漫画「美味しんぼ」が読者を惹きつける魅力の一つに、海原雄山と山岡士郎との親子の確執があります。
双方が「究極」と「至高」に分かれて料理対決をするという展開は充分に読者を惹きつけるものがあります。
その対決の中でも日本47都道府県から一県ずつのご当地料理を紹介する日本全国味巡りは、一般には知られていないご当地ならではの食材と料理方法をテーマとしたシリーズは興味深かったです。
また、ガッチリした体格の迫力ある海原雄山の濃いキャラもこの「美味しんぼ」を盛り立てています。
絵画や陶芸、書に秀でている天才芸術家としてだけではなく、美食も芸術であるという観点から「美食倶楽部」を主宰する当たりは北大路魯山人を想定しているのでしょう。
北大路魯山人は明治生まれの陶芸家、漆芸家、書家として名高かったですが、>美食家としても広く知られていました。
そして、実際に「美食倶楽部」としての高級会員制料亭として今の東京都千代田区永田町に、「星ヶ岡茶寮」を共同経営していました。
「美味しんぼ」と同じように「星ヶ岡茶寮」の会員には当時の政官財界人や皇族・貴族などの上流階級や芸術家が名前を連ねていて、北大路魯山人が自ら厨房に立ち、魯山人が焼いた陶芸品に料理を盛り付けてお客に振る舞ったと言われています。
美食へのこだわりが料理の始めから終わりまでこだわって、お客様を唸らせたのでしょう。