2012-02-19 11:38:24

95歳女性

テーマ:患者さん

ほい。整形外科医としてもう9年、もういいかげんぺーぺーとは呼べないryuuta19です。


僕が1年目のころ、90代の患者さんは少なかったように思うのだけど、昨今はふつーに外来に来るし入院もしてくる。

まあ僕が住んでいるのがド田舎だ、ということもあるんでしょうが…


95歳の貞子さん(仮名)。
夜間せん妄がひどくて、ナースの腕にかみついちゃった。

ナースさんのむちむちした前腕にできた咬創を粛々と消毒&洗浄する僕。


僕「元気だねえ貞子さん」




ナースさんの顔はいつか東京博物館で見た般若のようになっておりました。おおこわ。


整形外科医の独り言


貞子さんはその後睡眠薬飲んでも寝ず、オールされたようで。精神科の先生の処方でようやく寝るようになったそうな。ただし昼間にも寝すぎてリハビリが進まないというワナが…


高齢者と夜間せん妄はきってもきれない関係ですな。
ちなみに夜間せん妄中は本人まったく覚えていないことが多いみたいですが。


ナース「(怒)効く睡眠薬だしてくださいよ先生…夜困るのはあたしたちなんですから」

僕「はい(泣)」
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2009-08-24 18:49:49

ヒアルロン酸・・・

テーマ:患者さん

今日もバリバリ患者さんを診る。

午前中だけで30人前後患者さんを診るのだけど、結構大変。

だって30人抜き一番勝負!みたいなもんです。


医療は頭脳の格闘技みたいなもの。

神経を使う。言葉とかも選びながら。




膝痛の患者さんは僕と同じようにふっくら?した方が多い。

まあしょうがないですよねーがんばりましょーと声をかけながらヒアルロン酸の注射をする。






で、いつもだいたい一回は聞かれる質問。


患者さん:「先生、あのテレビでよくやっている●●●●●っていうお薬は膝に効くんですか・・・」


僕:●●●●●。ああ、あの○バーライ○とかの。(またその質問なのね)


患者さん:「あれテレビで見ているとすごく効きそうなんですけどねー」


僕:

あーそーですかー。

いやまああの買って飲んでも別にいいんじゃないかと思いますけどね。


あのですね。

●●●●●って、健康補助食品なんですよ。ビタミンとかと同じ。

逆に言えば、健康補助食品どまりなんですよ。


●●●●●がすごおく膝痛に効くのであれば、厚生労働省が「おくすり」として認めて、保険がきくようにしてくれるんじゃないですかね。

僕もそれならガンガン処方しますよ。だけど健康補助食品なんです。

つまりはそれぐらいの効果と国が考えているんじゃないでしょうか。


それと、CMというのは買わせるために作ってますから、そりゃ効果があるようにみえますし、買いたい気持ちになるのはわかります。だけど、自分でよく考えてから買うなり、使うなりしてください。




