震災から2ヵ月以上が経過しました。

被災地では、連日のように深刻な法律トラブルの相談が寄せられています。


「地震で住めなくなったアパートの家賃を請求された」
「納品前に商品が倉庫ごと津波で流されてしまった」
「震災直後に会社を解雇された」


このような法律トラブルを解決するために、

震災ADR」を利用する方法があります。

そもそもADRとは、Alternative* Dispute Resolution の略で、

(*「Alternative」ではなく「Appropriate」の略とする考え方もあります)

訴訟手続きによらない「裁判外紛争解決手続き」をいいます。


弁護士など各分野の専門家が紛争当事者の間に入り、問題の解決を図ります。

裁判となると、判決まで何年もかかってしまうケースがほとんどですが、

ADRを利用すれば、和解による解決まで平均約2か月程度だそうです。


そして「震災ADR」は、

震災が原因となって起きた土地の権利や

雇用を巡る問題などに迅速に対応するための制度。


すでに、仙台弁護士会によって開始されており、

和解が成立したご相談もあるとのことです。


震災ADRは、阪神大震災の後にも設置され、

一般のADRよりも手数料が安く、かかる費用も割安となっています。


ただし基本的にADRは

裁判と違って相手方が応じなければ手続きを始めることはできません。


とはいえ、加害者、被害者ともに被災しているケースもあるでしょうし、

紛争が長引けば、復興の妨げともなりかねません。



’裁判だとお金も時間もかかりすぎるけど、泣き寝入りはしたくない・・・’

’相手と直接交渉していては、解決しそうにない・・・’などという方は、

震災ADRによる解決の方法を検討されてはいかがでしょうか?



※照会先

仙台弁護士会
http://www.senben.org/archives/2450  



黒田 尚子


東日本大震災は被災地の方だけでなく、被災地周辺の方たちのメンタル面にも大きな影響を与えています。


その影響は、意識的・無意識的と人によってまちまちです。


今回は被災地周辺の方のメンタル面について、取り上げたいと思います。



震災後によく聞く言葉「被災地の方に比べれば・・・」


この「・・・」の後には「私なんてさほどのものではない」といった意味の言葉が続きます。


しかし、メンタル面(受けたストレスやダメージなど)は人と比べるものではありません。


そこで、受けた影響を無理に隠したり、押さえつけたり、我慢せずに、セルフケアを行うことが大切となります。


その第一歩が、「いつもと違う自分に気づくこと」です。


例えば、いつもより

「肩こりがひどい」とか

「ぐっすり眠れない」といったような状態です。


その時には、優先してセルフケアを心がけたいものです。


下記は知人の医学博士である奥田様の

「被災地ではない被災地周辺の方の震災ストレスケア」のレポートになります。

(許可を得てリンクしています)


https://www.iryo.co.jp/wp-content/uploads/stresscare_advice.pdf  


こちらは震災直後のレポートではありますが、

長期的なケアを行う際にも有効なアドバイスです。


ぜひ、参考にしてください。


中島 啓子






震災の影響で失業してしまったり、お給料が減ってしまったりして、今後の生活に不安をお持ちの方もいらっしゃることと思います。


そうした時には、具体的に当面の収支予想を立ててみることが大切です。


方法はとてもシンプルです。一定期間内における収入や支出などを整理してみるのです。


但し、通常は5年、10年と言った長いスパンで整理するのですが、まずは、半年、1年と言った短期間で区切って整理してみましょう。



<入ってくるお金の整理>
・お給料
・雇用保険等からの給付(失業給付 等)
・健康保険等からの給付(傷病手当金等)
・年金(公的年金・企業年金・私的年金等)
・金融資産からの利子・分配金・配当等
・その他


<出ていくお金の整理>
・生活費(食費、水道光熱費、電話・携帯料金、ケーブルテレビ等の料金、ネット関連費用、新聞代、医療費 など)
・住居費(住宅ローン 、家賃など)
・自動車関連費(駐車場代、自動車ローン、車検代、税金、自動車保険料、ガソリン代など)
・教育費(授業料   、塾代 など)
・保険料※(生命保険料 、損害保険料   など)
・余暇のために使うお金
・クレジットカードの支払い
・各種税金 (自動車税、固定資産税など)
・その他


<整理の結果、支出が収入を上回ってしまう場合には‥>
(1)支出項目の中から、節約できる項目がないか、考える。被災された方の場合、減免措置 や返済猶予制度を活用できないか、再確認する。

