第8866回「でーれーガールズ 原田マハ原作 大九明子監督 その2、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第8866回「でーれーガールズ 原田マハ原作 大九明子監督 その2、ストーリー、ネタバレ」





 第8866回は、「でーれーガールズ 原田マハ原作 大九明子監督 その2、ストーリー、ネタバレ」(2015年)です。現在と30年前が交互に描かれています。ストーリーの紹介にあたりましては、原作とは関係なく章とサブタイトルを付けさせていただきます。


「プロローグⅠ みどりちゃん(30年前)」(ロックンロール・ウィドウ♪)

 佐々岡鮎子(優希美青さん)は、ラジオをかけながら漫画を描いていました。母親が入って来たので、ノートを閉じましたが・・・・。「明日からはお嬢さま学校なんだから、漫画ばっかり描いてないで早く寝なさい。遅刻するわよ」


 その時、ラジオから流れたのが、山口百恵さんの「ロックンロール・ウィドウ♪」でした。曲に合わせ、ベッドの上で歌い踊ります・・・・。鮎子の通学ルートは、自転車で駅まで行き、路面バスで女子高の最寄りの駅で降りるというものでした。


 座席に腰掛けていた鮎子は早速、上級生からの洗礼を受けます。「我が校で座って通学する生徒はいないわ、さあ立って、しっしっ」、さらにリボンの色についても指摘されます。「今日のように式典(始業式)の日には普段の緑とは違って白のリボンをつけることになってるの」


 東京から岡山の女子高に転校した鮎子に、早速あだ名が付けられました。「みどりちゃん」でした。


「プロローグⅡ 母校からの招待状(現在)」

 佐々岡鮎子(白羽ゆりさん)は、メジャーな漫画家になっていました。雑誌社からの写真撮影に応じます。「先生の『でーれーガールズ』って実話ですよね、大好きでした」との編集者からの質問に、鮎子は曖昧にしか答えませんでした・・・・。


 そんな鮎子に母校から創立記念日の特別講演の依頼が舞い込んできました。引き受けることにします。


「第一部 鮎子と武美、でーれーガールズ結成」(30年前、ひと夏の経験♪)

 鮎子は百恵ちゃんが大好きです。最後の曲は、彼氏と聴くつもりです。それだけに、早朝通学する際には、元気よく「わたしの一番大切なものを♪あげるわ♪」と歌いながらチャリを漕ぎます。「大胆やな」、御近所の八百屋さんの感想です。




 そんな彼女が描いているのが、ヒデホ(矢野聖人さん)と武美の純愛物語、長編です。ところで、岡山弁の「でーれー」とは「よりすごい」程度の意味です。最高級の「でーれー」が「もんげー」です。「妖怪ウォッチ」で全国区になりました。


 「でーれー、あんたの使い方、変や」、みどりちゃんから「でーれー佐々岡」にいつしかあだ名が変わっていました。クラスの中でクールで姐御肌だったのが、ハーフで身長の高い秋本武美(足立梨花さん)でした。岡山と学校に慣れない鮎子に何かとアドバイスします。


 「それもこれもロッカーに入れたらええ」、鮎子のカバンはすっかりペチャカバンになりました。その際、鮎子の漫画が武美のカバンに入ってしまったのです、「すごいな、これあんたが描いたんや、ねえねえ、ヒデホくんってほんまにおるんやろ、今度会わせて」




 「うちら"でーれーガールズ"や」とクラスメートに宣言したのは武美でした。ですが、鮎子の描いた漫画がふたりを予期せぬ事態に巻き込んで行くことになります。


「幕間Ⅰ 同窓会にて」(現代)

 鮎子が岡山に着いたのは、創立記念日の2日前でした。30年ぶり再会を果たすために同窓会が組み込まれていたのです。当時の厳格な担任は、九十九先生(根岸季衣さん)でした。今ではすっかり年を取りました。先生は鮎子を覚えていました。「武美さんも来ているわよ」


 先ほど、学校の担当者として受付をしていたのが、結婚して姓が変わった武美(安蘭けいさん)でした。今では、母校の教師を勤めています。ただ、旦那は数年前に亡くなったそうです。「昔よく行ってた喫茶店のドン・キホーテ、のうなった、岡山も随分変わったでしょう」




