医療事故を調査・評価する新たな仕組みについてのシンポジウム報告
まず、直近の情報をご紹介します。
「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。
開催中!
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=22061
岩手県「あっせんで解決を目指す!無料労働相談会」
・ 二戸会場 10月25日(日) 二戸広域観光物産センター(なにゃーと)
・ 奥州会場 10月28日(水) 県南広域振興局
・ 北上会場 11月 1日(日) 北上市市民交流プラザ
・ 久慈会場 11月 1日(日) 久慈市勤労青少年ホーム
・ 県庁会場 10月26日(月)~30日(金) 労働委員会委員室(岩手県庁11階)
1300~1600(受付は1530まで ※県庁会場は、900~1600
・ 相談申込、電話事前予約制 019-629-6276 岩手県労働委員会
・ 当日各会場での申込みも可能、ただし事前予約の方が優先
昨日、10月25日、急遽書記長の代理で「シンポジウム ~安心・信頼しあう医療を求めて~ 医療事故を調査・評価する新たな仕組みについて」に行って来ました。主催は厚生労働省関東信越厚生局で、会場は川口駅前市民ホール「フレンディア」でした。
まず、このシンポジウムの感想を簡単にまとめますと……厚生労働省のやる気が感じられませんでした。政権交代によって、第三者機関による医療事故調査委員会の設置は検討の途中でストップしている状況だそうですが、シンポジウムに出席した厚生労働省本庁や関東信越厚生局の方々は、「政権交代により、我々はこうした場で意見を言うことを禁止されています」とおっしゃって、パネルディスカッションでパネラーの意見についてのコメントを求められても同じことを繰り返すという状態でした。これではせっかくのシンポジウムが今後に活かされるのかどうか、確信が持てません。
また、パネルディスカッションも、患者の立場と医師の立場の違いを浮き彫りにしたに留まり、そこからどのような一致点を見出して制度実現につなげていくかというところにまでは至らなかったという印象でした。そして、討論の中に、この制度の早期実現が求められている切実な理由の一つである、医療崩壊につながる医師の離職をいかに防ぐかという視点はまったく出てこなかったのが残念でした。特別講演の中ではさらっと触れられてはいたのですが。むしろ、そういったことを考えてしまう私の方が場違いなのかと感じてしまいました。
以下、この制度の必要性が論じられるようになった経緯を語る特別講演、NHK解説委員岩本裕氏による「医療事故を調べる ~新たな仕組みは必要なの?~」の概要をお伝えしたいと思います。( )内は私の個人的な突っ込みです。
講師の岩本裕氏は、NHK週刊こどもニュースで”お父さん”役として、様々なニュースを子どもにもわかりやすく伝えるということに取り組んでいらっしゃいます。そして、1992年から医療担当の記者として活動され、薬剤エイズ問題やがん医療についての番組などの制作に取り組んだという経歴もお持ちだそうです。そのため、今回のシンポジウムで第三者機関による医療事故調査委員会設置の検討についての経緯を、一般の人にもわかりやすく語るには最適の講師ということで依頼されたそうです。
岩本さんが医療の取材を始めた頃は、医者と患者は座る椅子も違い、教授には絶大な権力があってなかなか取材ができない状態だったそうです。そして、「国民皆保険が生んだ幻想」(←この表現には異議あり。皆保険制度が悪い訳ではないでしょう!?)として「医師の技量は皆同じ」という考えが国民の間にはあり、医療事故による訴訟もほとんどなかったそうです。それは、医療事故がなかったということではなく、患者が医療の情報を持っておらず、カルテは「医者のもの」と考えられおり、証言をしてくれる医師がいなくて裁判ができないという状況だったそうです。
それが変化したのは、1999年1月11日の横浜市立大学の患者取り違え事故と、同年2月11日の都立広尾病院の薬剤取り違え事故からでした。また、アメリカ医学研究所が「人は誰でも間違える」という本を出版し、年間で10万人が医療事故で死亡していると明らかにしたことも大きな衝撃となったそうです。(この時期、医療費削減政策、医師養成数抑制政策によって、医療現場は既にかなり疲弊していたはずですが、そういった点は語られませんでした)
また、2002年には東京慈恵医大付属青戸病院における前立腺がんの腹腔鏡手術における患者の死亡が、高度な技術を要する手術であるにも関わらず行なった医師3名が全員その手術が始めてで、患者と家族にその事実を説明していなかったことが問題となり、3名の医師全員が逮捕され、有罪となりました。
