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テーマ:映像・字幕翻訳○ 吹き替えとオリジナルの「ズレ」
○ 【映像・字幕翻訳】 主な書籍リスト
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テレビ放送(民放)の場合
CMが入るためにカットされる尺が
同じ映画でも放送するたびに違うので
翻訳・アフレコをしなおしているんです。
--引用ここまで
もとの記事
○ 『プリティ・ウーマン』OA
単にオリジナルをチョキチョキ(?)切っているだけではなかったのですね。全然知りませんでした。
(ということは、ノーカット版と比べると、セリフも微妙に違うということかな?)
すでにある吹き替えを使うほうがコスト的に安くすむような気もするのですけれど、アフレコしなおすほうが安上がりなのか、それとも切り方によっては流れが不自然になるのを防ぐ目的…?
素朴な疑問が次々と……。
ひとつの記事が、ほかの人の手でどんどん深みのあるものになっていくのが、インターネットのよいところですね。
tammyさんが連動記事にしてくださったおかげで、1+1が4にも5にも10にもなって、両方のブログの読者さんにたくさんの恵みをもたらしたことでしょう。
tammyさん、ありがとうございました。
→インデックスへ
わたしはよく、パソコンに向かって仕事をしているときに、BGM代わりに洋画の音だけ流しています。(DVDの再生ソフトが立ち上がりますから、実際には映像も出ています。ただ、画面を見ていないので「音だけ」。)
仕事では日本語で文章を書くことが多いため、邪魔にならないよう音声は英語です。ただ、それほど英語力が高いわけではないこともあり、何度聞いても聞き取れない単語やフレーズも。
そういうときは、言語能を使わない作業の時に、日本語吹き替えを流して確認します。そしてこのプロセスで、気付いたことがひとつ。
映画って、日本語吹き替え、日本語字幕、英語オリジナルの3つで、少しずつ違うことが普通にあります。字幕とオリジナルが同じで吹き替えだけが違うこともあれば、全部が少しずつ違うこともあるのです。
たとえば、リチャード・ギアとジュリア・ロバーツ主演の映画『プリティ・ウーマン』。
リチャード・ギア扮するエドワードが買収しようとしていた造船会社の買収額が、オリジナルの英語セリフは「billion dollars」。英語字幕も同じです。
日本語字幕では、「10億ドル」。ここまではいいですね。
これが日本語の吹き替えで、1000万ドルになっています。
吹き替えでは、できるだけ役者と口の形が同じになる言葉を選ぶようです。
NOに対し、「嫌」とあてると「ア」の音、「ダメ」だと「エ」の音になるため、不自然でなければ「やめろ!」など「オ」の音で終わるようにして口の形を揃える、といった工夫です。
この観点に立つと、「じゅうおく」よりも「いっせんまん」のほうが、billion(ビリオン)に口の形が近い気はしますが…。
それにしても、口の形を揃えるために金額が100分の1になってしまうものなのでしょうか…。
映像・字幕翻訳に関する本のリストです。
自転車の乗り方が書かれた本を読めば自転車に乗れるようになるわけではないのと同じで、翻訳も本を読んだからといってそれで実力がアップするわけではありません。
ただ、本は多くの気付きや学びを与えてくれます。勉強法に迷ったときの「きっかけ」作りなどの視点で活用してもらえれば、何よりです。
なお、それぞれの本に簡単なコメントを付けてありますが、元 特許翻訳者の眼で見ています。映像翻訳の現場の人とは受け止め方が違う可能性が多々あります。そのあたりはお含みおきくださいませ。
出版点数が少ないので、わりと簡単にひととおり読破できます。字幕でまず思い浮かぶのが、半世紀以上のキャリアを持つ清水俊二さん。あとは岡枝慎二さんの著書を押さえておけば、業界事情の概要は分かると思います。楽しさを求めるなら太田直子さんの本を。
◆映画字幕五十年
清水俊二 -- 早川書房, 1987.3 [体験談] その他の版 (1985年)
映画に字幕がなかった頃を知っている著者が、千数百本の映画の字幕をてがけた軌跡を振り返って記したもの。
◆映画字幕の作り方教えます
清水俊二 -- 文芸春秋, 1988.8 [テクニック] [体験談]
いわゆるノウハウ本とは形式が異なるため「体験談」という分類をしていますが、著者が実際に字幕をてがけた映画の具体例をとりあげながら解説がなされています。この本を一冊読めば、字幕翻訳者の心得や注意点がかなり分かるでしょう。著者は戸田奈津子氏の師匠でもあった、字幕翻訳界の大御所。
◆スーパー字幕入門
岡枝慎二 -- バベル・プレス, 1988.9 [テクニック]
