紙の目 その2 | 画材エクラの店主BLOG

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だいぶ更新が途絶えてしまいました。しかしアクセス解析を覗いてみると、しっかりと大勢の方に訪問していただいていました。どうもありがとうございます。なんだか申し訳ないです。

続きの紙の目の話です。
手漉きの紙とはちがって、工業用に大量生産される一般の紙には、紙の目というものが存在するということでした。サンプルとしてコピー紙を手にしてみると、それがよくわかります。例えばA4のコピー紙の端をもって、持った部分を下にして持ち上げようとしてみます。このときの紙のたわみを、縦方向と横方向で比べてみるのです。

画材エクラの店主BLOG-紙のたわみ
やってみると、たわみのたくさん出る方向と、硬くてあまりたわまない方向があります。つまり曲げる方向で紙の固さがちがうわけですが、図のような持ち方をして、柔らかい感じがするときには、紙の繊維はつまんだ辺に平行に走っています。固ければ、紙の繊維はつまんだ辺に直角方向に走っています。

また紙を台に置いて、霧吹きなどでうっすらと紙を湿らせて見ます。やがて紙がカールすると思います。カールして丸まった筒の軸方向に紙の繊維が走っています。曲がりやすい方向は湿度でも曲がりやすいのですね。
またアイロンをかけてみるとやはり同じ方向にカールする癖が出ます。

さて市販されているコピー紙は、ほとんどがT目(長手方向に繊維が走っている紙)だと思います。その理由は、使用されるコピー機の多くが、短辺側からマシンに送られる構成のためと思います。
コピー機の中には帯電するドラムが回っていて、ここに紙が巻きつけられ帯電したパターンが転写されます。さらにトナーを焼き付けるために熱を加えます。T目にしないとこの送り機構のドラムなどに巻き付きやすく紙詰まりの原因になります。長辺側から送られるマシンの場合は、Y目を使うことが推奨されているはずです。

また本に使われる各ページの紙は、上下方向に繊維が走っています。逆の目にすると、とてもめくりにくくなります。なめらかにページを手繰ることができません。


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