銀魂二次 幸運のアイテム
テーマ:夢小説 沖田※沖×神
※3Z
※シモ☆ネタ
natsuちゃんはじめ、受験生の皆さまに贈ります。
「がははははっ、総悟どうした?」
教室中に近藤さんの笑い声が響く。
この人に悪気なんて存在しない。
そんなことはわかってる。
だけど――
「暗い顔しやがって。受験くらいで、らしくないぞ?」
ゴリラに近い顔を寄せてくる近藤さんを、電子辞書のキーを押しながら見上げた。
「そんなこと言われやしても、俺は打たれ弱いガラスのハートなんで。体どころか心臓にまで毛が生えてるゴリ……近藤さんがうらやましーや」
「あれ、なにか総悟の言葉が心に刺さって泣けてくるんだけど、どうしてかな」
近藤さんは一筋の涙を頬に伝わせている。
「総悟、てめーな……自分ばかりが受験で大変だなんて思ってんじゃねーぞ」
マヨネーズ愛好家が、近藤さんの背後から目を吊り上げて覗き込んできた。
「へーへー、そいつはすいやせんでした。俺が目障りなら、お望みどおり消えやすぜぃ」
「おい総悟、お前どこ行くんだ。今から銀八の授業だろうが」
席を立つと、おせっかいなマヨ愛好家に肩をつかまれる。
その手をすぐさま振り払った。
「精神修行にでも行ってきまさぁ」
「んな訳あるか! てめーのはただサボリだろーが!」
「土方さん、俺に怒鳴ることでストレス発散するのは、やめてくだせぇ」
切れ込んだ目を更に吊り上げる土方は、何か言いかけた言葉を飲み込んでいた。
「おいおい総悟、いくらなんでもそれは言い過ぎ……」
「近藤さん、俺の口の悪さは今さらですぜぃ?」
「そ、それは、まぁ……」
「じゃあ、そういうことで銀八には適当に言っておいてくだせぇ」
電子辞書を片手に教室を後にした。
***
屋上の片隅、粉雪が舞う風を避けるように、貯水タンクにもたれかかった。
「なにやってんでぃ、俺は」
青臭い自分の行動にため息を吐いた。
土方への毒舌はいつものこと。
だけど近藤さんに心配させて、しかもそれでストレスを発散させている自分の行動に、情けなさが募る。
「――はぁ……」
上着から取り出した電子辞書を手にしても、まるでやる気が出てこない。
「CTまであと2週間……か」
つぶやきは、肌を刺すような冷たい風にかき消されていった。
キィ……。
さび付いた鉄の扉がこすれる音が微かに聞こえて、電子辞書から顔を上げる。
「よお」
そこにはビン底眼鏡をかけ、時代の遺物のようなジャージをまとう留学生が立っていた。
「よお……って、声をかけてくるってことは俺になにか用ですかぃ」
犬猿の仲と周囲とから言われ、本人達も自覚している。
だからチャイナに声をかけられるなんて意外すぎて、虚勢を張るように低い声で返すのが精一杯だった。
「用があるから声をかけたネ。それくらいわかんねのーか。そんな煮えた脳みそじゃCTもあぶねーな」
「てめぇ、ケンカ売ってんのか」
「売ってもいいアルけど、今日はそうじゃないネ」
歩み寄ってきたチャイナは、大きな瞳をわずかに伏せた。
「はぁ? じゃあ、いったいなんの用でぃ」
「……」
怒ったように赤い頬を膨らませているチャイナを、首をかしげながら眺めた。
卒業したら……コイツともお別れだな。
ふと、思い浮かんだ考えに、胸がきゅっと痛くなる。
「……っ」
何を感傷的になっているんだと、立ち上がってチャイナを見下ろした。
「用があるならさっさと言いやがれ、俺はおまえほど暇じゃねーんだよ」
「この寒空の下、ボケーと座り込んでいるおまえはどう見てもただの暇人ネ」
「あーそうかい。用がねぇなら、もう行きやすぜぃ」
「……待つヨロシ」
チャイナの横をすり抜けようとしたとき、ガクンと体に衝撃を受けた。
「ぐっ……ゲホ!」
制服の裾を怪力につかまれ、首が絞まって思い切りむせこんでしまう。
「なにしやがんでぃ」
「これ、おまえにやるヨ」
ずいっと目の前に差し出されたのは、フェルトで作られたお守り袋だった。
しかもお約束のごとく、チャイナの指にはバンソウコウが何枚も巻かれている。
「なんでい。呪いの呪文でも埋め込みやがったのか?」
「違うネ!」
ムキになるチャイナの頬が、ますます赤くなった。
「銀ちゃんがこういうのを作れば、おまえが喜ぶって……」
「……」
また銀八か……と、僅かに唇を噛んで、フェルトのお守り袋を見つめた。
「……まぁ、もらっておいてやりまさぁ」
「欲しくないなら、別に構わな……」
お守り袋を下ろそうとしたチャイナの手首をつかむ。
「な、なに……放すヨロシ!」
「もらってやるって言ってんだよ」
チャイナの手から、お守り袋をかすめとった。
「ついでに礼だ。もらっておきやがれ」
「……っ?」
チュ!