字幕翻訳の基礎テクニック、注意点、業界用語、テクニックからQ&Aまで、幅広くカバーされています。また、実際の映画のスクリプトを使った翻訳技法の解説、制作現場の様子や裏話も。また、自分は翻訳者ではないけれど、洋画には興味があるという人が読むと、ひとあじ違った映画の楽しみ方が見つかるかもしれません。
◆スーパー字幕翻訳講義の実況中継
岡枝慎二 -- 語学春秋社, 1989.1 [テクニック]
実際におこなわれた講義を10回の講義録としてまとめたものです。受講生の訳と著者訳の両方が解説とともに掲載されています。
◆アテレコあれこれ
額田やえ子 -- 中央公論社, 1989.2 [体験談] その他の版 (1979年)
吹き替え翻訳歴30年を超える著者による、体験談ベースのエッセイ集。約70の短いストーリーが集められているため、わりと気軽に読むことができます。巻末には、同じ単語で文脈によって訳し方の違う例が対訳で集められています。
◆映画スラング表現辞典
岡枝慎二 -- 語学春秋社, 1991.3
主に映画に頻出するスラングを解説付きで説明したものです。手引き書というよりも、実務の参考書に。
◆映画字幕は翻訳ではない
清水俊二[他] -- 早川書房, 1992.7
戸田奈津子氏と上野たま子氏が、清水氏の亡き後に単行本未収録の遺稿を集めて本にしたもの。全体のほぼ半分が、清水氏の短編集、真ん中あたりに「あとがき」が入り、残り半分が「ロードショー」という雑誌に連載されていたコラムを「シネ英会話Lesson」として収録しています。
◆字幕のむこうの別世界
西森マリー -- 日本放送出版協会, 1993.11
プリティ・ウーマン、ダイ・ハード、エイリアン、ボディーガードなど、有名な映画28作品からシャレたセリフを拾い出し、字幕からは伝わってこない真の意味を解説しています。
◆西森マリーのバイリンガル映画道場
西森マリー -- ジャパンタイムズ, 1994.2
前作『字幕のむこうの別世界』と、ほぼ同じような構成で、35作品からセリフを拾い出して字幕外の意味を解説しています。
◆字幕の中に人生
戸田奈津子 -- 白水社, 1994.5 [体験談] その他の版 (1997年)
字幕翻訳の業界事情や裏話をまじえながら、字幕翻訳者としての自身の体験談を綴ったもの。映画の具体例をあげながら、字幕の付け方についても解説。
◆映像翻訳者になろう
→目次と概要
日本映像翻訳アカデミー -- 日本実業出版社, 1997.11 [なるには]
テレビ、映画、ゲームソフトなど、映像翻訳全般を対象にして、業界事情から求められる翻訳者像、仕事の内容、勉強法に至るまで、ひととおりカバーしています。映像翻訳という業界全体を俯瞰する上で重宝する一冊です。
◆翻訳者になるための練習問題100
日本映像翻訳アカデミー -- 雷鳥社, 1999.10 [映像][テクニック]
字幕と吹き替え翻訳について、具体例をあげて「練習問題」形式で勉強できるように作られています。それぞれの作品ごとに習得課題と注目点が明記され、たとえばゴッドファーザーなら習得課題が「英語以外の原語の扱い方」ほか、注目点は「アメリカ社会におけるイタリア系移民の社会的地位」といった具合に、分かりやすく表示されています。
◆字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ
太田直子 -- 光文社, 2007.2 [映像]
軽快に、かつ楽しく読めるエッセイ形式の本。専門的な内容の翻訳のために「語学力」「専門知識」を事前身に付けておく必要があるとはかぎらないことがよく分かる内容になっています。日本語のおかしさ云々に関する部分よりも、短期間で分からないことを調べる方法や何か国語もこなす姿勢などに、個人的に共感できる点が多々ありました。
スター・ウォーズをはじめとする、数々の映画の字幕を手がけた、故 岡枝慎二氏。著書の中で、何度も引き合いに出される例があります。
I saw him yesterday in New York を、8文字以内で訳すというものです。
今まであまり深く考えたことはありませんでしたが、地名は字幕翻訳者泣かせですよね。中国などのごく一部の例外をのぞいて、外国の地名は原則カタカナになるため、それだけで簡単に文字数オーバーになり得ます。
例にあげられたニューヨークは、6文字。残りあと2文字です。
こういうときにどうするのかというと、ストーリーの流れの中でのセリフの位置づけを考えるそうです。もし、地名そのものが重要なら、字幕は「ニューヨークで」。
あとは前後のセリフに細工をして、意味が通るようにするそうです。
原文がどうなっているかを問わず、直前の字幕を「どこで会った?」にする、という具合です。一方、もし「時点」が重要なら I saw him yesterday in New York を たとえば「きのう会ったよ」にして、直前を「彼、ニューヨークにいたって?」という具合に調整するとのことでした。
重要なセリフを生かす都合上、前後10個くらいの字幕に細工をすることもあるようで、あらためて字幕翻訳の奥深さを感じました。