詩一つ『ミルクの手』

「ねえねえ、あのね。」

ぼくは、あの子にこう言った。

「ぼく、きみのこと、だいすきなんだ」

ぼくもあの子も
かぁー、とはずかしくなって、
うつむいちゃった。

僕は手を出してみた。
あの子も手を出して、
僕らは少しあくしゅした。

かぁー、となった、たいおんで、
僕らの手はあたたかくなってて。

それは、
れんじでチンした、
熱いミルクみたいで。

ミルクをこぼさないように、
とうきのコップをおとさないように、
そっと、
あの子と手をつないだ。

冬のさむい、さむい中、
僕らの手は、
温められたミルクになった。


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