その一方、東京女子医大の心臓手術事故、福島県立大野病院の帝王切開事故など、医師が無罪となる判決も出始めました。特に後者の事故では、鑑定書で「ミスである」した医師が同様の症状を未経験であり、経験のある医師がこの事故における医師の判断は通常の医療に基づくものでミスではないと主張したことが無罪判決につながりました。医師間にこのままでは過重労働によって医療が崩壊するという危機感が広がり、インターネット上などで「医療崩壊キャンペーン」が繰り広げられたことも背景にありました。(医療崩壊について言及されたのはここのみです)
そうした経緯を受けて、2007年から第三者機関によって医療事故を調査・評価する仕組みづくりについての議論が始まりました。医療の素人である検察や裁判所が医療事故を判断することに対する疑問、裁判では個人の責任が追及されるだけでシステム上の問題が対処されないという懸念、民事裁判における真相解明の限界などが、第三者機関を必要とする理由として挙げられています。
厚生労働省は第1次から第3次の試案を公表し、いずれもパブリックコメントを募集しましたが、医療側からの反発が多く、インターネット上の議論で患者側との確執が広がる事態になってしまったそうです。
医療側は、医療の不確実性、そもそも医療は危険を伴うものなのだということを一般の人にも理解してもらわなければならないと主張し、患者側が議論に入ると処罰感情が優先され、科学的な議論ができないという意見も出されました。そして、個人の責任を問うと、本当のことを言わないケースが出てきて再発防止策をたてることができなくなるため、処罰とは切り離すべきだという意見も出されました。そして、「患者を助けるために行なったことで罪を問うのはおかしい」と、医療を業務上過失致死の適用外とすることを求める声も上がりました。結果として、第三者期間の設置には賛成であるが、制度の細かい点については意見が一致せず、「総論賛成各論反対」という状態に陥りました。
患者側は、真実を知るためには院内調査委員会ではかばい合いがされる恐れがあるので不十分であり、医療の透明性の確保と、負担の大きい裁判以外での原因究明と再発防止のために新たな制度が必要であると主張しました。つまり、第三者機関の設置が必要という点では、両者の考えは一致しています。(とは言え、第三者機関に個人の責任を追及する役割を持たせることも譲れないという点で、患者側と医療側の考えは対立してしまうのですが)
そして、政権交代によって議論は一度ストップしており、今後新政権の下でどのように制度をつくっていくかが問題となっている訳です。
パネルディスカッションでは、特別講演の講師の岩本さんがコーディネーターとなり、患者遺族で医療事故を防ぐための活動をしている方2名と、医師で医療事故についての取調べを受けた経験をお持ちの方1名による討論が行なわれました。
細かい討論の内容については割愛しますが、これがどうも平行線で、態度上はお互い協力してよい制度をつくっていこうとしつつも、主張することにはあまり歩み寄りが見られないという印象でした。これは、相手がなぜそう主張するのか、ということを突き詰めて話し合っていないからなのではないかと思いました。医師側には、このままでは医療が崩壊するという危機感があるはずなのですが、だから処罰と原因究明を切り離す必要があるのだということが患者側に説明できていなかったように思います。ですから、患者側は第三者機関の警察への通報義務を限定するということに一致できないのではないでしょうか? そして、これは処罰を全く科さないということではなく、明らかな故意や改ざん、倫理的問題がある事例は通報すること、第三者機関の判断を患者・遺族に公開するのですから、それに基づいて警察へ通報するなり訴訟を起こすなりすることは阻害されないということを医療側は述べています。本当に処罰すべき者は処罰し、救済すべき者は救済し、医師を徒に萎縮させない仕組みが必要とされているのです。
ここが一番の問題なのだな、ということは理解できましたが、前進は感じられない印象のシンポジウムでした。
以下、「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/lineup/index.html
11/8 22時 NHK教育
ETV特集 作家 重松清が考える 働く人の“貧困”と“孤立”のゆくえ
「派遣村」を担った弁護士やユニオンの活動現場を訪ね、いま働く人たちの直面する「貧困」と「孤立」の現実と、そこを抜け出す道を考える。
こちらもよろしくお願いします。8月31日から福岡高裁で控訴審が始まりました。
緊急報告「爪ケアを考える北九州の会」からのアピール
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10310539150.html
毎日新聞からの情報です。
http://mainichi.jp/life/job/news/20091012ddm013100026000c.html
11月21日午前10時~午後4時
東京弁護士会の女性弁護士が「セクハラ被害110番」
03・3503・8671、当日のみ