(2)それでも赤字となる場合には、赤字を補える預貯金等があるか、確認する。十分な預貯金がある場合には、赤字が長期化した場合に、どの程度の期間生活できそうか計算しておく。また、株や投信などを現金化する必要がある場合、換金順位を考える


(4)預貯金等で対応できそうにない場合には、活用できる貸付制度   を調べる(ただし、貸付を受ける際には、返済できるか慎重に検討する)。また、必要に応じて、相談窓口 を活用する。


このような作業を行うことにより、具体的な問題改善に向けた対策と実践をすることができるようになります。


*文章中※印のある項目については、ブログ内に関連記事があります。リンクを貼っていますのでご覧ください。


(杉田 ゆみか)


震災から約2ヵ月がたとうとしています。
最近の報道を見ていると、住宅ローンをはじめ、被災者の方たちのお金に関する問題が深刻化しているようです。5月3日の日経新聞によりますと、東北地方の中小企業や個人の返済猶予の相談は合計で4800件にも上るそうです。


以前、震災直後に久谷さんが「住宅ローンは、落ち着いたら金融機関に相談を 」という内容の記事を書かれています。金融機関も被災者向け相談会を行い、積極的に対応しているようで、当面は住宅ローンの返済を猶予する方向のようです。

被災者の方たちが新たなローンを抱えることは、生活再建の上で大きな負担となるので、政府内にも支援を行うべきだという声もあるようです。

ただ、過去の大震災でも兵庫県が利子補給の基金を設立しただけで、抜本的な支援は行われていないということですので、まだどうなるか不透明な状態です。


金融機関や市町村など、相談窓口は整備されつつあると思いますが、土地や建物、住宅ローン、借家・借地関係、会社関係、財産管理などの法的な問題について、法テラス が無料相談窓口を開設しています。


もともと法テラスは、借金、相続、消費者被害など様々なトラブルに対して、窓口となり情報を提供して解決に導いてくれる法務省所管の公的な法人です。
経済的に困難な方には弁護士や司法書士の費用の立て替えもしています。

どこに相談していいかわからない問題にも窓口となってくれると思いますので、ご紹介いたします。


東日本大震災電話相談


0120-366-556

受付期間:3月23日(水)より当面の間。平日のみ 午前10時~午後3時
主催   :日本司法支援センター(法テラス)、日本弁護士連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会

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東日本大震災被災者・避難者支援 司法書士無料電話相談


0120-445528

受付期間:4月18日(月)から当分の間。平日午前10時から午後4時
主催  :日本司法支援センター(法テラス)、日本司法書士会連合会、司法書士会

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東日本大震災仙台電話相談

被災した宮城県民に対する法的な支援を目的とした無料の電話相談です。


0120-216-151

受付期間:4月11日(月)より当面の間。平日のみ 午前10時~午後7時
主催   :日本司法支援センター(法テラス)、仙台弁護士会、日本弁護士連合会




(福島佳奈美)

住宅ローン以外のローン(クレジットカードや消費者金融など)を利用中に被災し、返済が困難になっている方も多いと思います。


こういったローンについても住宅ローンと同じように、各金融機関が支払猶予などの返済相談にのっています。それぞれのホームページに相談窓口の連絡先が書いてある他、業界団体でも対応しています。該当する方はぜひご利用ください。



日本クレジット協会 相談窓口

http://www.j-credit.or.jp/download/110328_news.pdf


日本貸金業協会 相談窓口

http://www.j-fsa.or.jp/doc/info/earthquake/110324.pdf



目の前の生活再建に忙しく、ローンを支払わないままでいたらどうなるでしょうか?


そうすると延滞扱いとなり、いつしかカードが使えなくなる他、「遅延損害金」というペナルティがかかってきます。これは返済期日の翌日から実際に返済した日までにかかるお金のことで、通常の利率よりも高い遅延損害金利率(29.2%が上限)で計算されます。


つまり通常の返済以外に余計なお金がかかってしまうわけです。


さらに困るのがその人の「信用情報」に傷がつくこと。


3か月以上の延滞をしてしまうと個人信用情報センターに「事故」として登録されます(いわゆるブラックリストにのるということ)。そうすると借りられる金額が少なくなったり、新たなカードを作れなくなったり、住宅ローンが組めなくなるなど将来様々な不具合が生じます。


