□「格安」「高級」ますます多様化

 ■即席麺の進化促した専門店

 インスタントラーメンの発明者、安藤百福(ももふく)の生誕百年を記念したラーメンが、16日までの期間限定で発売中だと聞いて、横浜市港北区を訪ねた。

 新横浜ラーメン博物館(ラー博)は、全国各地のラーメンが食べられるフードテーマパーク。平成6年に開業した。年間来場者数100万人。全国各地に似たような施設が相次いで誕生するきっかけになった施設だ。

 館内には、レトロな町並みが再現されている。運営会社の営業戦略課長、中野正博(36)によると、「ちょうど安藤さんがチキンラーメンを発明した昭和33年という設定」なのだとか。巨大セットの一角にオリジナル店舗「麺翁(めんおう)百福亭」がオープン。「百福元味」(850円)を提供している。

 といっても即席麺を使っているわけじゃない。もしも安藤がラーメンを近所の人に振る舞っていたら…という設定。トリビュートとか、リスペクトとか、そういう企画だ。中野はいう。

 「インスタントラーメンがなければ、ラーメンは国民食にはならなかったし、海外で食べられるようにもならなかったはずです」

 いま、ラーメンなる“日本食”を求めてラー博を訪れる外国人客は入場者の10分の1、年間10万人に達する。そもそも、ラーメンだけでテーマパークが成立するということが、半世紀前には信じがたいことだったろう。

 なにはともあれ、いただきます。少し縮れた細麺は固め。スープはもちろん鶏ベース。おっ、なにやら香ばしい。「ローストした醤油(しょうゆ)を使ってチキンラーメンの香りを出しています。麺も食感を近づけてあります」。一気に完食。しかしこれ、ちょっとおいしすぎるのでは。いやいや待て待て。考えてみれば、おいしさの飛躍こそ、安藤への賛辞にふさわしいのかもしれない。

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 安藤は即席麺を開発するとき、5つの目標を立てたそうだ。「おいしくて飽きがこない味」「台所に常備できる保存性」「調理に手間がかからない」「値段を安くする」「安全で衛生的なものに」(日清食品の社史より)。これは即席麺が世界的商品になった理由と完全に重なる。

 しかし食べ物に限らず、商品やサービスがいったん普及したら、次に来るのは差異化、付加価値の競争だ。いま、外食のラーメン店は7千億円市場ともいわれるが、全国規模のチェーン店ではなくて、個人経営の専門店が圧倒的なシェアを占めるのが特徴。それぞれが独自性をうたい、仕込みに何日もかけ、原材料にこだわり、どんぶりを温めて出し…職人の腕を競う“美食戦争”に突入。各地に激戦区と呼ばれるようなエリアも生んだ。

 ラーメン評論家の石神秀幸(37)は笑う。「この肩書きで食べられるようになって12年になります。評論家が出てくるというのは、ジャンルとして成熟した証拠でしょう」

 即席麺ができたおかげでラーメンという食べ物が全国に広まったと語る石神は、その後、ラーメン専門店の存在が即席麺の進化を促した、と解説する。

 「僕が子供のころ、即席麺はラーメンというよりスナック菓子という感覚だった。でも、いまの即席麺の味は、十分にお店と競合できるものになっています」

 地方色を強く出した「ご当地ラーメン」のほか、有名店の味を再現した「ご当店ラーメン」も登場して、即席麺のバリエーションは拡大の一途。高品質化も進む。

 「たとえば『とかち麺工房』という会社が作っている即席麺は、氷結乾燥ノンフライ製法というやり方で、これは麺を作るだけで6日かかるというんですよ」

 即席麺=安っぽいと思っている人がいるかもしれないが、考えてみれば、町には1杯290円なんて格安ラーメン店もある。即席麺だからどうこう…なんて話が成立しなくなりつつあるのかもしれない。

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 広がった波紋が端までたどり着いて打ち返されるようなイメージだろうか。安藤の発明は、ラーメンという市場を広げ、各地に誕生したラーメン専門店が、即席麺のありようを変化させた。では、これからどうなるのか。ラーメンの世界を見続けてきた中野と石神の意見は一致していた。

 「すしやハンバーガーが格安店と高級店に分化したように、ますますラーメンも多様化する」=敬称略

 (篠原知存)

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