ここに取り上げる話の内容は、1988年に小室直樹氏が語った内容である。小室直樹さんが語ったところだけ青文字にしています。


高度成長を続ける昇竜のごとき韓国経済の悩みの種は、経常収支における赤字であった。韓国においては、ずっと、貿易収支が赤字であってきた。また、韓国は外国から金を借り、外国の資本もドッサリと受け入れている。それらに対し、利子、利潤を支払わなければならない。これらの利子、利潤が貿易外収支における赤字となってあらわれる。かくて、貿易収支も赤字、貿易外収支も赤字、合わせて経常収支が赤字。経常収支の赤字は、いわば、韓国経済の持病であった。それが、86年には、ついに黒字に転じたのであった。


どうして、86年に韓国経済が、黒字に転じたのか?


韓国経済超高度成長の秘訣を、一言でいうとこうなる。


「外国から金を借りる。これを重点的に輸出産業に投入する。外国から中間生産物と資本財を輸入し、組み立てて完成品を作って外国に輸出する。この輸出を原動力にして高度成長する。ちと単純化しすぎたようだが、エッセンスはこういうぐあいだ。」


韓国経済の危険性は二つ。


一つは、輸出が止まったら、経済は駄目ということだ。輸出を続けていくためには競争力を高めなければならない。そのためには高度成長をしなければならない。そのためには、また輸出をしなければならない。このように常にぐるぐるとまわっていなければならず、回らなくなるとみんな駄目になる。韓国経済が自転車操業といわれる所以である。


二つ目は、韓国経済は借金と言う動力で動き始めたこと。この輪が、ぐるりと一回りすると、高度成長した結果、輪もひと回り大きくなってもっと借金がし易くなる。つぎに、この輪を、もう一回転させるためには、もっと多くの原動力を注入しましょうということになる。これもまた、ぐるぐると繰り返されるのである。このプロセスが回転するたびに生ずる結果は明らかである。高度成長すればするほど、借金もまた嵩む。これである。


韓国の高度成長には必ず借金の増加という命取りになるかもしれない激烈な副作用が必ず伴ってきた。ところが、86年に借金がなくなり黒字に転じたのである。なぜなら経常収支が黒字に転じたからであった。しかも、高度成長をしつつである。インフレも起きていない。


86年の韓国経済は、インフレなき成長をしつつ、経常収支は黒字である。借金(対外債務残高)は増えない。かくも好況であったために、失業率は約3%までになった。朴正煕が経済政策を始動せしめて以来の空前の低さであった。これぞ、レーガノミクスが、いかに望んでも、ついに実現できなかった夢ではないか。その夢を朴正煕が実現させたのであった。もはや、韓国経済に致命的持病はないといえた。


致命的持病はない、とはいっても、重大問題が残されていないわけではない。それは、貿易収支、すすんでは経済収支の内容である。


この経常収支のエッセンスを一言でいうとこうなる。


「日本から部品、資本財などを輸入して、これを組み立ててアメリカにどっさりこと売り込んでガバッと儲ける。」


韓国は、アメリカに品物を売りこんで稼ぎまくる。対米貿易収支は黒字。アメリカに売って売って売りまくる。


ところが、この儲け。ゴッソリと日本が持っていってしまうんだ。


韓国のエコノミストは、こう唱える。

「韓国で競争力のある高い品物を作るには、どうしても日本製の部品や資本財が必要である。品質の点からいって、日本製以外では、どうにも代替できっこない。日本製ほどの部品、資本財、韓国ではまだ生産できない。」


つまり、韓国経済は、借金がなくなったものの、対米黒字が増えれば、自動的に、対日赤字が増えることになっている。


韓国のエコノミストはこう嘆く。


「一生懸命働いて働いて、対米黒字が100億ドル近くになっているのに、対日赤字は50億~60億ドルも持っていかれてしまう!」

日本人「韓国だって結構、儲けているではないか。」こう説得したって、韓国のエコノミスト、なかなか納得しない。


余計な話を取り上げてしまった。要するに韓国の儲けはアメリカがごっそり買ってくれているからなのである。


今でも韓国の生命線が輸出であることから明白なように、韓国経済の将来を卜するために最も重要な要因は、アメリカ経済の動向と日本経済の動向である。


では、韓国経済の将来はばら色か。よく考えてみると、韓国経済には戦慄すべき陥穽がひそむ。


戦慄すべき陥穽とは、韓国経済が日米経済に頼り切っているところである。韓国経済は日米という二匹の親亀の上に載っている小亀である。日本、アメリカどちらかの経済がこけると、韓国経済もまたこけるということだ。


