込みによってメルヘンチックに再構築した彼らの真骨頂。

この、前半2曲のインパクトが強いけれども、全体的にバラエティに富んでいるし、クオリティは今更言及する必要もない。
クロージングに王道ポップスを持ってくるあたりも、ベタに徹していて、安定感抜群の一枚。
中盤にも、面白い曲があれば、より引き締まったとは思いますが、しっかりまとめられています。

結成当初からの課題である、ツインボーカルの個性を活かしきれていないってところは、完全に解消されているわけではないけれど、さすがに馴染んできたかな。
ラップのパートなど、楽器隊もボーカルに絡むようになり、色々な声が聴こえるってだけで、もはや個性になりつつあるかも。
ヴィジュアル面でのインパクトもさることながら、音楽的にも、彼ららしさは確立されてきました。

<過去のMix Speaker’s Inc.に関するレビュー>
MONSTERS~ポケットの中にはJUNK STORY~