画材エクラの店主BLOG

画材の情報や知識、お店での出来事、お店をはじめる際の勉強の話題をご紹介します。


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初心者だから、水彩描く紙は、安いものでいいんです、
といわれるお客さんが多いです。
しかし、水彩画は、水彩紙に描くに限ります。

安価な画用紙ではダメなのかと訊かれます。
はっきりいって、ダメだと思います。
水彩紙は、水彩画に適した構造とつくりになっていて、
さまざまな点で、メリットがあります。
水彩絵の具はほぼ透明といってよく、
水彩画の明るさは、紙の白さであることからも、
その重要性が理解できると思います。

いくつか水彩紙の選定のポイントをまとめてみます。


■1 《堅牢さ》

水彩紙は、原料の繊維が長く、容易に繊維がほつれにくい
構造でつくられています。ちょうど和紙がとてもちぎれ難くて
丈夫なのと似ている感じです。

水彩紙の原料には、さまざまなものが使われていて、
木材ばかりではありません。麻やコットン、ラグ(ぼろ)、
変わったところでは竹なども使われています。

水彩の表現において、絵の具とたっぷりの水を使うほど、
水彩らしい表現が可能になります。
たとえば、「にじみ」、「ぼかし」、あるいは背景などに使う、
「広い面積の均一な着彩」など、これらの表現は
少量の水では表現できません。

水彩紙は、水槽の中に漬けっぱなしにしても、
ボロボロになることはありません。
そのくらい濡れに対して丈夫にできています。

この点で、画用紙は比較的薄い紙がほとんどで、
繊維も弱い印象です。
過酷に水を使うと、紙の中に絵の具が滲んでしまったり、
繊維がほつれてしまい、ひどい場合は穴が開きます。

またマスキング手法といって、白抜きをするための
マスキング液(マイルドな接着剤のような液)を使う手法がありますが、
マスキング液をはがすときに、水彩紙は表面が傷みにくいのです。

■2 《サイジング処理》

すべての水彩紙には、サイジング処理が施されています。
別名、ドーサ処理とかにじみ止めとか言われます。
紙の姿が完成してから、ドーサ液を塗布して乾燥させてあるのです。
ドーサ液は、明礬(みょうばん)と膠の混合液ですが、
水たっぷりで絵の具をのせたときに、塗った領域が、
横へ広がらないように食い止める作用をします。
濃い液を塗ると、今度は水を弾くように作用するので、
その濃度はとても大切です。

各メーカにより、ドーサ液の濃度は異なるので、
ちがうメーカの紙を使ったとき、なんとなく横への広がり方が
ちがうと感じるかもしれません。
自分の経験では、イタリアのファブリアーノという紙は、
ドーサが少ない印象で、絵の具が広がる気配で、
絵の具が暴れる感じがしますが、自分は好きです(笑)。

またもちろん、紙の中へ絵の具が入り込むのを阻止しているので、
絵の具の顔料は、ごく表面に留まっているわけです。
これが発色のよさにつながっています。
ドーサが弱くて、絵の具の顔料が、紙の中にもぐりこんでいる状況では、
絵の具の発色がぼんやりとして、眠い感じがします。

■3 《表面の凹凸、目》

紙の表面には、最後にプレスによって凹凸(目と呼んでいます)が作られます。
毛布などといっしょにプレスして、わざわざこの「目」を、
作っているのです。目はゴルフボールのディンプルと
同じような構造で、小さな凹みです
目には、粗目、中目、細目などがあります。

なぜわざわざ目を作るのかというと、絵の具の水溜りです。
ケント紙などのように表面がツルツルの紙に、
絵の具をのせたことのある方はわかると思いますが、
すこしでも紙が傾斜すると絵の具が流れてしまい、
とても描きにくいのです。

またこの目に溜まった絵の具が乾燥すると、
色面に独特のウロコ模様が現われ、
魅力的な風合いが現われます。

■4 《紙の厚さ》

紙の厚さは、ふつう1平方メートルの紙の重さで、
表現します。専門的には、坪量と呼んでいますが、
厚みを何ミクロンというよりも、重さでいうのが通例です。
たぶん取引上の簡易さからも重さが使われるようになったと
思われます。

水彩紙のスケッチブックには、この厚さの表記が記載されていて、
だいたい185g/m2~300g/m2のものが市販されています。
専門に水彩画を書く方は、たいていこの300g/m2の
超厚口の紙を使われることが多いのではないでしょうか。
というのも、水たっぷりで描くとき、300g/m2ほどの厚さがあると、
紙のうねりが抑えられるのです。
(本格的に描く場合は、やはり水貼りが必要です)

ちなみに画用紙はたいてい、175g/m2以下の厚さが多いです。
この点でも水彩を描くには厳しい紙だといえます。

以上、水彩紙に関していろいろと述べましたが、
スケッチブックは、原料、目、坪量、などの情報が記載されています。
にじみ度合い(ドーサの量)だけは、経験で知るしかありません(笑)。

水彩紙そのものは、海外メーカのものが多いですが、
市販されているスケッチブックは、日本メーカが仕立てていることが多く、
この辺をよく読み取るといいでしょう。





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