茶太郎を病院に預けた後、帰りは地下鉄を利用。終電の1本前の電車が来るのを座って待った。急にガックリと疲れと心配がくる。涙がこぼれそうだ。
猫に有害な植物があるというのは基本的な事なのに、お正月飾りの中にユリが1本混ざっていても、何にも感じなかった自分のせいなのだ。茶太郎は一人で洗面所で遊ぶことは殆ど無く、ママが行かなければちゃたも行かない。たまに南天の葉っぱに悪戯しようとしても、食べるのはそばに用意されたオリヅルランの葉っぱだった。背の高い花瓶の奥の方に挿したユリなんて、興味を示して無かったのに。いや、最初からよく調べて、ユリは捨てちゃえば良かったのだ。有害どころか、猛毒だなんて。私ってどうしようもないヤツだ。ブランが具合悪くなった時と一緒じゃないか。うすうす分かってるはずなのに、ちゃんとしないなんて怠慢なんだよ。迷惑してるのは茶太郎なんだよ。訳も分からず知らない場所に連れていかれて、怖い思いをして、痛い思いをして。
どうにも落ち着かなくて、深夜にも関わらず茶太郎の保護主だったすたこさんにメールで報告した。タクシーでは結構遠く感じたのに、地下鉄だとかなり近い。でも具合の悪い猫を連れて深夜にウロウロするより、暖房が効き過ぎてるぐらいのあったかいタクシーで、茶太郎が大声で鳴きっぱなしでも何の気兼ねもなく、運んでもらった方がずっと良い。
茶太郎のいない部屋というのは、とても違和感がある。「火が消えたよう」と言うのは、こういう事なんだろうな。いつにも増して体が重く感じる。齧り具合を先生にお見せした件のユリを、ポリ袋に入ったままグジャッと折り、ゴミ箱に捨てる。こいつめ! もし容体が変わったりしたらすぐ連絡をくれると言うので、携帯をブランの遺影に前に置き、電話なんか来ないように、茶太郎を守ってくれるようにお願いする。しばらくPCの前に座り、冷たい布団で一人で寝た。
結局3時間弱しか眠れなかったが、翌日は仕事。入院用ゲージは冷暖房が効いてるらしいが、つるつるのステンレスの上に寝かせられていたら茶太郎は嫌がるだろう。一番大好きな、モンプチベッド付属の小さなクッションと、クッションの差し入れはダメですと言われた場合に備え、柔らかめのタオルを一枚持って行く事にした。おうちの匂いがついてる物があれば、少しは気分が紛れるかもしれないと考えて。
面会に行くと、先の患者さんが終わるまで待たされ、診察室の中に通された。入院しているゲージの前に通されるのかと思ったがそうではなく、先生と看護師さんが二人掛かりで、茶太郎と、繋がれている点滴セットを抱えて連れてきてくれた。茶太郎は腕にテープを巻いて針を固定し、点滴チューブを噛まないように小さめのエリザベスカラーをつけている。先生によると、「昨夜もう一度吐かせても、胃液しか出なかった。おうちで吐いた時全部出たんでしょう。特に重篤な変化は無く、このまま『点滴→おしっこをさせる』を継続させましょう」との事。いろんな数値が書いてあるデータも見せてくれたが、心配はないらしい。
「昨夜はおしっこをしてくれないので心配したんですが、今朝ジャーッとしてました。活性炭を飲ませる時にちょと抵抗して、お口の周りが黒く汚れちゃってます。」と仰る。茶太郎はぐったりしてるようには見えなかったが、かなり怖いみたいで、体を撫でると診察台の上で震えていた。顔を覗き込んでも目を合わせてくれない。ショック・・・。
とにかく一安心だ。先生もまぁ大丈夫でしょうという雰囲気満載。
クッションの事を看護師さんに話すと「もし汚れちゃっても構わなければお入れしますが、ウチでも敷物をいれてますよ」との事。そっかぁ。つるつるの床の上に寝かされてるんじゃないんだ。ちゃたが帰って来た時、このクッションがないのは困るし。じゃ、タオルの方で、と急にケチくさくなってお願いする。
入院させられた茶太郎には申し訳ないが、安心したよ。どうかこのまま、腎臓にユリの悪影響が出ませんように。