2011-05-14 13:32:12

第3425回「ブラック・スワン、その2、ストーリー、ネタバレ」(バレエ映画)

テーマ:DVD

新稀少堂日記

 第3425回は、「ブラック・スワン、その2、ストーリー、ネタバレ」(バレエ映画)です。R15に指定されています。指定されるには、それなりの理由があります・・・・。


 映画は、ヒロインのニナ(ナタリー・ポートマン)が、「白鳥の湖」でプリマで踊っているシーンから始ります。ですが、それは夢でした。背中には、手でかいた傷痕が残っています・・・・。ニナは、ニューヨークのバレエ団(アメリカン・ハレエ・シアターがモデル?)で、コール・ド・バレエ(群舞)の一人として踊っています。もちろん、夢はプリンシパル(主役ダンサー)となることです。


 ニナの母親エリカ(バーバラ・ハーシー)もかつてバレエ・ダンサーでした。ニナを出産したことを契機にバレエをあきらめました。それだけに、ニナへの期待には強いものがあります。ですが、ニナのバレエでの成功を願う以上に、娘の幸福を願っています・・・・。母親のアップが、結構怖いのです。ですが、娘思いのいい母親です。

 
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 ニナは、リンカーン・センターに行きます。正面の建物がメトロポリタン・オペラハウスですが、バレエ専用の州立劇場はその左側に位置しています(右側はコンサート専用のエイブリ・フィッシャー・ホールです)。州立劇場の写真は、ウィキペディアから引用しましたが、左下の看板には、「ジゼル」が表示されています。12月には、恒例として「くるみ割り人形」が公演されます。


 大部屋の楽屋では、ダンサーたちが噂話をしています。バレエ団のプリマであるベス(ウィノラ・ライダー)は年だと酷評する女性もいます。バレエを観るニューヨーカーなどいないと言う悲観論を話す女性もいます。ただ、ベスは、ニナの憧れの的です、こっそり彼女の小物を盗ったりしています・・・・。レッスンが始ります。トゥ・シューズの描写など、細かく描かれています。


 そして、演出家のトマス(ヴァンサン・ラッセル)から重大発表が行なわれます。「白鳥の湖」の大胆な新解釈で公演を行うというのです。しかも、ベス以外をプリンシパルに起用して・・・・。バレエ団員の顔つきが変わります。数人の女性ダンサーが残されます。ニナもその一人です。トマスは、ニナに声をかけます。「白鳥だけならきみだな(ただし、きみの黒鳥はダメだ)」


 ニナは、母親に報告します。オディール(黒鳥)を踊れなくても、四羽の白鳥には選ばれるわよ、いい踊りよ、母親の感想です。母親の心配は、ニナが眠っている間に、一晩中、背中をかいていることです。ニナの爪を短く切ります。ですが、ニナのこの癖は、次第に嵩じていきます・・・・。


 ニナは、演出家のトマスにプリマをアピールすることにします。この映画では、ニナはスッピンであることを強調してるシーンが多いのですが、この時のニナは化粧しています。トマスは、そのことを指摘し、自分をアピールしろと迫ります。そして、ニナとキスをしますが・・・・。ニナは、噛み付いたのです。トマスが怒らないわけがありません。


 役の発表が、掲示によって発表されます。もちろん、ニナはあきらめています。ライバルのリリー(ミラ・キュニス)を祝福したのですが、そのミラが掲示を見て怒ったのです。白鳥(オデット)と黒鳥(オディール)には、ニナが選ばれたのです。ニナが噛み付いたのが、トマスに“黒鳥としての資質”を認めさせる結果となったのです。


 トマスは、スポンサー兼パトロンに、新たなプリマを紹介します。そして、一方的にベスの隠退を公表します。ベスの心が穏やかなわけがありません。ニナとトマスにあたります。エンディング・ロールを見るまで、ウィノラ・ライダーだとは分かりませんでした。


 ですが、トマスは自宅にニナを呼びます。そして、黒鳥を演じきるために、一皮むけろと言います。たとえば、オ×ニーをしてみろとも・・・・。一方、ベスは、交通事故を起こします。ダンサーとしては、再起できないほどの重傷です。


 レッスンが続きますが、ニナの黒鳥には、進歩が認められません。また、ニナの背中をかく癖は、一向に改まりません。母親は、寝ずにニナを見守り続けるのですが・・・・。行き詰っているニナは、トマスの勧めたオ×ニーをします・・・。ですが、気がつくと、母親が椅子に腰掛けて眠っていたのです。


 ニナの沈滞は、他の団員にも気付くことになります。初演の日は迫っています・・・・。ライバルだったリリーが、気分転換だと言って、ニナを誘います。母親の制止を振りきり、ニナはリリーと出かけます。リリーは、ニナにドラッグをすすめます。さらに、バイセクシャルの二人組であるトムとジェリーを紹介します・・・・。


