第2689回「インシテミル、その3、7日間のデス・ゲーム、ストーリー」(本格推理映画) | 新稀少堂日記

第2689回「インシテミル、その3、7日間のデス・ゲーム、ストーリー」(本格推理映画)

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 第2689回は、「インシテミル、その3、7日間のデス・ゲーム、ストーリー」(本格推理映画)です。7日間と言うのは、実は誤りです。中央に位置するラウンジでは、残り時間が表示されていますが、7日目には、残り時間がゼロになります。そのため、実際の時間は、6日間±α時間となります・・・・・。


 ゲームのルールと10人のキャラクターにつきましては、"その2"に書いています。そちらを先に読んだ方が解りやすいと思います。http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10682218166.html   ただし、10人が相互に絡み合いますので、以下の文章では、随時、( )に俳優名を記すことにします。


(第1日)

 インディアン人形によるオリエンテーション(ルール説明など)に続き、10人は簡単な自己紹介をします。遊戯室には、本とか、探偵道具らしきものがあります。主婦の渕(片平なぎささん)は、読みたかったミステリを見つけ部屋に持ち帰ります。


 タイトルは、「闇に消える女 上巻」と見えたのですが、間違いかもしれません。私の知らないミステリですし、ネットで検索しましても、タイトルは微妙に異なります。ですが、重要な伏線となっています。アル中の安東(北大路欣也さん)は、酒が置かれていることを喜びますが、結城(藤原竜也さん)にたしなめられます。


 そして、鍵の掛からない個室に留まることが義務付けられている深夜(22時から6時)になります。全員が部屋に戻ります。廊下などの天井には、レールが敷かれています。深夜、ガード・ロボットが巡回しているのです。廊下にいる者に対しては、警告の上、ガード・ロボットがある行動に出ます。


 結城(藤原竜也さん)も、部屋に戻ります。部屋には、縦型のボックスがあります。カード・キーで開けると、メッセージと"火かき棒"が入っていました。メッセージには、「凶器"火かき棒" まだらの紐」と書かれています。当然、他の9人にも、凶器が支給されているはずです・・・・。そのおぞましさに脅えます。


 1日目が終わりました。そして、事件が起きます・・・・・。2日目以降につきましては、ネタバレとなります。


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(2日目)

 早朝、悲鳴が上がります。不愉快な発言を繰り返していた中年の西野(石井正則さん)が、廊下で射殺されていたのです。数発が撃ち込まれています。ガード・ロボットが、天井のレールを伝い、西野の遺体を運搬していきます。霊安室もあったのです。棺の数は10、メンバーの数だけあります。そして、アナウンスがあります。


 アナウンスが、探偵役を決め、事件を解決するようにと促します。ここで研修医の大迫(阿部力さん)が、場を取り仕切ります。でしゃばり男です。そして、合理的根拠もなく、岩井(武田真治さん)を犯人だと一方的に断罪します。「乱暴すぎる」と、抗議する結城(藤原竜也さん)を押し切り、多数決に持ち込みます。これもルールです。


 有罪4票、無罪3票、容疑者の岩井に投票権はありません。最後のひとりとなったのは、元OLの祥子(綾瀬はるかさん)です。緊迫した空気の中、祥子は、棄権します。4対3で岩井は、有罪です。ガード・ロボットは、強引に岩井を拘束し、拘禁室に連れ込み、ドアをロックします。


 深夜、渕(片平なぎささん)は、「闇に消える女 上巻」を読み終えます。下巻を取りに行こうとしたのでしょうか、個室を出ます。そんな渕の後を、ひとつの影が追います。そして、渕の後頭部を釘撃ち機で、撃ちぬきます。しかし、映画は、はっきりと犯人の顔を映し出しています。WEBデザイナーの美夜(石原さとみさん)です。「えっ」ていう展開です。


 一方、結城(藤原竜也さん)は、ボックスを再確認したところ、火かき棒のかわりに、拳銃が入っていました。まさか・・・。


(第3日) 

