ワンストップの会、東京都へ緊急要望書提出 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

さて。私は本日より所属組合の通常業務に戻っていますが、ワンストップの会では東京都に緊急要望書を提出し、その後14時から記者会見を行なっていることかと思います。

14時を過ぎましたので、緊急要望書の内容をご紹介したいと思います。

なお、送っていただいた文書ファイルがワードであるため、アメブロはワード文書をコピーペーストするとエラーが起こりますので、改めて打ち直したものになります。また、明らかな誤記・漢字誤変換は訂正していることをお断りします。



                                 2010年1月12日

東京都知事

  石原 慎太郎殿

             年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会

               代表 宇都宮 健児(弁護士)、略称:ワンストップの会

               TEL:080-3432-9023 Email:hakenmura@mail.goo.ne.jp


      年末年始の生活総合相談にかかる緊急要望


 貴職の日頃からのご活躍に敬意を表します。

 私たちは、昨年の年越し派遣村の実行委員やボランティアなど有志があつまり、「年越し派遣村が必要のない」施策をつくるために結成された会です。私たちは国の政策を受けて東京都が実施された「生活総合相談」を成功させるために宣伝活動や相談活動などのサポートをおこなってきました。特に1月4日以降は施設内に立ち入ることを許可いただきながら、総合相談活動など今回のとりくみを成功させるべく、全力を尽くしてまいりました。

 数日前から、「無断外泊200名」など事実無根の報道が相次ぎ、貴職は1月18日をもって「生活総合相談」事業を終了する旨、明言されています。残念ながら、ごく一部の利用者が飲酒等の問題行為をおこなったことは事実であり、私どもも非常に残念に思っています。しかし、大多数の利用者は一国も早く生活再編に踏み出そうと懸命の努力を続けています。多くの利用者が今週に生活保護費の支給が認められる方向であり、現在は住まい探しの佳境です。そうした最中に「生活総合相談」を終了し、宿泊施設が閉じられることは止めるべきです。

 「無断外泊200名」と言われていますが、実際の外泊者数は40数名であり、それも東京都の連絡体制の不備から、当初は外泊の届け出先や急きょ設置された宿泊施設の東京都本部の電話番号を知らない人が大多数で、外泊者の大半は転出予定地でネットカフェ等の安価な施設に泊まり、アパート探しなどに走り回っていた人たちです。東京都がマスコミの誤った報道を直ちに否定せず、放置されていることに、私たちは大きな疑念を抱いており、早急な改善を求めるものです。

 また、現在の宿泊施設は畳の大部屋に雑魚寝にも関わらず、医療体制が貧弱であることを強く憂慮しています。利用者の多くは、経済的理由から医療機関の受診が中断していた人々であり、慢性疾患の悪化や伝染性の疾病の罹患も懸念され、住まいを失うという状況のもので、肉体的にも精神的にも追い詰められており、いっせい健康チェックの実施など、早急な対応が必要です。

 私たちは、国と東京都が協力して、年末年始に派遣切り等で仕事を住まいを失った労働者に宿泊施設を提供したことは大きな前進だと受け止め、今も施設内で相談活動を担っているわけですが、せっかくたどり着き努力している彼ら・彼女らに生活再建の道を閉ざすことなく、支援の継続・改善を求めて、下記のとおり緊急要望を提出いたします。なお、1月18日という期限が迫っているもとで、1月13日中にご回答いただくよう求めるものです。


                       記


1. 「無断外泊200名」「2万円持ち逃げ」など、誤った報道、利用者バッシングをただすため、東京都として直ちに記者発表をおこない、正確な数字や都としての管理・運営体制の不備などの問題点、経過を明らかにすること。


2. 努力している利用者の生活再建の道を1月18日以降も閉ざさないこと。そのため、区市や国とも相談して、宿舎確保のめどが立っていない利用者を対象に、もっと交通の便のよい地に臨時的な宿泊施設を確保し、各種手続きやアパート探しや就労活動の時間的余裕を確保すること。


3. 全員の先行きのメドを建てるため、ワンストップの会の持つ相談情報と貴職の名簿を突き合わせ、具体的な個別支援・アドバイスを協力して実施すること。


4. 生活保護の手続きについては、昨年12月25日の厚労省通知「失業等により生活に困窮する方々への支援の留意事項について」の趣旨をいっそう徹底し、面談等が遅れている一部の福祉事務所への指導を強め、1月18日という日付を意識した迅速な支給を実現すること。また、派遣切りや解雇等によって住まいを失った経過にかんがみ、居宅保護を原則として、本人同意のない施設への誘導を止めるよう指導を徹底すること。


5. 他の制度に関しても、1月18日を意識した迅速な手続きを関係実施機関に徹底すること。例えば、住宅手当+総合支援資金で実際に敷金等が入金され住まいに入居できる時期が2月初旬もしくは中旬以降になる事例などについて、即刻是正措置を取ること。


6. 女性や夫婦、病弱者等、大田区の宿泊施設以外に置かれている利用者については、東京都による情報提供や支援がいっそう遅れている実態にかんがみ、1月18日以降も当分の間、施設提供を継続し、支援の強化をはかること。女性については、特に精神的ケアを含めた支援を強化すること。


7. 現行の宿泊施設における医療・健康問題については、集団生活における感染の拡大を防止するとともに、医療中断からの健康悪化がすすんでいる状況にかんがみ、早急に全員の健康チェックをおこない、必要な医療を提供すること。当人から申し出があった場合には、不当な制限をかけることなく、迅速に医療機関に搬送すること。障害等のある利用者については、障害ニーズに応じた適切な障害者福祉につなげること。また、バリアフリーや個室対応等適切なシェルターを確保するとともに、居宅生活へつなぐこと。  (詳細別紙)


