第3387回「カイジ劇場版 人生逆転ゲーム、その2、ストーリー、ネタバレ」(思考実験賭博映画) | 新稀少堂日記

第3387回「カイジ劇場版 人生逆転ゲーム、その2、ストーリー、ネタバレ」(思考実験賭博映画)

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 第3387回は、「カイジ劇場版 人生逆転ゲーム、その2、ストーリー、ネタバレ」(思考実験賭博映画)です。


「プロローグ 兵頭の地下帝国宣言」

 黒服の集団が会場を埋めつくしています。帝愛グループの総帥・兵藤(佐藤慶さん)が、権力とは何かを、黒服たちに問います。兵頭の期待する答をしたのが、利根川(香川照之さん)でした。「絶対安全なシェルターを作ることです」、利根川の回答に対し、兵藤はさらに付け加えます。「そのシェルターを帝国とするのだ」


 場面は変り、コンビニが映し出されます。やるきの見えない青年が仕事に励んでいます(?)。その青年こそが、本編の主人公・カイジ(藤原竜也さん)です。仕事のはねたカイジは、カップルがいちゃつくのを見て、ベンツなどにやつあたりをします。そこに、黒服の男たちが現われます・・・・。


 連れて行かれたのが、裏金融の事務所でした。女社長の遠藤(天海祐希さん)がすごみます。自動車の修理代だけでなく、友人の連帯保証人になっていたことを理由に、200万円強を請求されます。「オレ、そんな金払ええないすよ」、遠藤は「クズが、甘えんじぇねえよ!」  カイジが、さらに連れて行かれたのが、豪華客船エスポワール(espoir、希望)でした・・・・。オープニング・タイトルが流れます。


「第1章 希望の船編(賭博:限定じゃんけん)」

 客船のホールには、百人ほどの男たちが集められています。利根川が、クズどもにルールを説明します。

 『 1. 各人に星3つと12枚のカードをわたす。カードは、グー・チョキ・パーの各4枚ずつだ。

2. ルールは、普通のじゃんけんと同じだ。勝った方が、星1個をとる。星1個、100万円だ。300万円貸し付ける。ゲームが終わった段階で、余った星は1つ400万円で買い取る、買った者には、借金は棒引きだ。

3. ゲーム時間は30分、1枚でもカードが残れば負けだ。星3つ以上残れば、勝だ。

4. 星がなくなれば、即刻退場させる。行き先は、地獄のような場所だ 』


 男たちが、さらなる説明を求めます。コミックとアニメでは、「ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・」と効果音と字幕が入りますが、映画では抑制されています・・・・。利根川は言い放ちます。「クズども、だから、お前たちは負け犬なのだ。一度の説明で十分だ」 デジタルの時計のカウントダウンが始ります。


 様子見をしていたカイジに、船井という男が接近してきます。船井は、このゲームには必勝法があると言います。12枚のカードすべてを"あいこ"にすればいいのだというのです。グー・チョキ・パーの順番で、カードを切っていきます。すべてあいこです。10枚目、船井はパーを出したのです。


 船井は、黒服の監視があるから、星をもらうよと言います。次、自分はグーを出すから、必ずパーを出せよ、と船井は言います。そうすれば、カイジの星は戻ってきますし、最後はチョキであいことなり、それぞれ星3つでゲームを終えられるのですが・・・・。


 ですが、船井が出したカードは、チョキでした。お人よしのカイジははめられたのです。船井の高笑いが、ホールに響き渡ります。カイジに残されたものは、星1つとカード1枚(チョキ)、負けが確定したと思えるのですが・・・・。怒り狂うカイジは、黒服に押さえ込まれます。その時出血した血でカードを汚してしまいます。 


 最終局面にあたり、めがねのおっちゃん(星2つ、カード11枚?)が、ゲームに参加できず、多数のカードを残して茫然としています。カイジは、そのおっちゃんを新パートナーとして選ぶことにします。ここで、強気な船井(星5つ、チョキ1枚)が仕掛けてきます。カードを一旦回収し、配りなおそうというのです。終盤に近づいていますので、各人の残りカードが分かっています。シャッフルしなおそうと提案したのです。


 カイジは、おっちゃんを誘うことにします。船井が配ってきたのは、やはり血に汚れたチョキでした。カイジは、船井に提案します。一度のじゃんけんで、星3つをかけようというのです。今残っているカイジの星1つとおっちゃんの星2つ、全てをかけようという提案です。一方、船井は星5つとカード1枚が残されています。


 船井には、成算がありました。シャッフルの段階で、カイジには血のついたチョキを渡していたのです。自分には、目印に折りをいれたグーを残していました。負けるはずがありません。お互いのカードを開きます。船井は当然グーです。カイジは・・・・。パーでした。おっちゃんの持っていたパーのカードに血をつけたのです・・・・。