 武美は鮎子に家に来るように誘います。


「第二部 まだ見ぬヒデホに恋する武美」(30年前、プレイバックPart2♪)

 でーれー佐々岡とあだ名されていますが、決してイジメられている訳ではありません。鮎子、武美クラスメート3人で、山口百恵さんの「プレイバックPart2」に乗って、歌って踊ります。




 「ヒデホくんに会わせてほしいねん」、漫画を見た武美が言い始めたのです。その様子には鬼気迫るものがありました。土砂降りの日のことでした。河川敷の橋の下で、武美が腕に「HIDEHO」と傷つけているのを見たのは・・・・(カッターで付けたものです)。


 武美にはある事情がありました、限られた時間の中で誰かを燃えるほど愛したいと・・・・。それを見た鮎子は引いてしまいます。そんなある日のことでした。鮎子が岡山駅の陸橋を移動している際、路傍で自前の針金細工を売っているオッチャン(甲本雅裕さん)を見かけたのは・・・・。


 「もう我慢出来ん、店番してて」、オッチャンはトイレに向かってダッシュします。入れ替わるように、床に広げた針金細工に興味を示す男子高校生が現れます。「ジョージってあるかな?」、わずかな会話から、お互い東京出身だと分かります。





 鮎子と鈴木淳(須賀健太さん)と名乗る女子高生の距離が一挙に縮まります。鮎子は淳のために手袋を編み始めます・・・・。一方、武美には次第に焦りが生まれ始めていました。


「幕間Ⅱ 倉敷の武美の家にて」(現在)

 「ヒデホくんって、ほんまはおらんかったんやろ?」、訊(き)かれた鮎子は言葉を濁します。「ほら、今でも残っとる。でも、亡くなった亭主もいい男やったで、心の方やけど」 武美は亡き亭主の両親と倉敷で暮していました。美観地区を歩きます・・・・。


 そして、武美が一方的に語る形で昔話をします。しかし、武美の体は当時から蝕(むしば)まれていました。「うち心臓病やったから、30までしか生きられへんって言われてた。だから一途にヒデホくんに恋した」


 鮎子と武美の物語も終わりに近づいています。以下、結末まで書きますので、ネタバレになります。


―――――――――――――――――――――――――――――






「第三部 転校していく武美」(30年前)

 鮎子は武美と距離を取るようになっていました。一方、武美は執拗になっています。「付き合って」、無意味に一緒に居たがります。ふたりの関係が決定的になったのは、クリスマスが近づいたころのことでした。喫茶店ドン・キホーテで、鮎子は淳に手袋をプレゼントしようとしていました。


 そこにやって来たのが、武美でした、すべてを理解します。自ら編んだマフラーを投げ捨てます。ヒデホくんと鮎子のためのマフラーでした。お互い学校では口も利かなくなりました。そして、終業式の日、九十九先生は武美の転校を告げます。


 「私は広島に転校しますが、心はこの学校と共にあります、いつか必ず戻ってきます」、和解出来ぬまま、ふたりは別れます。


「第四部 交錯する過去と現在、別れを言いたくて」(さよならの向こう側♪)

 現在、武美は緊急入院していました。今日は創立記念日、鮎子の特別公演があります。しかし、武美は帰らぬ人となりました。


 一方、鮎子は学校に向かいます、しかし、武美と別れた橋の上で、ひとりの女子高生が佇んでいました。「創立記念日に行かんでええん?」、その女子高生は親友と喧嘩別れしたと言います。リボンをプレゼントされた鮎子は学校に向かいます。そこで、武美の死を知らされます。


 鮎子の脳裏に当時が蘇ります。漫画の続きを渡そうとしましたが、もみ合っていうちに漫画は川に落ちてしまいました。色紙だけ渡すと、武美は振り返らず立ち去ります・・・・。


 演壇に立った鮎子は武美のことを語り始めます。「でも、あの時、彼女の名前を呼ばなくっちゃいけなかったんです。武美っー」、先ほどの女子生徒が講堂から出ていきます。鮎子の脳裏には、女子高生だった武美が振り返る光景がありありと浮かんできます。


(補足) 写真はシネマトゥデイから引用しました。♪を付した曲は、すべて山口百恵さんの歌です。


(追記) 感想につきましては、"その1"に書きました。

http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11995658002.html