・・・といつも説明してしまう僕。冷たいかなあ。


いやまあ「病は気から」だからお値段が結構するヒアルロン酸含有の健康食品飲んで、

「きいたー」と思いこむのは必要かもしれませんが。


僕は一応お医者さんなんで、そう説明せざるを得ないのです。


2008-10-21 18:47:50

おでん

テーマ:患者さん

87歳女性。認知症あり。

Sさん(仮名)はこけて足のつけねの骨が折れ、入院した。

家族は甥がひとりだけ。

なんとか介護保険で暮らしていた。



けっこうしゃきっとしているかと思えば、全然会話にならないこともある。

それが認知症の症状だとは僕もナースも知っている。


僕はその日結構暇だったので、うろうろ病棟を歩いていた。

たまたま車いすに座ったSさんに急に話しかけられた。


Sさん「先生、わたしね、おでん屋やってたの、10年前まで」

僕「???そうなんですか」

Sさん「医学部の学生さんたち、いっぱいきてたのよ。○○先生って知ってる?」

僕「あーえーとわかりませんねーどこらへんでおでん屋さん開いてたんですか?」

Sさん「▽▼町のあたりよ。医学部に近いからね、よく来ていたのよ、ほんとに」

僕「あーそーなんですかー」


そこから昔話。

○●教授が学生の頃飲みすぎて、私がカイホウしてあげたの。

貧乏な学生さんにはおまけを必ずしてあげていたの。

旦那が早く死んじゃって、おでん屋ぐらいしかできなかったの。

ここの内科のA先生は息子みたいなものなの。



「先生もまたいらしてね、良かったら」

「わかりました、行きましょう。だからはやく足を治さないといけませんね」


先生約束よ、とSさんはニコニコと笑っていた。



Sさんのおでん屋さんには残念ながら行ったことがない。

だけど、その笑顔を見ていたら、

約束よ、とおでん屋やっている時も言っていたんだろなあと思ったのでした。



2008-10-01 17:50:34

救急車に同乗。

テーマ:患者さん

首の骨が脱臼してしまった患者さんを、救急車で大学病院へ運ぶ。




僕が勤めている病院は、脊椎専門の先生がいない。

まあある程度までは診断・治療はできるけど、この患者さんはちょっと大学病院の方がいいかな、

ということで搬送の運びとなった。



僕は主治医ではなくてよくわからなかったけど、搬送は下っ端のお仕事・・・

「とりあえずついていけ」という上司の命令でついていった。


脱臼したままなので、首を動かすと首はぐらぐらになる。

首の骨のすぐ近くを脊髄(神経の通り道)が通っているので、この脊髄もぐらぐらになる。

そうするとひじょーーーに繊細な部分なので脊髄が壊れるんです・・・


僕の役割はおおげさに言えば、この患者さんの脊髄を守ること。


えー丁寧に搬送しました。

救急車も30Km/h程度に抑えてもらって。

極力衝撃を与えないように、そうっと患者さん運びました。

だけど救急車って揺れるんです。機材がいっぱいのってるし。


一番緊張したのは救急車の運ちゃんでしょう・・・

ありがとうございました。



で。

大学病院につき、引き継ぎをし、そして患者さん本人と患者さんの家族に挨拶して。



どうやって僕の勤めている病院にもどるのか。




救急車が病院まで送ってくれると思います???

あまーい。

救急車は医者を運ぶんじゃなくてー患者を運ぶためにあるのでー

搬送帰りの医者を送るのはダメみたい。

昔はOKだった???らしい。


しょうがないから、タクシーで帰りました。

5000円もかかっちった・・・事務のおばちゃんに請求だあ・・・


2008-04-08 23:13:02

多発外傷

テーマ:患者さん

あちこち骨が折れている人を一括して「多発外傷」という。


交通事故か、転落事故、もしくは飛び降りとか、high energyな外力を受けた患者さんが大半だ。


大きな病院でしか管理できない。僕が勤めている病院は結構大きな病院でICU(集中治療室)もあるので、自然といろんな地域から多発外傷の患者さんがあつまってくる。


で、そんなこんなで今6人ぐらい多発外傷の患者さんを受け持っている。なんかもう大変だ。

その中のひとり。もちろん特定できないようにいろいろフィクションを交えてますが、ある程度ほんとのこと。






酔っ払い運転して電柱に激突して受傷 39歳男性



もう受傷機転(どのように怪我したか、という用語です)からやる気をなくしてしまう。

救急部からのcallを僕はしぶしぶ受ける。多発外傷だ。

しかも夜中の3時。火曜日だよ平日だよー明日仕事じゃないの?と思ってしまう。



患者さんはイタイイタイとうめいていた。うめくのも無理はない。

全部で・・・小さい骨折を含めると全部で7か所も骨折がある。かなり社会復帰は遅れるだろうな、なんて思ってしまう。

しかも酔っているのがタチが悪い。全然礼儀正しくない。そもそも酔っ払いに礼儀を求めることがおかしいのかもしれないけど。けど僕のやる気をそぐには十分だ。


とりあえず両親に連絡しいろいろ処置をし、気づけば8時半・・・朝の。

そのまま通常業務へ・・・つらいけど今の医療体制じゃー文句言ったってしょうがない。

やることをやって夕方、患者さんを見に行った。





「先生」

「はい?」

「お金はどうなるんですかね」

「はい???よく知らんので事務にきいてきましょう」


事務のおねーちゃんの話によると、交通事故なら通常出るはずの自賠責とかが酔っぱらい運転だと出ないらしい。しかも保険や簡保とかJAとか、今までコツコツかけていた保険も出ないらしい・・・酔っぱらい運転なら仕方ないかな。

ただ日本という国はやさしいから、健康保険だけは使える。一応3割負担でいいらしい。酔っ払い運転なら10割でもいいんじゃないの?と僕は思っていた。


「かくかくしかじかで、3割負担らしいですよ」

「そっすか」

そのまま横を向いてしまう患者さん。






「実は」

3秒ぐらいためて言った。





「子供が生まれるんすよ」





・・・まじっすか。



うん、もうこの際酔っ払い運転どうこうはいいや。それはもう警察とかにまかせよう。

僕ができることは、この人治すだけ。

できるだけ低価格で、できるだけいい足と手にしましょ。

せめてお父さんが生まれてくる子供、だっこできるぐらいに。

と俄然やる気がでてきた。




長い道のりになるかもしれませんけど、頑張りましょうね。

やるしかないでしょ。父親になるんだから。やっちまったもんはもう治すしかありませんから。

がんばりましょ。


と言うほかなかった。がんばりましょ。僕も無い知恵振り絞ってみます。

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