 船井は、即、別室に連れ去られます。カイジも、めがねのおっちゃんも、星3つで勝ち残ったのです。おっちゃんの残りカードを次々とあいこで処分していきます。タイムアウトとなります。ですが、おっちゃんは、大チョンボをしていたのです。カード1枚をうっかりポケットに残していたのです・・・・。おっちゃんは、黒服によって連れ去られます。


「第2章 地下帝国の地獄編」

 サラリーマンが、1個の100円玉を落とします。その100円玉は、側溝の隙間から下に落ちます、さらに、地下鉄の線路を落ちた100円玉は、さらに下へ下へと転落して行きます。行き着いた先は、地下の工事現場でした。カイジも働かされています。おっちゃんが負けたのは、自分にも責任があると言ったために、連れて来られたのです(究極のお人よしです。ライアーゲームの神崎直なみです。)。


 カイジたちに課された労働は、"蟹工船"そのものでした。給料は、借金返済に回されます。1月の労働の果てに、手に残ったのは、9500円ほどでした。それも、地下帝国通貨ペリカで払われます("円天"を思い出させるエピソードです)。苛酷な労働条件はそれだけではありません。クズどもを食いものにする班長がいたのです。


 月給日に支払われるペリカをさらにむしりとろうと、ビールとかつまみを、クズどもに売って利益を上げていました・・・・。昼は地下の建設現場、夜は隣接エリアでの雑魚寝、カイジの生きているだけの生活が始ります。そんな状況の中、おっちゃんが落盤に巻き込まれたのです。救護所に運ばれますが、治療もペリカ次第です。


 そんな救護所で、激しく咳き込む人物がいました。佐原(松山ケンイチさん)です。彼は、ブレイブメン・ロード(勇者たちの道)へ送られます。カイジも、参加を決意します。「失うものは、何もない」、カイジの心境でしたが、あまりにも甘すぎたのです。


「第3章 絶望の城編(賭博:電流鉄骨渡り)」

 ブレイブメン・ロードに送られたのは10人です。地下から急速に地上に向かって移動します。出たところは、超高層ビルの高層階でした。向かいのビルとの間に鉄骨が2本渡されています。その鉄骨を渡れというのです。向かいのビルまでの距離は20メートル以上、鉄骨の幅は平均台程度です。落ちれば即死、手で鉄骨にしがみつけば電流のため感電します。


 利根川が吠えます。「クズども、生き残れば、1千万円。死んでも、どうせクズどものお前たちだ。生き残って、人生を逆転してみろ」、全員に1千万円の小切手が渡されます。ですが、誰も、そんな勇気などあるわけがありません。最初にやると言い切ったのはカイジでした。彼は、靴の中心にマーカーで線を引きます。鉄骨の中心にも一本の線が引かれています。靴の線と、鉄骨の線に合わせて歩けば、渡りきれる筈だ・・・・。


 10人全員、賭けにチャレンジします。しかし、雷鳴が轟いてから、状況は一変します。バランスを崩したひとりの男が転落したのです。残り9人にパニックが襲います。やはりバランスを崩した青年は、鉄骨にしがみつきます。感電したその青年も落下します。他人にしがみつこうとした男は、相手とともに落ちていきます・・・・。


 雷鳴でだけでなく、雨も降ってきます。滑りやすくなっています。カイジは、メンバーに声をかけます。「風は吹いていない。渡りきれる」、カイジが見渡すと、メンバーは彼を含めて3人だけになっていました。佐原も、めがねのおっちゃんも、まだ無事です。ですが、おっちゃんは、あきらめた口調で、カイジに話しかけます。


 「娘には何もしてやれなかった。この1千万円を娘に届けてくれ。××のパチンコ屋で働いている」、無理矢理、カイジの手に小切手を握らせます。カイジがバランスを取り戻した時には、おっちゃんの姿は消えていました・・・・。佐原とカイジは、渡り切ります。


 ですが、窓は締め切られていました。佐原が開こうとすると、ビルの中から突風が吹き出したのです。佐原は、吹き飛ばされ、地上へと落下します。このゲームの勝者は、カイジだけでした。おっちゃんの1千万円は、死者には払えないと拒否されます。カイジが手に入れた1千万円も、膨れ上がった借金のため、30万円ほどしか残りません・・・・。


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「第4章 絶望の城編Ⅱ(賭博:Eカード)」

 電流鉄骨渡りは、モニターで、ビル内で放送されていました。兵藤も利根川も見ていました。"帝愛"内で、利根川に先を越された遠藤(天海祐希さん)は、ウェートレスをしています・・・・。カイジが渡りきったことを確認して、兵藤は、新たなゲームを利根川に命じます。"E(皇帝)カード"です。