金融機関が融資の審査をする時に、この個人信用情報センターをチェックするためです。この事故情報は延滞解消後5年間消えませんので、生活再建の妨げになるかもしれません。


ただ今回の災害状況を鑑み、金融機関によっては自動的に1~2ヶ月支払を猶予、延滞にしない配慮をしているところもあります。


それでも自動猶予期間を過ぎ、本人から何の連絡もなければ延滞扱いとなってしまいますので、やはり一日も早く返済相談の連絡をしたいですね。


神田理絵



震災からすでに1月半が経過しましたが、長引く原発問題や復興の遅れなど厳しい状況がつづいています。
私たち個人ができることといえば寄付、ボランティア、消費など様々なかたちがありますが、投資というのもそのひとつ。いま、個人の資金をあつめて投資を行う「ファンド」が、被災地支援の手段の一つとして注目されています。

たとえば、野村アセットマネジメントが開始した「東日本復興支援債券ファンド 」は、復興に役立つ政府機関や企業の債券等に投資するもの。投資家が運用のために支払う手数料の一部が被災地へ寄付されるため、投資家は自分のお金を復興のために働かせながら継続的な寄付にも貢献できます。同じように手数料の一部を寄付しながら国内の優良企業に幅広く投資するものなども出てきています。

もっと直接的な支援がしたい」という方におすすめしたいのが、「セキュリテ被災地応援ファンド 」。こちらは金融機関で販売されているものではなく、少額投資ファンドを運営するミュージックセキュリティーズ㈱が募集しているファンドです。被災地での再建をめざす事業者に直接、1口1万円から支援でき、半額を出資金、半額を寄付金とするユニークなしくみになっています。事業者さんたちのメッセージ に触れて頂くと、みなさんもぜひ応援したいと思う会社に出会えるかもしれませんよ。

ひとり一人の力は小さくても、たくさんの人が集まれば大きな力になるというのがファンドの魅力。
サポーター兼投資家が国内にどんどん増えて、その力が大いに発揮されることを心から期待しています。

村岡 里香


義援金を送ったり、寄付もしたいけれど、
自分たちの家計を考えるとあまり多くも寄付できない
そんな風に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
毎年払っている税金を使って、効果的に義援金・寄付金を送りませんか?



被災地の県や市区町村への寄付金・義援金は「ふるさと寄付金」として、
寄付金控除の対象になります。
つまり、寄付・義援金を送ることによって、税金が安くなるということです。


各家庭によって、いくら安くなるかは異なりますが、
総務省のホームページに家族構成、給与収入、寄附金額による
税金軽減額の目安が載っています。左下矢印
http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/pdf/080430_2_kojin_bt4.pdf  



そこから例にとると、
年収500万円の単身者が3万円寄付をした場合、

2万5千円税金が軽減されるとあります。
つまり、5千円の自己負担で3万円寄付したのと同じ効果になるということです。




クローバー 具体的にはどうしたらよいのでしょうか?クローバー


1 まず、義援金や寄付を送りたい県や市区町村を決め、振り込みをします。

    義捐金・寄付金を送る被災地一覧はこちら左下矢印
    
http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/pdf/110404_2.pdf  

    寄付金・・災害復旧及び復興事業に活用
    義援金・・被災者に対する生活支援として活用


2 振り込みをした場合に発行される受領証や振込票、
    インターネットバンキングなどのパソコンによる振込みをした際に
    振込日、寄附者、寄附金額、振込先が表示された確認画面のプリント、
    日本政府が発行する受領証書などを保存しておきます。


3 上記の書類を添付して確定申告(もしくは住民税の控除申告)をします。



クローバー これで終了です クローバー




所得税は寄附を行った年分の所得税から、所得控除として計算され、

税金が戻ってきます。


住民税は寄附を行った年の翌年度分の住民税から税額控除として計算され、

税金が安くなります。
ただし、住民税は住民税所得割の概ね1割が上限となります。




内田まどか

今回は、東日本大震災におけるあしなが育英会の対応についてお知らせします。

あしなが育英会は、ご存じのように、病気や事故、災害などで親を亡くした子ども達を経済的支援と心のケアの両面で支えている団体です。


このたびの大震災では、特に津波での被害が甚大で、両親を同時になくしてしまった子ども達のケアの大切さが伝えられています。
あしなが育英会では、東日本大地震・津波で保護者が死亡あるいは行方不明ま
たは著しい後遺障害を負った人の子ども達を対象(※)に【特別一時金】と【特例奨学金】の支給を決定しています。


