2008年05月22日

観劇日記~ル・テアトル銀座5月

テーマ:演劇の目

またこんなに早く美輪明宏 さん「一代の芸」とも云える「黒蜥蜴 」が観られるなんて。。。

東京銀座のル・テアトル銀座 。昔者なら銀座セゾン劇場といったほうが通りやすい劇場で、
3年ぶりに美輪明宏さんの「黒蜥蜴」が上演されています。

1993年(平成5年)4月の23年ぶりの再演から、数年おきに再演され続けられているこの舞台を、
僕は前回公演の2005年(平成17年)4月も観ているのですが、何度観ても飽きない素晴らしさです。

その前回公演のときの記事 で、、、

 芸術というものには2種類ありますよね。

 ひとつは「絵画」のように半永久的に後世に残るもの。
 もうひとつは「演劇」のようにその瞬間でしか残れないもの。

 どちらが好いのか分かりませんけど、
 「絵画」はその時代で認められなくても、後世で認められることはありますが、
 「演劇」はその時代で認められなければ、後世で認められることは先ずないでしょう。


と綴らせて頂いたのですが、この「黒蜥蜴」はまさにその時代で認められた演劇であり、
後世、美輪明宏さん以外では上演が不可能な、あるいは上演したとしても、
決して美輪明宏さんの舞台に勝ることの出来ない演劇になるのでしょう。

ですので「一代の芸」なのです。
この美輪明宏さんの「黒蜥蜴」を観られる時代に生まれたことを感謝して止みません。。。

さて、この「黒蜥蜴」というお芝居。

緑川夫人実は黒蜥蜴という女賊 と明智小五郎の物語ですので、
もちろん原作は江戸川乱歩 で、1934年(昭和9年)に発表されたもの。

それを三島由紀夫 が戯曲化して発表したのが1961年(昭和36年)で、
美輪明宏主演による初演は1968年(昭和43年)4月となります。

 第1幕 大阪中之島Kホテル 早春
  第1場~第6場 岩瀬父娘の宿泊するホテルの522号室と隣室524号室

 第2幕 東京・春、前幕の半月後
  第1場 東京・渋谷にある岩瀬邸台所
  第2場 黒蜥蜴の隠れ家/明智小五郎の事務所

 第3幕 東京・前幕の翌々日
  第1場 東京タワー展望台
  第2場 芝浦近傍の橋のたもと
  第3場 怪船の船内
  第4場 S港の廃工場
  第5場 恐怖美術館

こちらが「黒蜥蜴」の舞台割りになるのですが、、、

すこしネタバレになります
第2幕2場の黒蜥蜴と明智小五郎の歌舞伎のような割り科白 といい、
第3幕1場の東京タワー展望台の舞台装置といい、
ここから畳み込むように舞台が展開していく、第3幕2場の芝浦近傍の橋のたもとにおける演出といい、
第3幕4場の客席通路を花道のように使う手法といい、どこか劇画的な雰囲気を醸し出す、
極彩色ではない、大きな牡丹の花でも見るような、つよく脳裏に残る世界が展開されます。

その終末にある恐怖美術館という乱歩的な世界が、まったく異質なものに感じられない、
豪華で異色な世界が、気づかないうちに徐々に積み上げられていくのです。。。

あっ、そうそう。

美輪明宏さんの「黒蜥蜴」といえば、舞台版の初演もあった1968年(昭和43年)に、
深作欣二 監督によって戯曲に沿った映画化もされています。

これがね、素晴らしいんです。

かつてVIDEO化はされたらしいのですが、それも現在では入手困難で、
またDVD化の予定も無いという、奇跡的な映像があります。

恐怖美術館に置かれている日本青年の生人形の役というチョイ役で、
三島由紀夫自身が出演しているのでも有名な映画です。

僕もこの映画を観たことがあるのですが、美輪明宏さんの美しさといったらありませんよ!

僕の記憶が誤っていなければ、1990年代初頭にはニューヨークやパリなどでも上映され、
現地ではちょっとした「黒蜥蜴」「美輪明宏」旋風が起きたそうです。。。

この映画のテーマ曲として、美輪明宏さんの歌う「黒蜥蜴の唄」というのがあるのですが、
着うたフルで採れるサイトを見つけたので、しばらく着うたにしていたのですが、
鳴り出すとすこし怖かったので止めました(笑)。

そういえば舞台版の第3幕3場の怪船の船内の幕開けに、
この「黒蜥蜴の唄」のインストゥルメンタルが物悲しく流れています。。。

極彩色ではない白昼夢。

乱歩の世界と云うに止まらない、美輪明宏さんの黒蜥蜴の世界は、
是非観ておかねばなりませんよと、声を大にして色んな人に伝えたいものです。



今回のトップ画像は今回の公演のパンフレットなのですが、
こちらは前回の公演(2005年)のときのパンフレットです。

前回公演のときのパンフレットのほうが、この女賊が黒蜥蜴と云われる由縁が解りやすいですね。
その解りやすいという、左の二の腕にある黒蜥蜴の刺青ですが・・・。



劇場限定版タトゥーシールとして売っているんですよね。
買っても僕が二の腕に貼る機会はないのですが、いつもいつも、ついつい買ってしまう代物です。。。

東京銀座のル・テアトル銀座での公演は6月1日(日)まで。
そのあと長野、愛知、仙台、新潟、大阪、広島、福岡と6月末まで地方公演が予定されています。

<この記事の関連記事>
2005年4月21日付「観劇日記~ル・テアトル銀座4月 」も併せてお読みください。

読んだらここをクリックしてね

コメントComments

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1 ■黒蜥蜴

龍の目様、こんばんは。
美輪さんの「黒蜥蜴」ご覧になったのですね。
ほんとうに素晴らしい!と思いました。
上京したかいがありました。

2 ■Re : まいぺーす日和kara-kara雑記帳のそると賛江

こんばんは、そるとさん☆
すべてにおいて行き届いた舞台というのは、
まさにこの舞台のことなんでしょうね。
舞台は生ものですから、多少の粗があるのは当たり前と思っていましたけど、
黒蜥蜴を観てしまうと、真摯な芸というものを感じます。

3 ■黒蜥蜴わたしも観ました!

こんばんわ。解説が詳細で、とってもわかりやすかったです。
同じものを観ても、表し方って人によってだいぶ差があるんですね。わたしも精進しないとなぁと思いました。(*^▽^*)
パンフレットは、わたしも2005年版の方が好みです。

4 ■Re : みらい賛江

こんばんは、みらいさん☆
解説とは至らない、思い出した記憶の羅列ばかりで、お褒め頂くと恥ずかしい限りです。
舞台というのは生身のエンターテイメントですから、いろんな感じ方があるんだなと、
いろんな方がブログで書かれた記事を拝読しては、ほぉと僕も思わされました。
次回は戯曲と原作を何度も読み直してから、観劇に臨みたいと思っています。

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  • 記事タイトル:偏在する乱歩・Y→「黒蜥蜴」(主演:美輪明宏/企画製作:パルコ)
  • 記事概要:「黒蜥蜴」(主演:美輪明宏/企画製作:パルコ) ■日時:2008年5月23日(金) ■劇場:ル テアトル銀座 ■原作:江戸川乱歩 ■脚本:三島由紀夫 ■演出・美術・音楽・衣装:美輪明宏 ■主演:美輪明宏、高嶋政宏、木村彰吾、他 江戸川乱歩についてこだわって書