 廊下で、渕の死体が発見されます。再度、探偵ごっこが始ります。今回名乗りを上げたのは、大学生の真木(大野拓朗さん)です。彼は、祥子(綾瀬はるかさん)を渕(片平なぎささん)殺しの犯人だと指摘します。研修医の大迫(阿部力さん)が同調します。当然、恋人である若菜(平山あやさん)も同調するはずですが・・・・。


 ここまで、控えめであった元設計事務所の社長であった安東(北大路欣也さん)が口を出します。彼は、なぜこのアルバイトに参加したか・・・・。この実験は、初めてではなかったのです。彼の息子は、この実験で亡くなったのです。この実験で何が起ったのか、それを探ることが、アル中である彼の最後の生き甲斐でした。当然、死を覚悟しています。


 安東の話を聞き、一同愕然とします。2人が既に殺され、1人は殺人犯(?)として拘禁されています。そして、2人一組で、深夜巡回することを決めます。ガード・ロボットの動きには法則性があるのです。一方、大迫(阿部力さん)と若菜(平山あやさん)は、霊安室で深夜デートを楽しみます。


 10の棺のうち、2つの蓋は、既に閉ざされています。そんな中でのエッチです。趣味が悪すぎます。見回り当番をするため、若菜は、霊安室を出ます・・・・。彼女が去った後、大迫の頭上から、霊安室の天井が落ちてきたのです。大迫は、押し潰されます。


(第4日)

 物語は、一挙に展開します。大迫の死体が発見されます。大学生の真木(大野拓朗さん)の手には、廊下で拾ったというリモコンがありました。そのリモコンで、天井の操作などができるようです。これも武器でしょうか。疑われた真木は、自分の武器はボウガンであることを証明します。


 これまでにも、武器を見せ合えば、犯人が特定できるとの提案があったのですが、弱い武器の者はターゲットとなる可能性が高いため、採用されませんでした。真木の無実は立証されたように思えたのですが・・・・・。若菜が壊れたのです。自らの武器である斧で、真木を一撃します。そして、斧を自分の首筋に当て、一挙に頚動脈を切り裂きます・・・・。


 これで、生存者は5人になりました。ストーリーも、煮詰まってきました。画面は、東京の街並みに移ります。男女が見入るケータイには、このゲームの模様が映されていたのです。ゲームの生放送こそが、この実験の目的だったという展開です。生存者を整理しますと、


① 結城(藤原竜也さん)・・・・ビビリな常識家、武器は拳銃(元は火かき棒)。

② 祥子(綾瀬はるかさん)・・・・清楚な感じの元ОL、結城に接近?

③ 安東(北大路欣也さん)・・・・元建築士、息子をこのゲーム(実験)で失っています。

④ 関水美夜(石原さとみさん)・・・・子持ちのWEBデザイナー、渕(片平なぎささん)を釘撃ち機で殺すシーンを、映画はとらえていました。

⑤ 岩井(武田真治さん)・・・・自らを語らない正体不明の男、第1の殺人である西野(石井正則さん)殺しの容疑で、現在拘禁されています。


 そして、深夜、第6の殺人が起きます。結城が、美夜の部屋を訪れたのです。


(第5日) 

 4日目の深夜かもしれません。結城は、美夜と話し合います。美夜には、病気の子どもがいます、その莫大な治療費を稼ぐためにも・・・・・。美夜は、2番目の被害者である渕(片平なぎささん)を、釘撃ち機で殺したことを認めます。しかし、結城の体に異変が生じます。美夜は、渕から奪った"筋弛緩剤"を結城に投与していたのです。


 2人はもみ合います。いつしか、廊下に出ています。ガード・ロボットが巡回してきます。警告が発せられます。結城は、空き部屋に転がり込みます。そして、昏倒します・・・・。一方、釘撃ち機で、結城を仕留めようとした美夜は、ガード・ロボットの前で、立ちすくんでしまいます。ロボットは、美夜に向けて、数発の銃弾を撃ち込みます。ガード・ロボットには、銃が内蔵されていたのです。


 結城(藤原竜也さん)の目が覚めます。死んではいなかったのです。祥子に、第1の殺人の真相を語ります。西野(石井正則さん)は、挑発的でした。西野は、最初から死を望んでいました。そのために、意図的にメンバーたちと不和を装っていたのです。彼には、死者ボーナスが加算されています。リストラされ、金が必要だったようです。アナウンスが流れます。結城にも、真相を言い当てた加算ボーナスが与えられたのです。