※対象

【特別一時金】は0歳~大学院生まで
【特例奨学金(無利子貸与)】は、高校生、大学(短大を含む)、専修学校・
各種学校・大学院生


【特別一時金】は現在すでに500人を超える子ども達から申請されています。

なお、申し込み期限は2012(平成24)年3月10日です。


自分では申請などの手続きができない年齢の子ども達のためにも援助するおとな達が気にかけていただきたいと思います。

東日本大地震・津波への緊急対応措置について

 http://d.hatena.ne.jp/ashinagaikueikai/20110322/1300868171  


あしなが育英会では、阪神・淡路大震災の時には「神戸レインボーハウス」という震災孤児の心のケアのための施設を建設しました。

神戸レインボーハウス(虹のかけはしさん)
 
 http://www.ashinaga.org/support/rainbow.html


今回の東日本大震災においても仙台市に「東北レインボーハウス」の建設を決定しています。


この建設と維持には「今」だけでない息の長い支援が必要です。

 宮里 惠子

4月19日、東日本大震災の支援税制「第一弾」が閣議決定されました。
その中から、住宅などの被害に対する減税措置をご紹介します。


○雑損控除などの適用を1年前倒しにできます!

家などに被害を受けた方は、
雑損控除や災害減免法の適用を「前倒し」で受けることができます。

東日本大震災が起きたのは3月11日。
本来であれば、上記の適用は2011年分の所得からです。
しかし、復興のためには少しでも早く現金が必要でしょう。
そういった配慮などから、既に納め終わっている2010年分の

所得税からの還付が認められるとのことです。
※住民税についても、同様に、1年前倒しの扱いとなります。


また、雑損控除では、損失を1年で控除しきれない場合について、
繰越期間が5年に延長されます(現行は3年)。


○住宅ローン減税を受け続けることができます!
被災して住めなくなったとしても、
住宅ローン減税の適用を受け続けることができます。


○固定資産税・都市計画税の免除を受けることができます!
津波被害を受けた区域において、市町村長の指定を受けた区域は、
2011年分の固定資産税が免税になります。


なお、上記については、月内にも成立の見通しです。
今後は「第二弾」も続く予定です。どのようなものが出てくるでしょうか。久谷





日本学生支援機構の奨学金に関する情報は、先日のブログ

お伝えしましたが、今日は民間の予備校などが行っている

特別支援制度の情報をお伝えします。


自宅が全壊・半懐・流失など大きな被害を受けたり、

保護者が亡くなられたり、行方不明になられた高校生や受験生を対象に、

入学金や授業料を免除する制度です。


各校で、詳細は異なりますのが、主にこのような支援があります。


◎代々木ゼミナール  【申し込み:2011年3月22日~5月31日】

  大学受験科:入学金や年間の授業料の全額免除

  学生寮に入寮する場合は、実費を除いた寮費全額免除 など 

  ⇒詳細はこちら  http://www.yozemi.ac.jp/jugyounei/shien.html


◎駿台  【申し込み:2011年3月22日~4月30日】 

  高卒クラス:入学金・授業料の全額免除

  高1生~高3生クラス:入学金全額免除、授業料2コース無料

  指定する寮への入寮する場合は、実費を除いた寮費全額免除 など

  ⇒詳細はこちら   http://www.sundai.ac.jp/yobi/saigai/index.htm


◎河合塾 

 大学受験科:入学金・授業料の全額免除 

          (自宅が半壊で住める場合は授業料30万円)

 高校グリーンコース:入塾料全額免除、授業料2講座無料

  ⇒詳細はこちら   http://www.kawai-juku.ac.jp/kawaijuku/information/20110316.html


◎ベネッセ

 通信講座などが。4月~9月まで無料  

  ⇒詳細はこちら   http://www.benesse.co.jp/notice/index2.html


 

 申請には、罹災証明書が必要ですが、学校の先生に書いてもらう

 「在学校認定書」や状況を明らかにした文書の提出でも証明になるようです。


 また、申請の時期も、相談によっては猶予もあるようなので、諦めずに。


 大きな被害やショックで勉強どころではないという方もいらっしゃるでしょう。

 ただ、このような支援もありますので、進学の夢が消えないことをお祈りしています。


 田辺 南香