第2269回「パレード その2、ストーリー、ネタバレ 行定勲監督」(青春ミステリ) | 新稀少堂日記

第2269回「パレード その2、ストーリー、ネタバレ 行定勲監督」(青春ミステリ)

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 第2269回は、「パレード その2、ストーリー、ネタバレ 行定勲監督」(青春ミステリ)です。前回書きました"その1"を読んでからの方が分りやすいと思います。http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10576534287.html


 映画は、アパートの一室から始まります。ヘリコプターのローター音が聞こえます(最後まで、何の意味か分りませんでした)。日はすでに上がっています。私大生・良介(小出恵介さん)が目を覚まします。先輩から電話が入ります。カップルで伊豆高原へ行かないかとの誘いです(伏線①)。良介は最近友人を失くしています。単車による事故死です・・・・・。

 

 このアパートの一室は、男女4人でシェアしています。良介と同じ程度にヒマなのが、無職の琴美(貫地谷しほりさん)です。やはり昼日中から、アパートにいます。良介は琴美に、友人の死とか、伊豆高原の話をします。そして、愛についても・・・・・。先輩の彼女に恋していたのです。


 夜になり、居住者4人がそろいます。映画配給会社に勤める直輝(藤原竜也さん)は、日課のジョギングをします。イラストレーターの未来(香里奈さん)は、マイペースです。良介は、先輩の彼女に告白することを決意するのですが・・・・・。実にあっさり成功したのです。彼女の家で一夜を過ごします。


 そして、映画は琴美のエピソードに移ります。琴美には気がかりがあります。隣室の居住者です。頻繁に客が訪れているのです。売春か、それとも新興宗教か、女子高生から政治家まで出入りしています(ミステリ①)。


 琴美の怠惰な日々の中、見知らぬ金髪男が部屋にいたのです。琴美は、他の3人の知り合いだと解釈し、朝食を振る舞います。4人がそろったとき、その男の話が出ますが、誰も知りません。みんな他の人の友人だと思っていたのです・・・・・(ミステリ②)。男の名前はサトル(林遣都さん)、そのまま部屋の住人となります。


 琴美の携帯に連絡が入ります。恋人からです。ホテルの一室で待ち合わせます。真昼の情事にふけります。彼は、ムービー・スターの卵だったのです。そこそこ顔も売れています。フォーカスされれば、スキャンダルになりかねません。二人とも、福岡なまりがあります・・・・。


 映画は、未来のエピソードに移ります。最近、アパートの近辺で通り魔事件が発生しています(ミステリ③)。警察から注意を呼びかけるチラシが入っています。ここでサトルをアパートに入れた犯人が分ります。未来です。2丁目のバーで泥酔した未来が、無理矢理アパートまで連れてきたのです(ミステリ②の答はあっさり分りました)。


 ここで、未来とサトルのエピソードが語られます。未来は、サトルが2丁目の公園で、客待ちしている光景を目撃したのです。二人は、サトルの案内で、深夜の遊園地に行きます。サトルは、夏場は遊園地で夜を過ごしていたことを話します。ですが、決して家出だとは認めません。


 逆に、サトルは未来が秘密にしているビデオを見つけます。そこには、レイプ映像が数多く録画されていました。サトルは、未来の心の闇を察します。ドラマを上書き録画します。未来が烈火のごとく怒ります。直輝にサトルを追い出せと・・・・。泥酔癖がある未来とサトルは、喫煙を通じて、ある程度理解しあえていたのですが・・・・。


 そして、映画は最終エピソードに移ります。最後まで書きますので、以下ネタバレとなります。


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 隣の部屋の謎が解明されます(ミステリ①)。エレベーターに乗った時、良介が乗り合わせた隣人に声をかけたのです。全て分っていると、かまをかけたのです。3万円というのを2万円に値切ります。良介はわくわくしながら、予約した時間に行きます・・・・・。受付で名前を書かされますが、ルームメイトの直輝の名前を使います・・・・。


 実は、占いの館だったのです。そのため、政治家も女子高生も来ていたのです。某総理も、妻の影響で政策決定に当たり、占いに依存していたようです。ここに来た政治家も占いが目的だったようです。当然、4人は愕然とします。しかし、占い師は、直輝ではないことを見抜いていました。


 直輝は、サトルを尾行します。サトルは、見知らぬ女性が出てきたアパートに侵入します。簡単にピッキングで錠を開けたのです。直輝は、窓越しにサトルの行動を監視します。サトルは、ズボンをずりさげ、×ナニーをします・・・・。林遣都さんは、未来のモデルとして全裸になったり、男娼を演じたりと、体当たり演技をしています。金髪頭で度肝を抜かれたのですが、凄い演技です。


 直輝は、サトルをアルバイトとして、会社に連れて行きます。サトルは、携帯でしゃべる直輝の英語力に感銘を受けます・・・・・。その間も、直輝の日課は続けられています。アパートに帰ってからのジョギングです。今晩もジョギングは欠かしません。ですが、雨が降り始めます。


 架線下では、少年たちがダンスの練習をしています。さらに走ると、傘をさした女性が歩いてきます。直輝はスパナを取り出し、何度も何度も女性を殴打します。通り魔の犯人は、夜毎ジョギングを日課とした直輝だったのです。ですが、今回は目撃者がいたのです。


 サトルです。サトルは直輝を自動車に連れ込みます。「誰もみていないさ」、ですが、直輝は警察に突き出せといいます。もはや、みんなとは一緒には住めないとも言います。ですが、サトルは意外な答をします。「みんなとは、事件について、はっきりした話はしたことがない。だけど、(直輝が犯人だとは)みんな分っていると思うよ」(要旨)


 二人はアパートに帰ります。直輝以外の4人が、ソファに座って話し合っているとき、直輝は泣きじゃくり始めます。良介、未来、琴美は伊豆高原行きの話をします(伏線①)。そして、直輝にも「行こうよ」と呼びかけます。カメラは、ソファに座る4人を写しています。全員、カメラ(直輝)を見つめます。


 そして、カメラは窓越しのアングルに変わります。4人の後頭部が写されます。4人の視線の先には直輝が映し出されます・・・・・。画面は暗転し、エンディング・タイトルが流れ始めます。


 行定勲監督の息抜き的な小品ともいうべき作品です。ですが、旬の俳優5人を使うという贅沢さも併せ持っています。一方、優れたミステリ作品に仕上がっています。ラスト、全ての伏線・謎が一点に収斂していきます。


(お礼) 冒頭、ヘリコプターのローター音の意味が分らないと書きました。「地獄の黙示録」の冒頭をイメージしたというのが正直な感想でした。ですが、後の展開を考えれば、"あみる"さんの御指摘のとおり、マスコミの取材ヘリコプターだったと思います。疑念が解けました、ありがとうございました。