8. 短期間で十分な宣伝もない中で833名もの人が今回の「生活総合相談」を利用した事態にかんがみ、今回の実施状況を振りかえって、恒久的なワンストップ体制の構築や第2のセーフティネットの改善など、制度改善を政府に求めていくこと。


                                       以上



(別紙)


疾病・障害をもつ人のワンストップでの対応における改善申し入れ


                             患者・障害者対応 山本


1 急迫状態にある人の相談がありえることをワンストップでも共有し、きちんと対応すること。はじめから患者や障害者を排除した相談体制を改善すること。

①窮迫状況にある方は生活保護申請を速やかに進めること。

②医療受診を希望する人を速やかに医療機関に繋げること。

③適切に障害者福祉制度等の福祉制度の紹介、繋ぎまで行うこと。

(視覚障害の方のガイドヘルプ、介助体制、障害加算、障害年金、地域の自助グループ、相談先等)


2 医療機関受診、入院対応について

①症状が悪化している場合等で移動(病院、福祉事務所、宿泊施設間等)が困難な場合、タクシーや救急車対応等の利用が可能であることを適切にインフォメーションすること。くれぐれも阻害するような行為をしないこと。

②体調が安定しない人の入院期間を、生活保護受給者であること等を理由に不当に制限し、追い出さないこと。医療機関にも周知徹底すること。又、退院後の宿泊施設の確保等丁寧に対応すること。

③退院後、安静が必要な患者をネットカフェ等、安静療養ができない宿泊施設に誘導して症状を悪化させることがないようにすること。安静療養できる宿泊所を提供すること。


3 集団生活が難しい人やバリアフリーの宿泊施設の確保

①メンタル症状や、女性の対応、性障害等から集団生活が難しい方の個別対応ができる緊急宿泊設備(個室対応を含め)を整備すること。

②車椅子の方等のバリアフリー対応した緊急宿泊を整備すること。


4 なぎさ寮で続いている不適切な対応の改善を求める。改善計画を期日を決めて提出すること。

①入所している人の健康管理を、定期的に各部屋をまわって声かけ確認すること。医療受診希望がでた場合には速やかに医療機関につなぐこと。

②体調が悪いと訴えた、受診した方を後日経過を追って声かけ確認すること。

③医療機関への紹介が十分でないまま、亡くなられた方がいる。相談対応の経緯、原因究明の結果を公表し、2度と再発させないこと。

④亡くなられた方がでた後も、緊急で医療が必要な人が救急車を呼ぶことを阻害した職員がいる。改善対策を明らかにすること。

⑤「救急車を呼んだ責任を誰が取るのか」と救急車をよぶことを妨げる、救急隊員から求められた救急車への同伴を断り「救急車を呼んだので責任をとれ」と相談者の胸を小突く等の対応した職員がいる。名前を明らかにし、2度と繰り返させないように、謝罪させること。


5 メンタル的要因や病気、障害特性等により18日以降の行く先がなかなか決まらない人もいる。すべての人を途中で路上に放り出すようなことがないように公的保護責任を果たすこと。



ワンストップの会は、結成の目的として「年越し派遣村」が行なったような生活困窮者支援を公的な施策として実施されるように働きかけ、実現することを掲げています。ですから、これまで東京都の対応の不十分な点については表立って批判することを避け、施設内での担当者に対して要望や折衝を行なうことで改善しようとしてきました。しかしこの間、不正確な情報により多くの利用者の心を傷つけるような報道を行なうメディアがあること、それに対して東京都が情報の訂正を行なっていないことを重く捉え、今回の緊急要望書提出と緊急記者会見を行なうこととなりました。


私としても、これまで必要以上に東京都の批判をしないようにセーブしてきたつもりです。ですが、この要望書に東京都が誠実な回答を示さない場合は、もっときめ細かく東京都の対応の問題点を記述しなければならないと思っています。

少なくとも、医療体制については生死に関わる問題ですので、早急な改善を願いたいと思います。私も朝に施設に出向いた際に2回救急車が施設前に停車しているのを見ています。(そのうちの1回目が亡くなった方がいらした日のことだと思います)風邪のような症状が出ている方が多いということも聴いています。もしその中にインフルエンザの方がいらっしゃれば、大勢の方に感染が広がることも懸念されます。感染防止対策の徹底が必要ですし、疑い事例が出た場合は迅速に医療機関の受診につなげる体制が必要です。

そのくらいのことは東京都の職員の皆さんもわかっているのでしょうが、予算の制限があってきめ細かい医療体制が行なえないということなのでしたら、当面はボランティアが支援し、市民団体が国に対して予算増の要望を行なう行動を起こすこともできると思います。


とにかく、東京都には迅速で誠実な回答を示すことを期待します。



下、「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。


炊き出し 2/20 18時~ 北海道の労働と福祉を考える会
場所 かでる2・7(札幌市中央区北2条西7丁目)
炊き出し、衣料配布、散髪など
問合せ Tel 090-7515-8393 E-mail info@roufuku.org


こちらもよろしくお願いします。8月31日から福岡高裁で控訴審が始まりました。


緊急報告「爪ケアを考える北九州の会」からのアピール

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10310539150.html


12月18日、第2回公判が行なわれました。「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様から新聞記事をご紹介していただきました。


毎日新聞の記事

http://fukuokaunion.blog7.fc2.com/blog-entry-5054.html


朝日新聞の記事

http://fukuokaunion.blog7.fc2.com/blog-entry-5058.html