 ルールは、

 『 1. 皇帝サイドは、皇帝カード1枚と市民カード4枚を持つ。一方、奴隷サイドは、奴隷カード1枚と市民カード4枚を持つ。

2. 皇帝は市民に強く、市民は奴隷に強い。しかし、失うもののない奴隷は、皇帝には勝つ・・・・。"じゃんけんの変形です。ですが、1の条件を勘案すると、奴隷が勝てる確率は1/5となります(相手が皇帝カードを出した時だけ勝)。いずれかが、切り札の皇帝カードか、奴隷カードを出した時に勝負が決します。"

3. 不利な奴隷サイドの勝ち金は、かけ金の10倍。 』


 当然、カイジは、奴隷を選びます・・・・。

(第1ゲーム)

 あっさり、カイジは負けます。利根川は、カイジの表情を読みきっています。以下、最後まで書きますので、ネタバレとなります。


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(第2ゲーム)

 持ち金のなくなったカイジに、兵藤は39万円(私の記憶)を貸すと言います。勝てば10倍、負ければ一生地下での労働・・・・。カイジは、市民カード3枚をオープンにします。カイジの手持ちカードは、市民、奴隷各1枚です。最初の1枚で勝負は決します。捨て身の戦術ですが、やはりカイジの負けです。


 このカイジの戦術には、根本的な欠点がありました。利根川は5枚のカード全てをオープンにしていません。カイジが何を出そうと、市民を出せば利根川の勝です(シナリオのミスかと思います)。ですが、この対戦で、地下に送られた際に、チップを埋め込まれたことを思い出します。ですが、賭けのための軍資金がありません。カイジは、遠藤に声をかけます・・・・。


(最終ゲーム)

 カイジは、5千万円の小切手を提示します。そして、奇矯な行動に出ます。額で鏡を叩き割ったのです。カイジの顔は血だらけになります・・・・。利根川の腕時計に仕込まれたモニターが異常値を示します・・・・。カイジと利根川は対等になったのです。ですが、カイジは、乞食と市民カード1枚ずつに、血痕をつけてしまいます。


 1枚目、緊張の中、カードが開かれます。いずれも市民です。2枚目、カイジか切ったのは、血痕のついたカードでした。利根川に焦りが見られます。躊躇の末、利根川もカードを切ります。いずれも市民です。3枚目、緊張が高まる中、オープンされたカードは、いずれも市民でした。


 4枚目、カイジが切ったカードには血痕がついていました。利根川は乞食カードと思ったのですが、躊躇します。「限定じゃんけん」で、カイジは血のカードで、すり替えを行っていたのです。利根川は確信します。市民カードに血をつけ、奴隷カードの血痕をぬぐったと・・・・。確信した利根川は、見切ったと豪語し、皇帝カードを切ります・・・。


 間が取られます。カイジの顔に、次第に笑顔が浮かびます。開いたカードは奴隷でした。5億円を手に入れたのです。帝愛に損害を与えた利根川は、地下労働に送られます・・・・。


「エピローグ 人生逆転ゲーム」

 屋形船で、祝宴が行われています。客は、遠藤とカイジの二人だけです。紙バッグ5個には、各1億円が詰め込まれています。生ビールで乾杯します。カイジは、ビールの御代わりをします。さらに、うまいと言いながら飲みます・・・・。目が覚めたときには、遠藤はいません。一服盛られたのです。当然5億円はありません・・・・。


 封筒には、30万円ほどでしか入っていません。しかし、それと共に明細書が入っていました。借金とかけ金の立て替え金、それに1分30パーセントの利息が記されていました。それを差し引くと、30万ほどしか残らなかったのです(あくど過ぎます)。天海祐希さんが演じる遠藤が、高笑いしたことは言うまでもありません・・・・。


 パチンコ屋のシーンに移ります。女性店員に客からのものだという手紙が届いていました。カイジが、めがねのおっちゃんの遺志を尊重して、1千万円にははるかに届きませんが、今回の賭けの残金を送ったのです・・・・。


(蛇足) コミックでは、カイジは、Eカード勝負で敗れます。その賭けの中で、自分の左耳の鼓膜を賭け金としました。カイジは、鼓膜を失います・・・・。残ったのは借金だけでした。一方、映画は、後味のいいエンディングになっています。パート2では、「ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・」の効果音をもっと使ってほしいものです。


(補足) 写真は、"goo映画"から引用しました。


(追記) 藤原竜也さん主演の映画について書いたブログは、次のとおりです。

「パレード、その1、感想」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10576534287.html

「パレード、その2、ストーリー」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10576622456.html

「インシテミル、その1、感想」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10681873924.html

「インシテミル、その2、設定」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10682218166.html

「インシテミル、その3、ストーリー」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10682874193.html