 ニナが気付いた時には、トイレにトム(あるいはジェリー)と一緒にいました。家に帰ったニナは、寝過ごします。ドラッグでもうろう状態のニナは、リリーと一緒に寝たようです。遅れてレッスンに出たニナを待ち受けていたのは、黒鳥を踊るリリーでした・・・・。リリーは、ニナをはめたのでしょうか。このあたりから一挙に、ニナは精神に異常をきたしていきます。背中をかく癖は、一層ひどくなります。


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 母親が心配しないわけがありません。ニナのプリンシパル昇進をいったんは喜んだものの、娘の異常の方が気がかりです。そんな状況の中で、ニナはベスを見舞います。ベスは眠っていました。テーブルの上に、かつて盗んだ小物を並べます。爪をケアする先端の尖ったやすりもあります・・・・。


 目覚めたベスは、ニナを責めます。そして、やすりで自分の顔を突き始めたのです。ニナは、血だらけのやすりを取り上げ、病室から逃げたします。エレベーター内に、血だらけのやすりを投げ捨てて・・・。


 自分の踊りが見いだせないまま、公演の日がやってきます。楽屋は、かつてベスのものでした。喜んでいいのですが、自分が見えないニナは落ち込むばかりです。そして、第2幕の白鳥を踊ります。ですが、得意の白鳥でも大失敗したのです。


 王子が白鳥をリフトするラストのシーンで、ニナはバランスを崩して落下したのです。バレエ全体が、ぶち壊しです。ですが、第3幕が始ります。ここで止めるわけにはいきません。そんな時に、リリーが、ニナの楽屋を訪れたのです。


 第3幕は、第4幕は、どうなるのでしょうか。以下、最後まで書きますので、ネタバレとなります。


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 楽屋を訪れたリリーは、勝ち誇ります。“黒鳥”は私のものよ・・・・、怒ったニナは、リリーを鏡に叩きつけます。さらに、割れた鏡の破片で、リリーの腹部を刺し、遺体をシャワー・ルームに押し込みます。しかし、ドアの隙間から、血が流れ出したのです。ニナは、バスタオルで血だまりを隠します・・・・。


 第3幕の幕が上がります。そして、黒鳥の出番がきます。舞台袖で待つニナの手から背中にかけ、鳥肌が立ちます。それは、やがて黒い翼となっていきます・・・・。黒鳥になりきったのです。客席から、大歓声が上がります。第2幕の失敗を補うほどの成功です。


 第4幕の白鳥に着替えるために、楽屋に戻ります。その時、ドアをノックするものがいます。開けると、リリーでした。素晴らしい踊りだったとニナを讃えます。ですが、リリーはニナが殺したはずです。バスタオルをめくっても血溜まりはありませんし、シャワールームに遺体などはありません。


 ただ、鏡は割れています。自分の腹部を見ると、鏡の破片が突き刺さっていました。すべて、ニナの幻覚だったのです。ニナは、鏡の破片を引き抜き、第4幕に臨みます。15分ほどの短い舞台です。白鳥オデットは、岩の上に上ります。悪魔ロッドバルトを見つめます。そして、自分を裏切った王子ジークフリートに視線を移します・・・・。


 人間に戻るチャンスを失った白鳥は、後ろ向きに倒れ、岩から落下します。下には、マットが敷かれていました。仰向けで落下したニナの腹部のコスチュームが、血がにじんできます・・・・。幕が下ります。客席はカーテンコールを求める客で騒然となります。


 団員、スタッフたちが、ニナを讃えるために大道具である岩の裏側に回ります・・・・。そこには、微笑をたたえたニナが、腹部を赤くして横たわっていました。演出家のトマスが叫びます。「救急車を呼べ」、画面は暗転しエンディングロールが流れ始めます・・・・。


 原作ともいうべきバレエ「白鳥の湖」は、解釈の余地の多いストーリーになっています。そのことにつきましては、“その1”に書きました。http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10891011330.html  そういう意味で、「白鳥の湖」を知らなくても支障はないのですが、知っていると、ニナの微妙な行動がより理解できるのも事実です。


  映画「ブラック・スワン」のラストも、ハッピーエンド(ニナは生きている)とも、サッドエンドとも解釈可能です。さらに、どの時点から、ニナの幻覚が始まったかについても、いろいろな解釈が可能かと思います。再度観たい映画ですが、さすがに時間をおきたいというのも正直な感想です。


 重たい映画なのですが、後味はいい作品に仕上がっています。その1でも書きましたが、R15にならないプロットもありえたと思うのですが・・・・。ですが、この映画に"悪人"は登場しません。パワハラ、セクハラと思われた演出家も、バレエへの想いからでした・・・・。リリーも、誰しもが持つ上昇志向ゆえの行為でした、悪意はありません。


 アカデミー賞主演女優賞を獲得したナタリー・ポートマンのバレエのパートにつきましては、最初の30分間は気になったのですが、当人が演じていると思います。ただ、つま先など体の一部には、ボディダブルの可能性が高いと思いますが・・・・。


(補足) 1、3枚目の写真は、劇場用チラシから引用しました。4枚目の写真は、リンカーンセンター内にあるメトロポリタン・オペラハウスを夜間写したものです。オペラのシーズン・オフには、バレエなども上演されます。

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