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一昨日まで連載しておりましたカシュー塗料の特許を探す過程で、いくつか気づいたことがあります。
そのうちのひとつが、特許情報プラットフォームでの分類検索に関する事項です。

分類にIPC最新版を指定し、検索式をC09D161/00、公知日/発行日を1950年1月1日~1960年12月31日として検索すると、全部で85件ヒットします。

この85件の中身を1件ずつ確認することで、求めていた出願のうち16件を特定できました。
でも、最終的に27件の特許番号と分類を手にしてみると、「なぜ」この16件なのか、という疑問が生じています。

以前も示したように、特許第185153号と同第191162号を手がかりに、キーワードとして「塗料」「縮合物」「油」=paint、condensate、oil の3語を使用して、C09D161/00を導きました。
そして取得できたのは、下記で赤字表記した16件です。番号はいずれも特公昭です。
 

8 A 122: 26-7319
24 C 4: 31-442
24 C 42: 25-231826-268726-2688、26-2689、26-4637、26-5585、27-178527-244227-2986、31-3790、34-10170、35-15694
24 G 11: 25-49
24 G 12: 26-661
24 G 13: 25-50、27-291
25 M 3: 28-91
26 A 0: 31-5891、32-1543
26 D 2: 30-564532-447、33-5443
26 D 22: 30-5646、31-2694、34-996、34-2146、34-2147


ここで、特許第185153号と同第191162号には、いずれも分類として24C42が付与されています。
ところが24C42がすべてヒットしたかというと、そうではないのです。
かたや分類違いでありながら、検索結果に入ってきた出願もあります。

もっとも、後者については、問題にはなりません。
たとえば特公昭34-996号には、筆頭分類26D22に加えて、カッコ書きで24C42が記載されています。
このように1つの出願が2以上の分類に該当することは普通にありますし、そもそも現IPCと当時の日本特許分類とは1:1で対応するものではなく、なおかつ今回の目的に照らすと、多いほうは構わないでしょう。

当時の分類を確認したところ、第24類は「顔料・塗料・塗装・接着」、Cは「ペイント・ワニス・エナメル」で42が「合成樹脂を主材とするもの」、Gは「漆・漆器」で12が「速乾漆」、第26類は「高分子化合物」です。
第24類と第26類の重複は、十分に考えられますね。

それでは、24C42でありながらヒット「しなかった」出願を、仮にIPCから探すとしたら?
ここに、ひとつの問いが立ちました。

特公昭第31-3790号「カシューナット殻油縮合物によって変性せしめたビニール樹脂塗料」だけは顕著な特徴がありますから、キーワードの推測が容易です。
実際、

 ・WIPOのIPC検索でvinyl resin paintの3語を使ってIPCを検索する
 ・得られたIPCのうち最初の「C09D 127/06」のサブグループをゼロにして「C09D127/00」とし、C09D161/00のときと同様に検索する

ことで、難なく31-3790号を拾えました。

一方、第34-10170号「カシューナット殻液を主原料とする塗料製造法の改良」と、ヒットした出願と名称が同じ「油性塗料の製造方法」である第26-2689号および第26-5585号は、工夫が必要でしょう。

特に26-2689号は、連番の2687と2688がヒットしましたから、何が違うのか見極める必要があります。
おそらく、フタル酸ではなくカルボン酸、カードル油ではなくフェノールなど、明細書中のキーワードから何らかの上位概念化が必要になるだろうと思います。

あとは、それをどう組み合わせるかですね。
化学の勉強が必要・・・かもしれません。

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