 ここで、結城のヒューマニズムが炸裂します。自由に動ける生存者は、結城、祥子(綾瀬はるかさん)、安東(北大路欣也さん)の3人だけになりました。2人に向かって、あと2日、みんなで生き残ろうと提案します。死に場所を、"暗鬼館"に求めていた安東も、結城に同意します。結城は拳銃を、安東は拳銃を、ラウンジのテーブルの上に置きます。では、祥子は、・・・・。安東は、拳銃から銃弾を抜き出します。一見銃をもてあそんでいるようにも見えますが・・・・。


(第6日)

 平穏無事な一日です。時計は、残存時間を減らし続けます。一方、もうひとつの数値は、増え続けています。どうも、殺人ゲームのアクセス数らしいのです。殺人が起きるたびに、その数値は跳ね上がります・・・・。


(第7日、最終日)

 いよいよ、開放へのカウントダウンが始ります。そして、全ての謎が明かされます。くどいようですが、再度ネタバレとなることを申し添えておきます。御覧になっていない、ミステリ好きな好奇心旺盛な方は、是非とも劇場で見るべき作品です。


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 起きた結城(藤原竜也さん)は、ラウンジに行きます。しかし、テーブルの上には、置かれていたはずの拳銃とアイスピックがありません。廊下に出ますと、拘禁室のドアが開いています。岩井(武田真治さん)が、逃げ出したようです。


 拘禁室の中には、モニターが並んでいます。暗鬼館の全施設が映し出されています。岩井が、全てを仕組んでいたのでしょうか。少なくとも3番目に殺された研修医(阿部力さん)は、岩井がリモコンを使って実行したようです。それを第4の被害者・真木(大野拓朗さん)が拾い、惨劇を拡大したと・・・・。


 結城は、霊安室に向かいます。既に6人の遺体が収容されています。開いたままになっている棺のひとつに、安東(北大路欣也さん)が、横たえられています。口には血、心臓のあたりには、大きな血によるシミが付いています・・・・。


 このとき、結城は後ろから襲われます。逃げ出した結城を、岩井がアイスピックを持って追います。闘いは、ラウンジに移ります。残り時間は、どんどん減っていきます。結城と岩井がもみ合っていたとき、祥子(綾瀬はるかさん)が入ってきます。祥子の手には、拳銃が握られています。岩井は、挑発します。「撃てるものなら、撃ってみろ」


 女である祥子は、一瞬躊躇します。岩井は、その隙を見逃さず、銃を奪います。一挙に形成は逆転し、二人に向けて、銃を向けます。岩井に躊躇する理由などありません。引き金を引きます・・・・。銃は暴発し、破片は岩井を直撃します。タイムアウトです。


 二人は、出て行きます。生き残ったのは、祥子と結城だけでした。結城は、探偵ボーナスが加算され膨れ上がった1億2千万円の報酬を手に入れます。祥子には、アルバイト料を含め、報酬は支払われません。彼女は、財団(?)のスタッフだったのです。


 コンビニで結城に声をかけたのも、岩井を逃がしたのも、ゲームを盛りあげるためでした。拳銃に細工をしたのも、彼女かも知れません(ただ、安東の可能性も否定できません)。わざとガード・ロボットに撃たれた西野(石井正則さん)も、意図的にメンバーに入れたことが推測されます。すべて、ゲームがスムーズ(?)に進行するように、仕組まれていたのです。


 スタッフの祥子は、待機していたリムジンに乗り込み、去って行きます。金の入ったバッグを持ち、結城が歩き始めます。街まで、リムジンではなく、歩いて帰るつもりのようです。結城に声をかける者がいます。


 安東(北大路欣也さん)です。彼は、生き残るために、自らの死を演出したのです。唇の血をぬぐった安東は、結城と共に歩き始めます。結城は、バッグを投げ捨てます(もったいない!)。エンディング・ロールが流れ始めます。


 長い文章になりました。感想につきましては、回をあらためて書くつもりです。