オリバー・ツイスト 公開年:2006年1月28日 製作: 評価:☆☆☆ 完了日:2011年10月24日 ラベル:ヒューマンかお









『戦場のピアニスト』の監督、ロマン・ポランスキーによる作品。





19世紀のロンドン。救貧院、養育院、そしてまた救貧院に戻ってきた9歳になるオリバー・ツイスト(バーニー・クラーク)。


院での貧しい食事。それは、食べ盛りのオリバーにとってとても満足できる量ではなかった。


「おかわり下さい」と監視員に頼むオリバー。だが、それが反感を買うことに。


彼は、中流階級の家庭に召し使いとして売られることになった。


しかし、その家に出入りするある少年とオリバーは口論になり、暴力沙汰をおこしてしまう。家に居られなくなったオリバーは、脱走を図るのだった。





ジャック・ドーキング、通称”早業ドジャー”に出会い、子供たちにスリをさせている老人・フェイギン(ベン・ギングズレー)を紹介される。そこに身を寄せるオリバー。


彼は善悪の区別がつかないのだ。ウブで愚かで空気が読めないオリバー。現代の我々からしたら、信じられないような習慣や価値観。道徳なんてものは存在しない時代。


生き残るためならなんだってやる。どんなに汚ないことでも。





階級による貧富の差なんて、この時代に比べたら、現代はなんてことはないだろう。それは絶対的なもので、決して覆るものではないからだ。


救貧院での貧しい食事と対照的な教区委員の食事。だから、あいつらアゴの肉がたるんだ二重アゴなんだ。


だいたい、あの判事の態度はなんだ?あれが法で人を裁く立場にいる者の態度か?人の言うことをまったく聞こうともしないのだ。


おいおいおい。それじゃ誤審やら無実の者が裁かれてしまいかねないではないか(冤罪の多発)。





数奇な運命をたどるオリバー。なぜみんなして、オリバーにこだわるのか?ガキなら、そこらじゅうにいそうなものを。


可哀想な老人でもあるフェイギン。確かに、子供たちに汚ないこと(スリ)をさせて儲けていた老人ではあったが、オリバーに対しては優しい所もあった。


フェイギンを演じたベン・ギングズレーは、『ガンジー』(82年)で主役を務めたとか。うわー、超似合いそう。





監督は第二次世界大戦の体験者でもある。母親はアウシュビッツで亡くなっている。映画への情熱はこの頃に出てきたという。だからこんな映画が作れるのか。


画面は全体的に暗い。明るい部分なんて、ごく一部しかない(オリバーが当てもなく旅する所)。ほとんどが灰色といった感じ。