たとえば、アメリカが輸入制限などの措置に踏み切れば、韓国経済にとって致命傷ともなりかねない。また、仮に日本が部品、資本財の韓国への輸出をストップすれば、韓国経済は、ピタリととまる。


さて、アメリカ経済は今どうなっているのだろうか、皆さんご存知の通り。アメリカがこけると韓国経済はこけるのだ。日本が助けたところで、韓国経済は持たない。いや、この日本の助けがまだ韓国の救いとなる。


しかし、今、日韓断絶を訴えている日本人がどれほど多いか?三橋貴明でさえ、そう思っているのではないのか?渡辺昇一や、黄文雄の語る歴史が本当に正しいとでも思っているのか。日本は歴史を隠蔽している。これからそれをブログに載せようと思う。


最後に。三橋貴明が現在主張していることを、実は小室直樹が1988年(今から26年前)に同じ事を訴えているので、その部分だけを取り上げよう。


ソウルオリンピックの頃、日本のマスコミは、このままでは日本経済は韓国経済に追い抜かれると騒いだ。あせった日本人は、古本屋から朝鮮の日本統治時代の本を買いあさりほとんどを燃えつくした。


韓国の呪い、韓国の崩壊より。

人々は、韓国経済の飛騰に目を奪われている。地軸をゆるがすような進軍であるといってしょう動している。

はたしてそうか。戦慄すべき癌腫を胚胎していることを、人は知らない。

数年前から言われていた韓国脅威論なんてナンセンスもいいところ。


なぜ、韓国経済が躍進しているのに小室直樹さんは、韓国は奈落の底に落ちるといったのか、そこのところを要約している部分を抜き出す。詳しくは改めてブログに載せようと思う。


韓国には資本主義の精神が育っていない。かつて怠情であった韓国人をかりたてて、現在のごとく勤勉にしたのは資本主義の精神ではない。それはハングリー精神の一種である。ハングリーだから働く。ハングリーでなくなれば働かない。地位が低いから働く。ところが、充分な地位が得られれば働かなくなる。これは両班の精神の裏返しである。

昔の両班時代においてはよく働くということが地位の向上に結びつかなかった。働くなんて言うことは、いやらしいと思われていた。だから働かなかった。

今は働くということが地位の向上に結びつく。だから働く。これは両班の精神の裏返しではないか。

このように見てくると、一見、目の回るほどの巨大な韓国の大成功のうしろには、気の遠くなるような奈落が潜んでいる。

このことに、韓国人や日本人、アメリカ人は気がついているのか。


昭和63年月6日 小室直樹


私は2011年、三橋貴明さんの本を始めて読んだとき、これはすごい人物が現れたと喜んでいた。しかし、途中でこの人デモクラシーを理解していないということに気がついた。要するに政治無知なのだ。経済においては、三橋さんは、小室直樹に劣らないほどの分析力を持っている。しかも解説が分かりやすい。非常に長けている。しかし、政治知識、世界情勢知識においては、小室直樹に遠く及ばない。


http://www.youtube.com/watch?v=XLCRVeXKIao#t=967


三橋貴明さんは、安部を指示した。一方、小室直樹さんは、財務省、自民党(安部)を売国奴呼ばわりしている。マスゴミこそ日本でデモクラシーが死に絶えた証拠なのに、三橋さんはそのことに気がついているのに、安部を指示したのである。そして、TPPや増税をしようとする安部政権をみて、三橋さんは言い訳をしだしたのである。小室直樹支持者なら、とうに安部が二枚舌、三枚舌使おう事などお見通しなんだよ。


過去ブログ アホノミクス支持者の言い訳が始まった

http://ameblo.jp/s080226/entry-11628981786.html


だから、私は三橋貴明に物申すを過去ブログで書いた。今思うと私の知識の無さが露呈してしまっているが、安部を支持する三橋貴明を止めるには、やむをえなかったのだ。


今後、私が三橋貴明氏を支持するかどうかは、まだ分からない。三橋貴明さんは、進化している・・・と思われる。今回、安部のウソだらけのマニュフェストに騙され、三橋貴明さんも頭を打っただろう。三橋貴明氏を安部を指示するように促した売国奴と呼びたいところだが、誰にでも失敗はある。でも、もう遅いけど・・・。三橋貴明さんは、少なくとも教養と言う点では、日本人に大きな貢献をしているのは、確かだ。これから、小室直樹に肩を並べるほどの、でも小室直樹とは切り口の違った人物に成長するのではないかと期待したいが・・・。