6/26カール・ハイン&ジョン・ボーンレクチャー終了しました。どうもありがとうございました。

ハインシュタインシャフルで有名なカール・ハインとプロのメンタリストとして活躍するジョン・ボーンのお2人を招いてのショー&レクチャーを行いました。
お2人とも背が高く、お店に入ってきただけでも圧倒されますが、内面の優しさがにじみ出ているような雰囲気で和やかに始まりました。
以下、記憶のみで書きましたので、正確かどうかは定かではありませんがご了承ください。

1.カール・ハインによるカードマジック2種
 デックを広げて表向きに1枚カードを選んでもらい、サインをします。4つにやぶきますが、それが一瞬で復活します。やり方そのものは昔からあるフレッド・カップスやファーザー・シープリアンなどが行っていたノスタルジックトーン&レストアドカードですが、セッティングする際にある文房具を使う点が違っています。また復活方法を状況に応じて3種類に使い分けているところが素晴らしいと思います。囲まれてもクロースアップでもサロンでも演じられる素晴らしい演目でしょう。2つ目はデックケースのベロの部分に書かれた予言です。オープンプリディクションのように最初にあなたはジョーカーを選ぶ、と書かれていることを見せます。裏向きのデックから1枚選んでもらいますが、それはジョーカーではありません。外れたと思いきや予言が変化しています。さらにはどんでん返しがあります。今回唯一の売りネタですが、大変実用的だと思いました。セットもリセットも簡単です。またこの作品だけでもお客は充分に満足するほどの手順構成となっています。

2.ジョン・ボーンによるコイン技法
 この方はかなりの読書家だと思います。ご自身でも著書を出版し、今回の来日では本が売り切れになってしまいました。ボボのモダンコインマジックについて述べ、そこに記載されているバックサムパームについてのお話です。あまり使い道のない技法と思われますが、近年は見直されています。デビット・ストーンよりも自然な形で出現させていました。ダウンズパームの進化形であるバランスパームという技法を使います。彼のオリジナル技法のようで、そこからの進化は裏から見るほうが驚きます。またバリエーションとしてはコインチェンジやスペルバンド現象などを行っていました。

3.カール・ハインによるカードマジック数種と技法
 トランスフォームトライアンフ、彼の名を一躍有名にしたハインシュタインシャッフルが用いられるスタンディングのトライアンフ現象です。やはり本物はすごいと思いました。何がすごいってそのあまりにもさりげない動作でしょう。他の人がやる場合はどうしてもこれみよがしになってしまいますが、それが全くないのです。肩の力が抜けているのでしょう。また現象の見せ方が一つ一つ丁寧で、マニアック過ぎる現象が一般にも通じるように昇華されています。
 マジックスクエアという作品では一見ハイテクニックのように見せながら、じつはとても簡単に演じられるのがギャップがあり、面白いと思いました。マジックスクエアとは日本語で魔法陣です。カードで魔法陣を配りながら作ってゆくのです。最低限のフォースシャッフルとフォールスカットができれば充分演じられます。
 カードアンダーザボックスはもはやカード現象の定番とも言えるでしょう。しかし彼の場合は知っている人でも引っ掛けるだけの奥深くまで考え抜いた手順構成になっています。この手順の優れた部分としては、デックチェンジも兼ねているところでしょう。この手順だけでも価値があります。

4.ジョン・ボーンのメンタルマジック
 お客に財布を持たせておきます。予言です。観客の一人に赤と黒、好きな方を選ばせます。そして次の人を指定してもらいます。術者はデックを持ち、カードマジックであることを示します。指定された人はその色の好きなスートを言います。そしてまた次の人を指定してもらいます。指定された人はAからKまで好きな数字を言います。最終的に1枚のカードが選ばれたわけです。術者はデックの表を広げて、指定されたカードを出します。この場合はハートの7でした。そして他の3枚の7も取り出しました。いよいよ予言です。財布を開けてもらうと予想に反してカードはありません。財布ですからお札が入っているだけです。すると術者はデックを裏向きにして、カードの裏に金額が書かれていることを示します。もちろん全部違う金額です。これはお客に渡して確かめさせます。ハートの7の裏に書かれている金額と財布の中身が一致します。なんと素晴らしい現象でしょう。この作品だけでもボーン師の非凡さが分かるのではないでしょうか。技巧的には決して難しくはありませんが、メンタリストだけあって大変心理学的に錯覚を生み出すように構成されています。現に当店のマジシャンは解説を聞いても引っかかっていました。

