インターネットの台頭から、eDMをはじめとするオンライン系の
コミュニケーションの台頭などで、消費者が宣伝広告に接する
コンタクトポイントが多くなった現在に、改めて、ダイレクトメール
をいかに有効活用するのかを私なりに考察してみるよい機会と
考えた
DMには、
‐1人1人に直接届けられること、
‐カタログやレターなどの印刷物として届けられること
‐手元に現物が残るパッケージとして届けられること
‐行動を促すためのレスポンスツールを入れられること
‐セグメントしたターゲットに届けることができる
One to Oneのパーソナルメディアであることなどの特性
がある。
では、DMがなぜ今「効く」メディアとして注目されるのか。
近年、身の周りには企業からの広告メッセージが溢れて
おり、なかなか読んでもらえないのが現状である。
モノが溢れ、個性化やこだわりの時代と言われるように、
消費者は自分が好きなものや必要なものしか購入しなく
なった。
また一方で、Webの時代の情報選択の主導権は消費者が
握っているばかりか、その意志決定のプロセスは多様化、
複雑化している。
こうした中で、情報やメッセージを必要な人に的確に届ける
ことができれば、「これなら欲しい!」と思わせるリアルな説得
ができる。
これをバックアップするのがDMであり、そのコミュニケーショ
ン力がゆえに、いま再びDMが注目されているのである。
DMが持つコミュニケーション力とは、
1つは「モノ」が届くこと、すなわちインパクト。
2つ目は、現物を手にすることによる安心感とレターなどでの
丁寧さやクオリティ感を表現できること。
そして3つ目は、パーソナライズの技術の進展もあいまって、
最適性やストーリー性の高いメッセージをOne to Oneで訴求
できること。
DMは、心を揺さぶるような、"あなただけ"のドラマティックな
世界を演出することで共感を得ることができるのだ。
"DMをどこで投入すると良いか"は、顧客獲得と顧客維持の
2つの場面で考えることができる。
前者ではまず、見込み客の発見を目的に潜在客と対話するた
めのものがあり、次のステップでは、Web広告やレスポンス広告
により資料請求した見込み客に深い理解を促すためのカタログや
サンプルの送付。
来店客に対してはニュースやユーザーの体験情報を載せた情報
誌を発信して購買の意志決定を促す。
後者では、再購入促進や顧客ロイヤルティ向上を図るDMとして、
購入顧客に対する新製品情報の発信のほか、定期的なニューズ
レターやロイヤルティを確認するためのアンケートの送付などが
ある。
ネット時代の消費者行動を捉える
ネット時代に突入し、DMの企画者側が意識しておかなければいけ
ないことに、ネット時代の消費者の購買プロセス「AISASモデル」が
ある。
これは、商品に気付き(Attention)、興味を持ったら(Interest)、ネッ
トで調べて(Search)、気に入ったら購入し(Action)、ネットに感想
などを書き込んで他の人と意見を共有する(Share)というもので、
ネットの活用により、消費者はそれぞれ独自のプロセスを経て意
志決定する。
ターゲットの中には、比較サイトやバナー広告を通じて、気軽に
資料請求する反面、購入後の企業からのアプローチを疎ましいと
感じる人も少なくない。
そのような人たちにDMを投下する意義の1つは、送り手側の意向に
引き込むことができるということだ。2つ目は、コミュニケーションの
深度をさらに高めて、心理を変えていくことにある。
そして3つ目は、相互に信頼を得る関係作りができることにある。
表示画面を通した関係性が希薄でドライな世界では、信頼構築
は容易ではないことが多いが、DMを投下することで、企業の顔が
見え、信頼感を高めるリアリティがあるコミュニケーションをもたら
すことができるのである。
事例紹介――DMの6つのエッセンス
DMだからできるコミュニケーションには、大きく6つあると考えて
いる。
1)読み手が気付かない視点を提示して知ってもらうこと
2)家族や周囲の人と意見を共有するきっかけになること
3)1人1人にきめ細かな語り掛けができること
4)モノを手にして話題にしてもらうこと
5)ファンになってもらうこと
6)心の扉をそっと開けて、その後はつかんで離さないこと
以上がDMの企画では押さえておきたいエッセンスである。
上記の1)の事例には、B to BでのPC購買促進のDMがある。
価格が購入の決め手になりがちなPCおよび周辺機器だが、
ターゲットのポテンシャルの高低でDMを分け、彼らがまだ
気付いていない視点を提示して製品の優位性を知ってもらう
ことを狙いとして、複数回にわたり継続的なコミュニケーシ
ョンを図った。
ポテンシャルが高い層には、確実な開封を促す箱型のDM
とした。
中でも、購買担当者へ直接情報を届けるための情報誌では
、開発秘話や生産過程の情報、エコロジーへの取り組みな
どを丁寧に紹介することにより、品質や信頼性、企業の意気