チャイナの柔らかな唇に、一瞬だけ自分の唇を重ねた。
「な、な、な……っ!」
口をパクパクしているチャイナを、口端を上げて見下ろす。
「別にこれくらい……おまえなら、逃げようと思えば逃げれたはずだろぃ?」
悪役真っ青な顔で微笑んでやると、チャイナはジャージの袖で自分の唇をごしごしと拭った。
「ふざけるなヨ! こんな不意打ちじゃ納得できないアル!」
「っ?!」
胸倉をつかまれたかと思うと、怪力に引き寄せられる。
そしてバランスを崩し、チャイナに倒れこんだ。
チュー!
今度はチャイナから唇を重ねられる。
さっきより濃厚なキスに、頭の中が真っ白になった。
そしてキュポンと音が聞こえそうなキスが終わると、めまいで真っ直ぐ立っていられなくなる。
「てめー、なにしやが……」
「は。これくらいで赤くなるなんて、おまえもまだまだお子ちゃまアルな」
「どっちがお子ちゃまか、はっきりさせるか」
「望むどころネ!」
チャイナの肩に手を置いて抱き寄せた。
反抗しないチャイナから眼鏡をはずしとり、体をかがめてゆっくり口付けを落とした。
冷たい風が全く気にならない、体の熱に浮かされる。
まるで時間が止まったよう。
ありえないとわかっていても、世界に二人だけしか存在しない感覚。
このままいっそ二人でとけてしまえたら。
それが受験からの完全な現実逃避とわかっていても、あれほど苦しかった気持ちが、いつのまにか薄まっていることに気がついた。
チャイナのおかげだとは、口が裂けても言えそうにないけれど……。
***
教室に向かいながらチャイナと階段を下りる。
ペタンペタンと上靴の底をわざと大きく響かせるのは、そうでもしないと胸の鼓動がチャイナに聞こえてしまいそうだったから。
「……」
「……」
お互い無言のまま、それでもこの距離感は心地よかった。
「よぅ、人の授業さぼってなにやってたんだ?」
声をかけられて、我に返る。
階段の先を見ると白髪の教師が、廊下の壁にもたれ立ってタバコをふかしていた。
「いいかげんにしとかねーと、肺の中が真っ黒になりやすぜぃ?」
「いーんだよ。それでなくても俺真っ白だから」
厚ぼったい瞼の教師が、ニシシと笑った。
いつもならかなり腹が立つ態度も、今なら余裕でスルーできる。
無言のまま銀八の前を通り過ぎようとした、そのとき――。
「神楽、お守り袋に、例のもの入れたか?」
「なっ……、い、いれ、入れてないネ」
チャイナがめずらしくというより、見たことがないほど動揺している。
「あーそりゃ、総一郎君も残念だな」
「総悟でさぁ。それでチャイナに、なにを入れさせようとしたんでぃ」
ポケットにしまっていたお守り袋を取り出した。
「ふっ」
銀八が目を細めて、なれなれしく肩を組んできた。
「ぎ、銀ちゃん! 言ったら半殺しにするアルヨ!」
「神楽、この時期に問題行動起こすと、命取りだぜ?」
教師の権限を最大限に使う銀八のすねを、神楽はそれでも蹴り続けている。
「なんでぃ、はっきり言いやがれ」
「おまえは聞かなくてヨロシ!」
チャイナが半泣きで怒鳴る。
赤い瞳を細める銀八が、ニタリとほくそ笑んだ。
「やだな、総一郎く~ん。幸運のアイテムといえば、下の毛に決まってるだろ? マージャンをやる人間の常識」
「……」
囁く白い悪魔を、チャイナと一緒に回し蹴りで倒したことは、学校側にはもちろん内緒でよろしくお願いいたします。
おわり
*******
皆様、あけましておめでとういございます。
新年最初の夢がこんなんですみません。
本当にすみません。
受験生の皆様は最後の追い込みをされているところでしょうか。
あとは体調管理に気をつけて、ラストスパートに励んでくださいませ~~~!
そして前回の鴨にもコメ、ありがとうございます!
まじでコメ返す時間がなくて……15名の方、本当にごめんなさい!
ご新規さんも、お久しぶりの方も、毎回コメを下さる方も、ほんまありがとうございます!
うう、元気の源です~~~~~!!!
それではアホなうえにめったに顔を出せないもち子ですが、本年もよろしくお願いいたします~!
ついでにポチリとおねがいします~(´艸`)


ここは「銀魂」の非公式ファンサイトです。 
(ギン、ヅラ猫:ぁぃさん作)


が飛び出します(え?サギが出た?)