5.カール・ハインのお札マジック
 5枚の白紙が5枚の千円札になるという大変ポピュラーなマジックです。原案はパトリック・ペイジで、日本ではフレッド・カップスのやり方が有名でしょう。ペイジの原案をグレゴリー・ウィルソンとともに改案したとのことです。ただこの作品に関しては取り立てて優れているとも言えず、やっぱりカップス式の方が良いと思いました。が、その瞬間5枚の千円札が無数に増えているのです。背後から見ている私の目の前で魔法のように増加してゆきました。ただただびっくりです。油断してました。すごいですね。またこの技法を用いて全く違う現象にしてしまうことにも驚きました。バンクナイト現象です。知っているはずのマジックでもアレンジ次第では新しくなる、というお手本でしょう。

6.ジョン・ボーンのコインマジック手順
 彼は2006年IBMの大会で勝っている人です。その際にはコイン手順が評価されたとのことです。自前のマットを持ってきて膝の上におきました。小さなマットではなく私も使っていますが、半円形のかなり大きめのマットです。そこで繰り広げられたコイン手順は魔法のようでした。かつてジョン・ケネディによって一世を風靡したマーク・レフラーのトランスロケーションをアレンジしています。4枚の銅貨、イングリッシュペニーをあやつります。動きも手つきも本当に美しく、魔法を感じます。さらにはシャドーコイン、そして最終的には4枚の銅貨が、手をかざすだけで次々と銀貨に変化してゆきます。そうです。ハーフダラーになっていたのです。ため息しか出ない素敵な現象でした。解説されましたが、安易に演じることができない芸術作品だと思いました。

7.カール・ハインのルービックキューブとカード手順
 もうこの時点で2時間が過ぎ、時間がありません。解説はなしにして演技のみ行っていただきました。日本でもルービックキューブが一瞬にそろうという演目がポピュラーですが、彼の場合は独特です。普通は単に早業で、行うものですが、彼の場合にはタイムトラベルという手品独特のストーリーで興味を惹きつけます。2つのキューブを使いますが、ここでもいつの間にか現象が行われ、全く気がつきませんでした。ミスディレクションが巧みです。
 そして最後にお客から普通のデックを借ります。当然52枚です。ここで行われた現象は言葉に表せません。ノーマルデックなのにもかかわらず、観客がよく切ったはずなのに最終的には全部揃ってしまうのです。驚愕の現象でした。

2時間30分、あっという間でした。むしろ時間が足りませんでした。2人を見て思うのは、とても自然体だったということでしょうか。日本ではキャラクターを重視する傾向にあり、見た目やギャグに囚われますが、そういうことは全くありませんでした。不思議さを特に強調することなく、不思議な世界に引きずり込む、また笑いも強要するのではなく、自然発生的に出てくるものばかりでした。ですから長い時間であったのにも関わらず疲れることがありませんでした。
また2人とも基本技法が半端なく身体に染み込んでいます。日本のマジシャンにかけている部分を目の当たりにしてしまいました。今後はこうした部分が日本でも浸透することこそ、クロースアップの底上げになるのではないでしょうか。どうしてそういう基本や基礎を身につけたのか、伺ってみたら、やはり本でした。本をたくさん読む、それがとても重要であることを再確認した次第です。

懇親会となりましたが、そこでは、ボーナストラックがありました。当店の常連様が偶然、いらしたのです。しかもその方はアメリカ人です。そこで、お2人に無理を承知で演技をしていただけないか頼んだところ、快諾してくれました。プロのマジシャンが一般人に見せているところを見れる、というのはとてつもない収穫になります。しかも英語が通じる相手ですから、流れが止まることがありません。レクチャーで学んだ内容が実際に一般人相手にとてつもない威力を発揮することを目の当たりにさせたもらったのです。

皆様長時間のレクチャーをお付き合いくださり誠にありがとうございました。これからも応援のほど宜しくお願い致します。また今回のレクチャーを行うにあたり、紹介くださった手品屋の将魔さん、通訳兼アテンドの碓氷さんにも御礼申し上げます。

 

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