込みを伝えることに努めた。
B to Bの場合には、導入に至るまでにさまざまな意思決定者が
介在するため、情報誌とすることで、それらの意思決定者にこ
の企業の姿勢を理解してもらうことが可能となる。
2)の事例としては、モデルルームへの来場促進を目的とした
不動産会社のDMがある。
Webで物件検索をするなど、マンション購入をまだ漠然としか考
えていない消費者に対して、会員組織への入会を促すウェル
カムDMを企画し届けた。
同封のブローシャーでは物件が具体的に分かるように写真集
仕様にするとともに、家族間での話し合いの契機となるように、
暮らしをイメージする工夫や行動を喚起するギミックをふんだ
んに盛り込んだのである。
その結果、モデルルームへの来場者アップが実現。住宅購入
のように検討が長期間に及ぶ場合には、要所要所で消費者の
中にリアリティ感を高めるDMの投入が必要である。
また、一生に一度に近いことなので、家族や周囲の人たちを
巻き込んで真剣に考えてもらったり、具体的に行動させたり
する作りなどで、ついつい購入に気が向いてしまうように仕掛
けることが大切なのである。
6)の事例としては、(社)シャンティ国際ボランティア会の
『ボロボロ絵本で3度びっくり!』DM to Webキャンペーン」の
B to B のDMがある。
絵本を手にしたことがないアジアの子どもたちに、日本の絵
本に現地語による訳文を貼って届ける運動への協賛企業の
獲得を目的としている。そのために、まず企業の
CSR(Corporate Social Responsibility)担当責任者にアジア
各国でボロボロになるまで読まれていた絵本の現物をDMで
届けた。
受け取った人には驚嘆をもって、ボロボロの絵本専用のWeb
サイトにアクセスしてもらう。
Webでは、アジアの子どもたちが、その絵本をボロボロになる
まで繰り返し読んでいる様子を視覚的に訴え、運動を理解し
てもらう。
主旨を理解してもらったあとに、大切なボロボロの絵本を返信
用封筒で戻していただくという仕組みだ。
100%の到達率で、約50%の企業が追加情報・資料を求め、
約40%が協力を承諾または、賛同してもらうことができた。
現物で心の扉を叩いただけでなく、DMでも、Webでも行動し
たくなるような仕掛けをきめ細かに施し、それぞれのメディア
に合ったクリエーティブとの相乗効果を図ったことが奏功した
と言えるだろう。
クロスメディア時代にDMのコミュニケーション力を最大化する
にはクロスメディアでは、顧客が通るさまざまなコンタクトポイ
ントで顧客とのリレーションを強化し、顧客のライフステージ
全体にわたってロイヤルティを醸成するようなコミュニケーショ
ン戦略が重要となる。
例えば自動車の場合に、一般消費者の段階ではTV広告やモ
ータースポーツイベントから映画館広告まで14、見込み客と
なってからは15、来店客とは8、顧客とはオーナーマニュアル
やクレジット申込書からお客様センターに至るまで17のコンタ
クトポイントが、それぞれのステージで考えられる。その各場面
で、顧客が"もらって嬉しい"情報やものを適切に提示することが
大切なのである。また、その通るポイントは、複数にわたって接
していることを意識しておくことが大切で、DMだからできるコミュ
ニケーションとは何であるかを書きだしてみるとよい。
一方、顧客を獲得して維持していくためには、DMのクリエーテ
ィブには潜在客を最終的にはロイヤル顧客に育てていくという
視点が必要となる。各段階で顧客の態度は違うはずで、その
場面で顧客に感じて欲しいことは何かを明確にしていくと良い
企画案が出てくるわけだ。
さらに、レスポンスを取るには、送り手の意向に沿った変化を
ターゲットにもたらすように、
‐ターゲットの心の奥に潜んでいる欲求を引き出すこと
‐クロスメディア視点で必要な情報を届けること
‐お客様を育てて聞く姿勢を持つこと
‐顧客の立場に立つこと(売り込みすぎないこと)
を考えていく必要がある。
オンライン中心の時代ならではの決め手は、温かみや人肌感
といったエモーショナルな演出だ。
そのためには点ではなく線や面でのコミュニケーションが大切
であり、"もらって嬉しい"とはどういうこなのかを考えてコミュニ
ケーションのストーリーを作る。
その上で、オンラインとオフラインのバランスを考えていくことで、
最適なコミュニケーションに導くことができる。
実は、このようにDMはコミュニケーションの原点であり、まだ
まだ可能性を秘めた熱い媒体なのである。
今、ネットの時代を迎え、消費者がかかわる複雑多岐なコン
タクトポイントの中で、DMをどのように投下し、コミュニケーショ
ンを図るべきなのかを、企画のみならず、クリエーティブまで、
顧客獲得・顧客維持の目的にあわせて設計できるのが、当社
の強みである。もし、DMでの企画・制作でお悩みのことや
ご要望があれば、お声がけをいただきたい。




